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(カタカタカタカタカタカタッ)
深夜のデザイン事務所で、稲荷 ほとけはボサボサの水色の髪をかきむしった。
「うぅ……終わらない……」
見習い半年、今日も先輩に怒られて心はバキバキだった。
周りからは「見た目の自覚がなさすぎる」「もっと見た目に気を使え」とか言われるけれど、仕事だけで限界。
「(ぐぅーっ)」
「…あ…」
お腹の虫が鳴り、トボトボとビル1階の喫茶店「アクア」へ向かった。
「いらっしゃい♪」
「……お、ほとけさん…えらいお疲れやなぁ…」
この子はアルバイトの青くんだ見ての通り超絶イケメンで、なぜか水にだけ人懐っこい。
「いふくん……いつものブレンド、お願い……」
「はいよ。座って待っとき」
手際よく淹れる青くん。手渡される瞬間、指先が触れ合う
(……手ぇ冷たっ)
氷みたいに冷たい指だった。
「ほら、これ。俺からの差し入れ」
トンッ、と置かれたのは、綺麗な二層のブルーソーダだ。
「え? こんなのメニューにないよね?」
「試作品。ほとけさんイメージして作ったんや。透き通ってて放っておけん感じ。」
「……ふふ、ありがと」
ストローを吸う。口の中に爽やかな甘さが広がる
「あ…そうだ」
「ねぇ、いふくん。なんで東京に来たの?」
確か青くんは大阪生まれだったはずだ
「んー、家出みたいなもん。」
「古くさい実家から逃げてきた放蕩息子。東京は誰も俺を知らんから気楽でええわ」
「……………自分で生きてるの、僕はすごいと思うよ」
「……………」
青がカウンター越しにぐっと顔を近づけてきた。
息が触れそうな距離に心臓が跳ねる
「ほとけさんは無防備やなぁ…w悪い男に拐われてまうよ? ――例えば、俺みたいな男にな?」
「え…?」
「……………冗談、はよ飲みや」
「う…うん」
季節は夏になり、もうすぐ水の二十三歳の誕生日
「ほとけさん。今週末の誕生日、俺に時間をくれん?」
「……えッ!?」
水を思いきり声を裏返した。青くんは二つ年下の二十歳のはず…年下のこと一緒に遊びたいんじゃないだろうか…
「僕なんかと出かけても、楽しくないんじゃ……💦」
「なんで他人の話するん?俺は、ほとけさんと行きたいから誘ってるの」
青が水の目をじっと見つめる。
「水さん、自覚ないかも知らんけど、めちゃくちゃべっぴんさんやからな?」
「見つめられるたび、俺がどんだけ緊張しとるか、気づいてへんやろ?」
「えぇ…ッ///?!」
「やっぱ無自覚やなぁ……で、返事は?」
ふう @バナナは草の仲間らしい
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あおば
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歌井モモ
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「……行きます。よろしくお願いします」
「ん、楽しみにしといて」
週末、品川の水族館。青い光の中、巨大な水槽を見上げる
「わあ……海の中にいるみたい……!」
「ほんまやな…でも、青い光に照らされてるほとけの方が、ずっと綺麗やな」
「ほとけ…ッ?!」
「……………だめやった?」
「いや…ッ///!!全然…ッ///!!」
「……ほら、はぐれんように」
スッ、と青が水の手を握った。
「あ…ッ///💦」
ちょっとドキドキしてしまったのは…きっと僕の勘違いだろう
「いふくんは、水族館、好きなの?」
「まぁな…」
「少し自分に似てる気がしてな。水槽の魚って、ガラスの壁に閉じ込められてる。外に行きたくても出られへん」
「……………実家のこと…?」
「家が特殊でさ。進路も結婚相手も全部決められとった。やから、二十歳になったら絶対に家を出るって決めとったんよ」
青が握る手に力を込める
「ッ…?!(ビクッ)」
「い…いふくん…ッ!痛い…い”たいッ💦!」
「あ…ごめんなッ!!」
「うん…で…続きは…?」
「でも、東京でほとけに会って、初めて思った。壁を壊してでも手に入れたいものができたって」
青が正面に回り込み、手を自分の胸元に引き寄せた。鼓動が速い。
「ほとけ…俺はなただの年下の友達で終わる気なんか一ミリもない。……俺と、付き合ってほしい」
「……………へ…?」
「他の男に奪われんか毎日気が気じゃなかったんや。本気で好き。愛しとる」
真っ直ぐな深い青色の瞳。
「でも、僕なんか年上だし、ドジだし……容量悪いし…ッ」
「そんなん関係ないわ。年上とか年下とか、そんな枠で見てへん。全部ひっくるめて俺が守りたい。……ほとけ、俺じゃ、あかんのか?」
切なげな瞳に、水の目から涙がこぼれた。
「あかん、く·なくない……ッ。僕も、大好き……!」
青が水を強く抱きしめた。水の額に、優しいキスが落とされる。二人の鼓動がうるさく重なった。
「なぁ…ほとけ。俺、いつか全部話すから。それまで信じて待っとってくれる?」
「待ってる…ッ」
「約束な…!」