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夜。
静まり返った部屋の中に、ただ時計の針の音だけが響いていた。
甲斐田晴、剣持刀也、三枝明那、加賀美ハヤト。
4人は机を囲むように座っていたが、誰も声を発さない。
先ほど、不破湊が涙で声を震わせながら「堕天した」と告げて去っていったあの光景が、頭から離れなかった。
彼の羽は真っ黒に染まり、かつての眩しさを失っていた。
その理由は、言葉にしなくても全員が察している。
堕天の意味は「純潔を奪われた」ということ。
あの無垢で穢れを知らない天使が、汚されたということ。
沈黙を破ったのは剣持刀也だった。
剣持刀也「……誰だよ。ふわっちをあんな風にしたのは」
低く押し殺した声。
普段の軽口は影も形もない。
彼の目は鋭く細められ、薄暗い光の中で底冷えするほど冷たかった。
三枝明那「……許さない。絶対に。ふわっちは、あんなに……あんなに綺麗だったのに……」
普段の快活さが消え失せ、唇を噛んで震える明那。
握りしめた拳には血が滲んでいる。
加賀美ハヤトは目を伏せ、静かに深呼吸を繰り返していた。
だがその指先は小さく震えており、テーブルの下で膝が上下に揺れている。
落ち着いた声を出そうとしたが、そこに潜むものは燃えさかる憎悪だった。
加賀美ハヤト「……犯人は必ず見つけます。どんな手段を取ってでも」
甲斐田晴は、ずっと俯いたまま黙り込んでいた。
だが不意に、笑った。
乾いた、冷たい笑み。
甲斐田晴「ねぇ、みんな。……どうする?」
その笑顔は楽しげで、けれど狂気じみていた。
まるで自分の中のタガが外れてしまったかのように。
剣持刀也「どうするも何も……決まってるだろ」
加賀美ハヤト「……消すしかない、ですか」
三枝明那「壊す。ふわっちを傷つけた奴は、生かしちゃおけない」
言葉にした瞬間、部屋の空気が変わった。
抑えていた怒りが一斉に解き放たれ、4人の意志がひとつに固まったのだ。
甲斐田晴「……不破さんを泣かせたやつを、苦しめてやりたい」
剣持刀也「同じ痛みを、いや、それ以上の絶望を与えなきゃ気が済まない」
加賀美ハヤト「不破さんのために、私たちが“罰”を下す」
三枝明那「俺たちが護れなかったんだ。だから……責任を取るのは俺ら。だから、絶対に犯人を特定する」
決意を口にするたび、心の奥に巣食っていた暗い感情が膨れ上がる。
それは怒りであり、愛であり、狂気でもあった。
不破湊は知らない。
きっと、彼がこの場にいたら「やめて」と震える声で止めるだろう。
けれど4人はもう、止まれなかった。
守れなかった悔しさと、不破湊を失いたくない欲望。
それが絡み合い、彼らを「普通」から外れた場所へ押し出していく。
剣持刀也「……静かに、やるぞ。ふわっちには絶対に知られちゃいけない」
加賀美ハヤト「そうですね。私たちの手で、静かに片をつける」
三枝明那「ふわっちが安心して笑えるように……俺たちが影で全部壊してやる」
甲斐田晴「……不破さん僕らだけ見てればいい。余計なものは、俺たちが消すから」
その言葉に、全員がゆっくりと頷いた。
静かな部屋に、再び時計の針の音だけが響く。
けれどその沈黙は、もはや穏やかなものではなかった。
次に鳴り響くのは、きっと誰かの断末魔だ。
4人の視線の奥で、狂気の光が揺れていた。
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