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先生は車を走らせ続けた。
そして、1時間ほど経った時、妙に真剣な顔をしてこう言った。
「綾乃ちゃん、もしも…
もしも、この事件が上手く解決出来たら…
その時は僕と付き合ってくれませんか…?」
え…?
聞き間違いだろうか…?
今お付き合いを申し込まれたような…?
いやいやいや!
エロチャラ男の宇賀神先生が!?
「えーと、先生熱でも…」
「ありません。」
「目を開いて夢見てるとか…」
「バッチリ起きてます。」
「え、じゃあ…」
「好きなんです。
あなたのことが。」
「えぇぇぇぇぇ!?
だって、先生はモテまくってるじゃ無いですかっ!?」
何故に私っ!?
「綾乃ちゃんだって可愛いし、モテるでしょう?」
「残念ながら弁護士の女はモテませんよ…」
事実だ。
男はやっぱり自分よりは馬鹿が良いのだ。
「僕にモテてるから良いじゃありませんか。」
「え…と…
先生をそんな目で見たことが…」
私は正直な感想を言う。
「これからはそういう目で見て下さい、と言ってるんです。」
「で、でも、裁判で勝ったら…なんて…
賭けみたいで…」
「そうでも言わないと、あなたが手に入らないから…」
先生は小さな声でそう言った。
どうやら本気らしい。
「えーと…
じゃ、じゃあ、裁判に勝ったら…
お試しで付き合うという事で…」
「僕ってお試しなんですか?」
「そ、そ、そんな急に好きになれませんっ!」
「ま、良いですよ。
あ、送っていきます。」
ニヤリと笑って言う先生。
私は早まったのだろうか…?
とにかくその日マンションに送ってもらい、先生と別れた。
♦︎♦︎♦︎
次の日、法律事務所に行くと、いつも遅刻する先生がもうすでに来ていた。
雨でも降る?
「おはようございます…」
先生が言う。
「え、あぁ、おはようございます。」
「あなたは本当に薄情な人だ…」
えぇぇぇぇぇ!?
挨拶しただけで!?
何ゆえっっっ!
「あのぉ、先生お早いんですね。」
私は取ってつけたように言う。
「昨日、あまり眠れなかったもので…」
「そうですか…」
「おまけに鈍感ですからねぇ…
全く僕は苦労しますよ…」
「はぁ?
朝から何訳の分からない事を…!?
あ、それよりも、今日は何しますか!?」
「…今日は和臣氏やお手伝いさんの麻生さんに聞き込みに行きます。」
先生は自らコーヒーを注ぎながら答えた。
いつも私にコーヒー淹れろとごねるのに、珍しい。
そんなこんなで、しばらくして田園調布の斉藤邸に向かった。
私たちはすぐに客間に通された。
「今日は色々と聞きたいことがあるんです。」
「僕で良ければ…」
和臣さんは快諾してくれた。