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どんな声を出しても誰にも聞こえない。
たった2人だけの秘密の世界。
こんなにも激しく燃え上がるような交わりは、生まれて初めてだった。官能的で濃艷で……理性などはもうどこにも存在しなかった。
「嘘つきって認めろよ。もっとしてほしいって言って」
「……恥ずかしいよ」
「言えないの? 俺達、こんなにも体の相性が良いのに。お前の体……最高だ」
最高なのは私じゃない、あなたの方だ。
細身なのに、全体的にほどよくついた筋肉。
固く引き締まった胸板、腕、お尻、太もも――その全てに逞しい男らしさを感じる。
さっきから私、この裸体にずっと興奮しているんだ。
「ほら、ここがいい?」
「あっっ……だっ、ダメ……やめてっ……て、ねぇ……あぁっ、んっっ」
立ったままの姿勢で、私の心拍数は急激に上昇していく。
とんでもないテクニックで次から次へと攻め続けられ、あなたという「底の無い沼」の奥深くまで引きずり込まれた。何度も這い出そうとするのに、決してそこからは抜けられない。
「なあ、俺達、このまま……」
「この……まま?」
意識が朦朧とする中、私はかろうじて聞き返した。
「い、いや、何でもない。あと何回、気持ち良くなりたい?」
「もう……意地悪」
そう言いながらも、私は何ともいえない快感に包まれ、激しく体をくねらせながら、何度も極上の瞬間を迎えた。
そして、立った姿勢から一気にベッドに押し倒された数秒後、私の下腹部辺りが一瞬にして熱を持ち……
私達は、ひとつになった――
腰が小刻みに動く度、お互いが激しく興奮し、気持ちはどんどん高ぶっていった。
波のように繰り返される異常なほどの気持ち良さに、私達はいよいよ我慢の限界を迎え……淫らな声を発しながらほぼ同時に絶頂に達した。
そうして、夢のような時間は最後のキスと共に終わりを告げ、まるで今までの交わりが幻だったかのように、無情にもあっという間に現実の世界へと引き戻された。
余韻を味わう暇もなく、シャワーさえも浴びず、サッと着替えを済ませ、髪を整え、バッグを持った。
「最後の思い出……だね。ありがとう」
「ああ、最初で最後。こっちこそありがとう。必ず、誰かと幸せになれよ」
「う、うん。あなたも……ね」
そんなやり取りをして、私達は笑顔で別れた。
豪華な調度品に囲まれたホテルのロビー。
大理石の床に響くハイヒールの音。普段は滅多に履かないけれど、今日だけは頑張ってオシャレした。
なのに、その音が今、どうしようもなく虚しく聞こえるのはどうしてなんだろう?