朝が来る。いつもと変わらない朝。
父は今日も朝からいない。大体キャバ通いで朝帰りか、朝からホスト行っているかだ。
私は別に授業をちゃんと受けるわけでもないのに、朝早く起きて学校に行く。
とりあえずホームルームを受けたら欠席にはならない。自分で朝の支度をして、ご飯を作って、同時に父の分のご飯も作り置きしておく。
そういうのに慣れてしまった。放課後も帰って風呂を沸かして、ご飯を用意して買い出しに行かないといけないからあまり友達とも遊べない。
なんで自分だけこんな目に遭うのか、考えただけで悲しくて涙が出る時もある。
でもそんなこと、周りに言えるわけがない。
きっと惨めで情けなくて、可哀想な子供、そういう印象になる。それだけは絶対避けたい。迷惑なオッサンの可哀想な娘。誰が同情するのだろう。味方なんていない。今日も重たい足取りで学校に向かう。
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「なあ友紀、タバコ切れたから買いに行こーぜ」
「おっけー!今日も屋上でやるぜ」
ーいつもこんな調子の会話。
不良JKの会話だって誰でもわかる。屋上に小さいテントをはってまで授業を受けたくなかった。
普通の学生になりたくなかった。
ヤンキーな私は強い。可哀想な子供なんかじゃない。タバコも吸える。屋上に一生いられる。私は弱くなんかない。そう自分に言い聞かせてきた。
そうやってグレた結果、周りはヤンキー仲間以外、誰も寄ってこなくなった。そうだよね。金髪で制服着崩していて、いつも授業中いなくて、屋上でタバコ吸ってるやつ、怖そうだよね。でも、怖くていい。そう思ってもらえればもらえるほど、私は〝可哀想な子〟という印象から遠ざけられる。
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▶︎栖衣part
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