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君と過ごした街でのおはなし

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君と過ごした街でのおはなし

9 - 最終話 − 夕凪と猫

♥

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2025年06月12日

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⚠️注意書きは1話目をご覧ください。



第9話


数日後の話。前回より2、3日ほど時間が進んでいます。

そう!つまりあと0日((黙れ









今日橙はこの街を出て行く。




橙「昼くらいまでには出てくな」

青「俺、出かけてるから鍵そのままにしといていいよ」

橙「ほんますまん!家の引き払いとか任せてしもて、、」

青「いいよ全然、!」

青「それより橙……元気でね!」

橙「青もな、笑」




これが青との最後の会話になるんだろう。

こんな5年以上もずっと一緒に居たのにこの関係も、たった3日あれば終わってしまう。人って不思議やな、、笑


スマホの電源を切って、あまり大きくないリュックに雑に入れて、背負う。

二番目にお気に入りのキャップをかぶって、青いスニーカーを履く。


これを機にいらないものを整理して捨てたり売ったりしていたら、意外にもこのリュックに全て収まってしまった。




「……じゃあな」

と一つ、誰もいない部屋に声を落として、橙は部屋を去った。












電車に揺られて三時間くらいした頃来たこともない静かな駅で降りた。


遊んでいるカワラヒワを眺めて、早咲きのクチナシの甘い香りが鼻を掠めるのを感じながら、今は来たことない県の、来たことない公園のベンチで休憩中。

ほぼ森みたいな木だらけの、ただ広い空間にどこか懐かしさを覚えた。デジャブってやつ、?


体調はあんまりだけれど、ただただ木漏れ日に吹く風が涼しかった。


「ん〜〜〜もう行くかー」


あ、、、猫や…


茶トラの猫。人の気配がない公園で感じた視線は、どうやら猫のものだったらしい。

目が合うと、猫はゆっくりと歩いていってしまう。

暇だしついてってみようかな…?

小学生みたいな発想だけど、たまにはこんなこともいいよな、?笑


猫は橙の少し先をゆっくりと歩いていた。


こんな待ってくれてるみたいな歩き方、、笑

ホラゲのオープニング流れ始めそうで怖いんやが笑笑












「わ!お前橙に海見せたかったんか!?笑」

「かわええなあ」

「にゃぁ」


猫についてくとそこは海で、傾いてきた日を静かに水面が映していた。

どこまでも続いている水平線が綺麗で気持ちいい。

猫は、ありがとうなと撫でるとにゃあと一つ鳴いてそのままどこかへ行ってしまった。

茶トラは人懐っこいのが多いとか聞くけど、どうやら此奴は気分屋でもあるらしい。

猫じゃあれだし茶トラって呼ぼうかな…?そのまんますぎるって!?いいやん茶トラ!




もうどれくらいたったのだろう。

ただ、橙は堤防に腰掛けて足をぶらぶらと何もない時間を過ごしていた。

潮の匂いが心地よかった。

夕凪の海が眩しかった。

それだけでも、幸せなのかもしれない。でも、、。

そう思えたらよかったな、


横においていたリュックからスマホを取り出して電源を入れて、青とのトーク画面を開いてみる。

『…』

やっぱりダメや

最後に言いたいことなんてない、

そんなの、あっちゃいけないんや。

再び電源を落としてリュックの一番底につっこんでおいた。


もう橙のやるべきことは済ませたし、このまま飛んでもいいんやけどな、、笑

死んでもいいよなんて言いたかった。もう、言えるはずもないのだけど。








「みゃあ!」

「あれ、茶トラまた来たんか」


とてとてっと無言で橙の足に乗ってきたから、橙も無言で撫でてやる。


茶トラが昔飼っていた猫に重なって、それからまた青の顔を連想してしまう。

青、彼奴のことも可愛いって言ってくれたっけな

まあ橙が育てた猫なんやから可愛いのは当たり前の話なんやけどっ!


青、今何してるかなあ…、

ここ一緒に来てみたかったな…とか、

青のこと、どこに居ても考えてしまう。こんな自分が大嫌いだ。


「……っ」

気づいた頃には涙が落ちて、茶トラが驚いたようにこちらを見ていた。

茶トラに涙あたってしもたんか、でもボロボロと止まる様子はない。

ああ、好きだな青ともっと一緒に居たかったな、

思えば思うほど涙が止まらない。

人が今通ったら不審者って思われるんかな、笑

でも、声を上げて泣いてしまうのを止めるのは今の橙には到底できるはずもなかった。

茶トラはただ橙の膝の上にずっと居てくれた。




なんて綺麗な日々だったろう

なんて楽しい毎日だったろう

情けないほど橙は青に夢中だ


「橙、好きだよ。付き合ってください!」

「かわいーねぇ笑」

「ちょ、怒んないでよ〜」

「おいしいー?ならよかった!」

「橙!」

青の笑顔が次から次に思い出された。


ああなんて優しい言葉で話すんだ

なんて温かい顔で笑うんだ!




「全部知ってるよ。橙が俺のことだいすきなのもね!笑」


ああ最悪だ。君を好きなことがバレた。

だから、橙は遠くへ行こうと思う。


好きだよって言葉を使わないで好きだと伝える。

この別れが橙からの最後の愛。

青、受け取ってくれるんかな?








最終話!

長くなって、そして急な完結になってしまってごめんなさい😿💧


ここまで見てくれた方達ありがとうございました꒰ᐡ ᴗ͈ˬᴗ͈ᐡ꒱♩




ほんの少しだけの期間ですが、一時的にフォロワー限定を外そうと思います!またいずれ戻しますけどね


難しい言葉とか、月が綺麗ですね系(馬鹿にはしてない)の表現多かったから、

今度ぷち解説出そうかな〜って悩み中だにょ💭(きも)

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