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「ラン、ほんまに歌うまなったな。」
「ほんまに言うとる、?」
新曲のRECを終え、ランを褒めると疑いにかかられた。
「ほんまやって。俺が言うんやから、間違いあらへんやろ。」
「相変わらず羨ましい自信。笑」
「少しは見習えや、俺を。」
「ははっ。…うん、俺も早くカイリュウみたいになりたい。」
知り合った当初から、レッスン中に鏡で自分を見られへんとか、男前のくせにどこか自信のないところがあって、そういう、完璧なくせに完璧やないところがランにはある。
そんなランを面倒みるうちにどんどん技術面は向上していき、今はもう、俺と同じパートを歌っても引けを取らないほどに成長していた。
「ふはっ、うん。はよここまで来い。」
「…うん、カイリュウに褒められるんがいっちゃん嬉しいけん、頑張ってよかった。」
「せやろ?」
「うん。…今回も、まじで最高やったし。どうやったらあんな声出せるんよ…」
「…すごい、って、言ってくれる人を想像するねん。」
「……俺ってこと?笑」
「……うん。そう。」
「なんそれ、初めて聞いた…っ、」
「……せやから、…褒めろや、もっと。」
「……どうやって、?笑」
「…アホ。何考えとんねん。笑」
「何も言っとらんやん。…カイリュウこそ、何考えたんよ。」
「……はよ褒めてくれへんの?」
「っ、ふふ、……可愛いね、俺の事大好きで。笑」
「それはお前もやろ?笑」
ふふふん、と2人で照れ合って笑い合う。
「…カイリュウ。カイリュウは本当にすごいね、カイリュウが1番やけん、」
「っ、……ん。それでええねん、」
「ふふっ、うん。」
レコーディング室を出たことをいい事に、甘える俺を、ぎゅっと抱きしめて言葉をくれるラン。
ランが、いつも俺を「すごい」と言う度に自信になったし、一生懸命俺についてこようとするランがいつの間にか愛おしくなっていって、お互いを褒め合っているうちにそれはどんどんと言葉を越えていき、今ではこんな風に、メンバーを越えた甘い関係になっている。
「……そんな自信あるくせに、褒めないと拗ねるとこ、まじで可愛い。笑」
「……らんにだけや、」
「可愛いって。笑……それ、絶対誰にも見せんでよ。」
「ん、っ、」
ふいに頬を掴まれて、上を向かされるとちゅっ、とキスをされた。
「っ、!あかっ、…/見られたらどうすんねん…っ、」
「抱きしめとんやけ一緒やろ。笑」
こういうとこは意外に堂々としているところも、俺には無い部分で嫌いやなかったりする。
「……そういうとこは、俺を見習ってよ。笑」
「……俺もそんなやったら、とんでもないことなるやろ。」
「どうなんの?」
「っ…、自分に聞いてみろやっ、/」
「ん〜、?笑」
額をくっつけてきて、にやにやと笑った後またキスを落とされて、照れる俺を愛おしそうにじっと見つめた。
***
(RAN視点)
「……ほんまに、何着ても似合うな。笑」
「そう、?笑 ありがとう、」
撮影で衣装に着替えた俺を見て、隣に来るとこっそりそう伝えてくれた。
カイリュウは、俺のルックスをよく褒める。
別にそこだけやないけど、「そんな男前なのに」という枕詞がよく付くから、多分容姿を気に入ってくれているんだと思う。
前に、俺が「自分の顔を見れない」と言ったことがあった。その時その言葉は初めて発されて、それ以来、俺に自信をつけさせるように使っている部分もある気がする。
「カイリュウも、めっちゃ似合っとるよ。」
「言わせてもうた?笑」
「違うって。まじで可愛いもん、カイリュウにしか似合わんよそれは。」
「ふは、大袈裟やな。笑」
「本当やって!信じてよ、」
「おん、わかっとるって。ありがとうな、?」
俺の必死さに照れつつも、嬉しそうに笑った。
カイリュウは、いつも俺に自信をつけさせてくれる。
でもそれは、カイリュウも同じなのかなって思う時があって、こうして俺の言葉を聞いて顔が綻ぶところを見ると、どうしようもなくカイリュウのことが好きだと実感する。
「……ねぇ、カイリュウ。」
「ん、?」
「今日の撮影さ、2人ずつやん。」
「せやな、……ランは、リュウキとやっけ?」
「うん。…カイリュウ、セイトとやろ。」
「おん、…なんやねん、顔曇っとんで。笑」
「なんでセイトなんよ……」
好きだと思えば思うほど、日に日に、カイリュウへの独占欲が増していく。
カイリュウのその笑顔も、甘い言葉も、全部俺だけのものじゃなきゃ耐えられない。
「それは俺が決めれへんからな。笑」
「ねぇ、なんでちょっと楽しそうなんよ、」
「ん?…まぁ、なんかそういうのもええなぁって。笑」
「どういうのだよ」
「怒んなや。笑」
なんだか余裕なカイリュウに少し不安になって、同じ気持ちになってほしくてわざとリュウキの名前を口にする。
「……まぁ、俺もリュウキとやけん、楽しくできそう。」
「………そらよかったな。」
「昨日も、一緒にゲームしたし。」
「っ……、昨日って、いつやねん」
「深夜。リュウキが急に誘ってきたんよ」
「俺におやすみって言うたやん」
「その後やもん」
「……っ、そんなん、わざわざ言うなや。」
「カイリュウが聞いてきたんやん」
明らかにムッとしているカイリュウが可愛くて、嫉妬している姿から俺への愛情を感じ、身体がゾクッと震えた。
もっと、もっとそうやって、俺のことだけ考えてほしい。
そんな気持ちが、ふつふつと湧き上がった。
***
(KAIRYU視点)
なんやねん。ランのやつ…
リュウキと深夜に、なにしてんねん。
俺には寝るって、おやすみって言ったくせに。
なんやねん、楽しくできそうって。腹立つわ。
ランは俺の事が好きだという自信がある分、ランの感情、言葉全部が、俺に向いてないと嫌だという気持ちが、日に日に強くなっていることを実感する。
「カイリュウ、なんか元気ないやん。どうしたん?」
リュウキへの嫉妬を自覚したまま、撮影に臨もうとすると心配するような声でセイトが話しかけてきた。
「んや、…なんもあらへん。」
「絶対なんかあるやろ。笑」
「あらへんって。なんでそんな自信満々やねん。笑」
「当たり前やろ、いつも一緒におんねんから。」
「っ…なんやねん、あつぅっ。笑」
「ぐふふ(笑)…いやでもほんま、俺カイリュウとで嬉しいねん。せやからそんな顔すんなよ」
「…お前、そんなもん、こっちの台詞やから。先言うなよ。」
「っ、んふふっ、かっこよ!あつぅっ!笑」
「んははっ!笑」
セイトとのやり取りに気が紛れるも、ふと視線を感じて、前を見ると別の撮影ブースでリュウキとの撮影に入ったランと目が合い、会話が聞こえていたことを察した。
……ランも、同じ気持ちやったらええのに。
リュウキといても、俺の事だけ考えとったらええねん。
そんな挑発めいた気分になって、顔をランから逸らし、セイトに向き直った。
「……セイト。」
「ん?」
「…今日の衣装、似合っとんな。かっこええやん。」
「え、ほんまに?最近渋いからな〜、俺。笑」
「ははっ。…やっぱ撮影、お前とで良かったわ。」
「おいなんやねん、そんな改めて言われたら照れてまうやん…っ、」
「ふはっ、どないやねんほんま。」
ランの感情が、もっと、俺だけのものになればええのに。
そんなことを考えながら、セイトに微笑んでみせた。
***
(RAN視点)
前にある撮影ブースから、カイリュウとセイトの話し声が聞こえてきて、嫌でも意識がそっちに行ってしまう。
「当たり前やろ、いつも一緒におんねんから。」
そんなセイトの言葉に、嬉しそうな反応をするカイリュウ。
思わず苛立ってじっと見つめると、目が合ったのに逸らされる。
「今日の衣装、似合っとんな。かっこええやん」
「撮影、お前とで良かったわ。」
聞こえてきたカイリュウの言葉と、セイトに微笑むその顔に、嫉妬心が身体中を駆け巡り、思わず手に力が入る。
「いっ、!ちょっ、ラン兄、痛いって!」
「あ、ごめん、!」
指示されたポーズでリュウキの肩を掴んでいたことを忘れたまま、力を込めてしまっていた。
「なに、どうしたと?」
「いや、ごめん。なんもない、」
「なんか怒っとう?」
「怒っとらんよ、まじでごめん…っ、」
「ならええんやけどさ、?」
謝っていると、ふと視線を感じた。痛がったリュウキの声に反応したのか、カイリュウがこっちを見ていることに気付いて、さっきの苛立ちをぶつけたくなる。
「……リュウキ。さっきの表情、良かったやん。」
「お、まじ?」
「うん。こういうの得意やもんな、かっこよかった。」
「えっ?嬉し!!いっちゃん嬉しい!笑」
「かわええな。笑 …うん、すごかよ、リュウキは。」
リュウキの頭を撫でると、いいですねとカメラマンさんがノってきて、撮影が進む。
カメラを見る振りをして、その先のカイリュウを見つめると、ふいに目を伏せた後、俺から顔を背けた。
その不機嫌そうな仕草が、たまらなく愛おしく感じてしまった。
#mazzel
あめ
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