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「最近夢奈圭と話す時暗号話してない?」
圭兄ちゃんと母音で話すようになってしばらくした頃、お母さんが私に聞いてきた。不思議に思ったのだろう。
「周りから聞いたら暗号に聞こえるよね、圭兄ちゃんは私の練習相手になってくれてるの、声優の練習ちょっとでも減らせるように日頃から母音で話す練習してるんだ、そのお陰で大学の勉強もはかどって両立できるようになった」と私はお母さんに説明した。
「そう、勉強に支障が出ないなら構わないけど、でも私にはよく分からないけど、その母音?で話すと本当の気持ち伝わりにくくない? 感情がこももらないと思うわ」とお母さんは私に聞いた。本当の気持ち……
ガチャ。
「ただいま」圭兄ちゃんが帰ってきた。
「お帰り!」
「なんか話してた? 声聞こえたけど」
「ドア閉まってたのに、あなた耳いいのね」
お母さんは驚いた。
「まぁそうだな」
「あのね、私が最近圭兄ちゃんと話してる時暗号話してない?って聞かれてたの」
「あー、やっぱりそう思われてたんだな」
圭兄ちゃんは納得した。
「それでね、説明したら、母音で話してたら本当の気持ち伝わりにくくない?・感情がこもらないと思うって」と私は圭兄ちゃんに言った。
「なるほど、俺には普通に話してるのと同じぐらいに聞こえるけど、本当の意味では伝わらないのかもな」
「私も自分では気付かなかったけどそうなのかも」やっぱり普通に話した方がいいのかな。
「あなたがやってることに興味もないし、何やってるんだろうと思うけど、言葉を話せて人の気持ちに寄り添えるのって人間だけだから、
会話を大切にした方がいいと思う」とお母さんは私・圭兄ちゃんに言った。凄くいいこと言うし勉強になってなるほどと思ったけど……
「確かにそうだね!」そう思ったけど、私は笑顔で頷いた。でも圭兄ちゃんは
「なるほどな、今のお母さんの言葉でこの練習方法は間違ってたって気付いた、でも今のお母さんが人の気持ちに寄り添ってなんて言える立場? そんな言葉を言えるなら、その言葉通り夢奈にもっと寄り添えよ」とお母さんに怒った。
「親に向かってなんて言い方するの! せっかくアドバイスしてあげたのに、寄り添ってるわよ」
「本当に寄り添ってるか自分の心に聞いてみろよ、夢奈に聞いてみようか? なぁ夢奈?」
「はぁ!?」
「そ、それは……どうなんだろう……」
「どう考えても寄り添ってないだろ」圭兄ちゃんは小声で言った。
「聞こえてるわよ」
「そう、聞こえてた?」
「夢奈、どうなの?」お母さんは私の方を見た。
「この件以外は寄り添ってくれてると思う、でも今回の件に関しては寄り添ってくれてない」
私はお母さんの目をまっすぐ見つめて答えた。
「ほら、だから言っただろ?」
「アドバイスした私がバカだった、もう知らない!」お母さんはそう言い放つとリビングを出ていった。
「ほんと理解ないよな」圭兄ちゃんは呆れた。
「まぁ……」
「夢奈、この練習方法は辞めよう、その代わり辞めてた練習を1つ増やせ」
「そうだね、色々考えてくれたのにごめんね、ありがとう!」