〜side小柳〜
あの事件があった日
お医者様からは体を痛めた事で熱が出るかもしれないと言われた
だが、俺の体は熱も出さずに済んだ
次の日も、打ちつけた個所は痛みがあるくらいで俺は学校へと行く事が出来た
残り少ないバイトも無事終え、何日か過ぎた日の土曜日の授業が終了後‥‥
いつものようにウェンが俺の席へとやって来た
「帰ろうぜ」
「おう、マックでも寄ってく?」
玄関に向かいながら問いかけると、ウェンがスマホを覗きながら応えた
「あ、俺今日は無理」
「バイト‥‥は、一緒に終わったよな?」
「うん、バイトは終わったよ。今日は行くとこあって」
「‥‥ふーん」
いつもなら誘ってくれるのに‥‥
しかもどこに行くのか言ってくれないから、俺もあえて聞かない
聞きたいけど‥‥
バイトも終わって遊びに行けるかと思ってたのに、俺はこんな小さな事で拗ねている
「ロウは今日帰ったら何すんの?」
「‥‥‥‥ゲーム」
「おっ、良いねぇ」
なにが良いんだよ
ま、返事が適当なのはいつもの事か
「え?‥‥なに?」
「は?なんだよ‥‥何も言ってねーよ」
「うん、だから何でかなぁって」
拗ねてるからだよ!
とは言えない
「別に‥‥ちょっと考え事してただけだよ」
「考え事?なんの?」
「え?‥‥いや‥‥あ!そうそう、来週の火曜日って学校終わったら家に来れそう?」
「来週?俺はいつでも暇だから行けるよ」
危ない‥‥
拗ねてるの、バレるかと思った
「じゃあ学校終わったらすぐ来るか?」
「んー、一回帰って着替えて来るよ」
「‥‥?分かった」
「火曜日なんかあるの?」
そうだよな
ウェンはそういう奴だよな
「母さんが料理食べさせたいから聞いてみてってさ」
「あぁ、めっちゃ料理美味いんだってね」
「なんで知ってんの?」
「この前病院に連れてってもらった時、ロウが検査してる間におじさん、おばさんとめっちゃ仲良くなっちゃった」
「俺、母さん達から何も聞いてないけど?」
「でもこうやって誘ってくれてるのって、そういう事じゃない?」
「‥‥まぁ‥‥まぁ」
本当にウェンはいつの間にか誰とでも仲良くしてる
これは天性だな
「未来の義父、義母って事だよね」
「‥‥気が早いと言うか、呑気と言うか‥‥」
「良いじゃん!俺、マスオさんになっても良いけど?」
「ちゃっかり我が家に住もうとするな!」
「いつものロウに戻った?」
「は?」
「今日一緒にいらなくてごめんな。また学校でな」
「べっ、別に気にしてないし‥‥」
「そうだよね?ロウきゅんならこれくらい気にしないよね?」
「ロウきゅんって言うな!」
何気ない会話なのに嬉しくなる
ウェンの想像する未来に俺が居られると言う事が‥‥
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コメント
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こや 熱出なくてよかったε-(´∀`;)ホッ 拗ねてる こや 可愛すぎ~それに気づいてそうなkpも罪なやつだな~