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穏やかな夜が過ぎて朝がやってくる。



バサバサッと布団を畳む音で起きた私は目を擦って小屋の中を見渡した。


すると、あぐらをかいているセツナの前にレトが正座をして頭を下げ始めた。



一体、何があったんだろうか。



布団を急いで畳み、ふたりの近くに座り、ごくりとつばを飲む。




「セツナ王子! 話があるんだ!」



「朝早くから元気だな。

病人なんだから、あと三日くらい寝てろ」



「完治したから早速話をしてもらうよ。

再び戦争が起こるまで時間がないんだから。

それで、最初に一つだけ言わせて欲しいんだ」


「なんだよ?」




「かけらは誰のものでもない。

交換するのは、無理なお願いだよ」


私と塩の交換。


その答えを今ここで話すなんて意外だった。


驚いて眠気が一気に吹き飛ぶ。……嬉しいけれど。


照れくさくて口元を緩めていると、ドアが開き、ライさんが小屋の中に入ってきた。


腕を組んでから壁に凭れ掛かって、セツナとレトの方に視線を向けている。


口を出さずに見守るつもりなんだろう。



「本気にしてたのかよ。冗談を言っただけだ」


「ふぅ……。よかった……。

それなら塩のことを教えてくれないかな」



「なんでそんなに塩が気になるのか分からないが……。話してやるよ」


「まさか、塩を分けてもらうことができるのかい?」



「残念ながらそれは無理だ。

前回の戦いで、クレヴェンの海岸付近をぐるっと奪われてな。


今のこの国には、グリーンホライズンのように陸だけしかない。

……ったく、スノーアッシュのやつらめ」



「なるほど……。

塩を手に入れるのは、戦争を止めるくらい難しそうだね」


国の民の食事をよりよくするために塩を求めていたレト。


その夢を叶えるのは、まだまだ時間が掛かりそうだ。


正座をしたまま肩を落として、しょんぼりした顔をしている。



「戦争を止めることだが、本気で言ってるんだよな?」



「もちろんだよ。本気じゃなかったら、かけらと旅に出なかった。

それに国境を越えることもしなかったよ。

まずは、クレヴェンといい関係を築ければいいなと思っていたから……」



私が進む道にレトは何も言ってこなかったけど、国境を越えていたことを知っていたんだ。


それなのに、ついて来てくれたなんて……。



国を背負っている者同士の話し合い。緊張感が増しているように感じる。


レトは姿勢を正して握り拳を作り、次の話に備えた。


一方、セツナは冷静な表情をして腕を組む。



「そうか……。正直にいうと、グリーンホライズンは眼中になかった。

文明と戦力が一番劣っているから優先度が低い。

危険性も低いから、積極的に攻める必要がないってやつだな。

山と平原しかないし、戦場では兵士がすぐに逃げていくし」



「有り難いような、貶されているような……。

それはそうとして、僕の国もクレヴェンへの侵略は後回しになってるよ。

今一番の敵は、スノーアッシュだと聞いているからね」



「聞いた話ばかりだな。

レト王子は戦場に出たことがないだろ?」


「一度もない」


「本当かよ」



「父には放って置かれてるというか、大切にされているというか……。

戦場に来るなと言われていたから」



「甘やかされた結果がこれか。

だが、それでよかったのかもしれねぇな……。

もし戦場で顔を合わせていたら、今頃どうなっていたか……。分かるよな?」



「っ……、何となく想像できるよ」


恐らく今よりも残酷な出来事に変わっていたのかもしれない。


気遣いができるセツナでも戦った相手を簡単に助けたりしないだろう。



「レトは一人で旅をしている間、国のことを学んで困っている人を助けていたみたいなの。

何もしてなかったわけじゃないよ」


「民を思う気持ちは負けないってことか」



「自国を変える気持ちも負けない」


真っ直ぐに視線を向けるレトの目を見て、改めてその覚悟を感じる。


二つの国の王子が似たような想いを持っていて、平和に向けて話をしている。


これは私が望んでいたチャンスでもあるから黙ってはいられない。



「グリーンホライズンとクレヴェンで協力し合うっていうのはどうかな?」


「和平を結ぶっていうことかな?」



「うん。二つの国が助け合って生きていくってこと。

そうすればお互いの国が発展していくだろうし、食糧難の改善策もあるかもしれない」



自分の考えを話してみると誰もすぐに口を開いてくれなかった。


ライさんもずっと黙ったままだ。



「あれ……?

もしかして、わたし……、おかしなことを言った?」



「簡単に言うよな。かけらは……。

国同士の歴史は、意外と深いものなんだぜ?」


「ううっ……。それはそうだけど……」



「僕はかけらの意見に賛成だ。

王になったら、すぐにクレヴェンと手を取り合うことを誓うよ」


レトは助けられた恩があるから、迷わずそう答えることができたんだろう。



でも、セツナとライさんはどう思うのか……――



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