sxfnー「誰のために、?」
メイン…🎼💜💚
注意書き
※世界観が少し違います
※死ネタ要素あり
※流血要素あり
※暴力要素あり
※ご本人様とは関係ありません。
個人的な感想ですが、終わり方がモヤっとするかもしれません。後味悪くても大丈夫な方のみ、見ることをオススメします。
それではどうぞ!
〈💜side〉
💜「………収穫なしか………」
ビルの屋上を見渡し、そう呟く。……
夜ということもあり…見下ろす景色はとても光り輝いて綺麗だったが、今の俺にはそんな景色を楽しむ余裕はないためすぐに景色から目をそらした。
💜「さてと、帰るか。タッタッタッタッ………ザッ…タッタッタッタッ」
ビルから抜け出した後、気づかれないように路地裏へ素早く潜る………深いところに行けば行くほど、暗すぎて前後左右を見失ってしまいそうだ。
まぁもう慣れたものだが。
そこから…何度も何度も角を曲がり、隠し扉を超えてようやく拠点につくことが出来た。
💜「ガチャ………ふぅバサッッ……」
拠点の中に入って、二重の鍵かける。
拠点の中が完全に安全ってわけではないけど、少なくとも今1番気を許せる場所。俺はつけていた黒いフードとマスクを外す。
?「あ、おかえりー」
💜「………すっちー…か」
💚「そりゃ俺しかいないでしょw」
💜「……もしかしたら違う可能性があるかもだろ?お前も俺を信用し過ぎは良くないぞ」
💚「いや合鍵持ってるのいるまちゃんだけだから……警戒とかないよ。」
💜「……相変わらず危機感がないな」
💚「もういいでしょ!ほら……ご飯、ポトフだよ」
💜「……豪華じゃね?」
💚「余ってた物で作っただけだから豪華ではないかな?」
💜「…………料理センスだけ何でこんなずば抜けてるんだよ。」
💚「他もできるし!……早く席座って!食べるよ!」
💜「へいへい」
こいつはすち。色々な理由があって、俺と行動を共にしているやつだ。
できることが多い分有能ではあるが、正直この世界の適正にはあってないもったいないやつだ。
💜「…モグモグ……うっま」
💚「ありがとぉ〜」
💜「パクッ…パクッ…」
💜「ごちそうさま」
💚「お粗末様でした」
💜「(食器を片している)」
💚「あ!てか見て!!」
💜「ん?」
💚「リビング綺麗にしたんだよ!」
💜「いやもう拠点移すから意味ないぞ?」
💚「えっ?もう!?」
💜「……そろそろアイツらに嗅ぎつかれそうだからな、事があってからじゃ意味ないし。」
💚「………アイツら」
💜「”政府派遣処理班”からの追いかけっこはもう嫌だろ?」
💚「うん……それは嫌だ。」
💜「なら今のうちに見切りつけとけこの家に」
💚「うん………」
💜「はぁ……(ソファに腰掛ける)」
派遣処理班……本当に迷惑この上ないぜ。
数年前、俺等の国に1つの法が定められた。
「この国に必要なのは忠誠心だ。この国に必要なのは平和だ。この2つが満たされてないものは、「プレデター」と分類して、処理班を派遣して対応して貰う。」
まるで、人が変わったかのようにとち狂ったことを定めた。
対応………つまり殺害だ。「プレデター」という危険人物はこの国にはいらない。だから殺すんだ………。
そして………俺も認定されてる…
理由?……あんまり分からねぇけど、多分小さい頃に家族全員を殺したからかな…それ以外に心当たりはねぇわ。
平和を望むなら……過去に残虐なことをしたやつも「プレデター」に分類させてもおかしくはない。
んで、俺は今処理班から逃げるためにコソコソと拠点を変えてひっそりと生きてる。
正直ストレス溜まってるが、命には代えられないからしょうがない。
💚「…………また逃げるんだね」
💜「………寂しいか?」
💚「当たり前じゃん。毎回数週間しかこの土地に居れないけど、それでも寂しさはあるよ。」
💜「…なら、俺についてこないのもありだぞ」
💚「…、」
💜「お前みたいな情の厚い人間はずっとこうだからな、嫌なら全然ついてこなくていい。そもそもお前は「プレデター」認定されてないからな…いつ離れても大丈夫だぞ。」
💚「何言ってるのいるまちゃん。」
💚「離れるわけないでしょ、確かに寂しいけど…それでいるまちゃんの傍に入れないのは嫌だ。」
💜「………変わったやつ…ガチャ」
どんな説得をしてもこうだ。お前はこの世界の適正に合わないのに、無理して合わせて。
……本当に馬鹿だ。すちは…
〈💚side〉
“生きる意味を探すのも良いんじゃねぇの?”
その言葉が俺を変えてくれた。
俺は幸せな家庭で育った。母は医者、父は薬剤師という医療コンビでいつも忙しそうだったけど、俺のことを第一に考えてくれる優しい両親だった。
休みの日はいつも何処かへ連れてってくれて、お金はあるから多少無茶しても十分楽しめて毎回面白かった。
俺も母さんや父さんみたいな人になりたいと強く思ってた。
どんな人にも優しく、他人のために全てを尽くせる人。俺の目指した理想像。
そんな母さん父さんと一生傍で過ごせると思っていた。
あの法ができるまでは。…………
全ての人間を「プレデター」かそうでないかを分類する法。通称「プレデター法」が発令させた。
国が勝手に人を「プレデター」という危険人物かを判断して、「プレデター」なら容赦なく命を奪う………。そんなおかしな法。
幸せだった日常がガラリと一変、何処からともなく叫び声が聞こえてくる毎日で、母さん父さんは馬車馬のように働いていた。
俺は幸いにも「プレデター」には分類されなかったから安全に暮らせてたけど、誰かの叫び声が聞こえる状況は頭がおかしくなりそうだった。幸せな日常に戻りたいと強く、心の中で求めていた………
俺みたいな考えを持ったやつが少なからずいたようで……「プレデター法」に反対するものが現れた。
それが俺の両親を中心とした反体派閥、「プレデター法」を根本から否定し無くそうと動く派閥。最初は小さかったけど、活動を続けていけば行くほどどんどん大きくなって、いつの間にか全国各地に反体派閥ができていた。
いつか………「プレデター法」がなくなるんじゃないかとちょっと希望を持って過ごしてた…
でも希望が絶望に変わるのは早いものなんだ。
💚「ビチャ(身体に両親の血がべっとり付く)…………は…」
処理班「ピッ…反対派閥の主犯格を処理しました。帰還します。………テクテクテクテク」
💚「……何でだよ…っ!」
処理班「………」
💚「何で…母さんと父さんが殺されなきゃいけないんだよッッ!!俺らは「プレデター」じゃないだろ!!!何で……ッッ!」
処理班「国への忠誠心が少ないと見られ「プレデター」に分類された。」
💚「!!」
処理班…「あいつらが「プレデター」なら反体派閥にもう目もつぶらなくていいからな。だから処理した…。」
💚「…そんなの…ッッ自分勝手だよ…ポロポロッ」
処理班「お前は「プレデター」じゃないから処理しないが…こうなりたくなければ今の生活に満足してのうのうと生きるんだな…ガチャ…」
💚「…………クソ…が…ポロポロッ」
そう呟く言葉には、俺なりに処理班への怒りを込めた。
でも、今にも消えてしまいそうな俺にとっては威勢なんて一切ない弱々しいただの言葉にすぎなくて、処理班は俺を見ることなく去っていった。
国にとっての俺らの存在は本当にどうでもいいんだなってつくづく思う。「プレデター法」がまるで厚い城壁を作る作業みたいだ。
目の前で果てる両親の命、理不尽で埋め尽くされてる奪われた理由、国のクズさ。
一夜にして俺は知ってはいけないものを知りすぎた……
あの日のことを思い出すと気分が悪くなり吐き気を催すようになった。毎回こみ上げてくる気持ち悪い物を吐く。中にある異物を取り出しても身体の体調は悪化する…熱さが増して呼吸ができない。
苦しい…辛い…痛い…熱い……。
自由のようで自由じゃないこの環境で……
生きたい…なんて思うことは日に日になくなっていった。
💚「ヒュォ~……風、気持ちいな」
この日俺はビルからの飛び降り自殺を決意していた。
このビルは誰も寄らない自殺にとっておきのビルだから、邪魔されず消えられる。
もう生きたくない。天国でまた両親に会いたい。その思いでビルの屋上に来ていた。…………
………のに、予想外の出来事が俺の人生を分けた。
💜「ガチャ」
💚「……え?」
💜「は?…」
飛び降りる決心をしたとき、1人の男性がまさかのこのビルの屋上に現れた。そんなタイミング!?っと、内心めっちゃ焦った
💚「……誰?」
💜「それはこっちのセリフだ…何でこんなところに居るんだよ。」
💚「…もしかして「プレデター」の人?」
💜「!…バッ」
💚「身構えなくていいよ、別に何もしないし」
💜「…信じられるかよ。「プレデター」ってだけで無差別に殺させるこの環境で…」
💚「…生きにくいよね、絶対」
💜「あ?」
💚「……いつか殺されちゃうんだから」
💜「…お前も「プレデター」なのか?」
💚「いや?…でも俺の両親はそうだった。そして殺された」
💜「………」
💚「…俺はこれから飛び降りて4ぬつもり、だから君に害は与えない…何もメリットがないから」
💜「そうかよ…何で自殺するんだ?」
💚「…こんな絶望をずっと味わいたくない。もう辛くて悲しい気持ちは嫌だ、早く4んで両親に会って楽になりたい…。」
💜「………」
💜「つまらねぇ人生だな」
💚「えっ?」
💜「自分で自分を打ち切る…決められた人生ほどつまらないものはない」
💚「な、なにも知らないくせに!」
💜「1回の苦しみで人生を諦めてしまう弱いお前に言っておくぜズンッッ(近づく)」
💚「!…(は、早い…)」
💜「俺は「プレデター」になってから何度も4にたいと思うほどの経験をした…少なくともお前よりかはしてる」
💚「………」
💜「それでも俺は4ぬ気なんて微塵もない」
💚「!!」
💜「苦しくてもそれが俺の人生だ、なら前に進む。」
💚「………」
💜「まだ俺の人生は長い、これからもこの苦しみが続くかもしれねぇが…スリルある方が面白い。逆に何かのどんでん返しで俺が王になるかもしれねぇからな。」
💚「……結局何を言いたいの……」
💜「…生きてる限り可能性は無限ってことだよ。可能性が続く限り俺は生きる。それが俺の天命だ」
その真っすぐな考えに、少しだけ意識が飲み込まれた気がした。
💜「だから今のお前はつまらねぇ…」
💚「ッッ(分かってる…でも辛いから…っ)」
💜「お前は「プレデター」じゃないし生活も十分整ってる…お前の人生の時間はこれからたくさんあるだろうな…なら」
💜「”生きる意味を探すのも良いんじゃねぇの?”」
💚「!……生きる…意味………」
💜「………まぁどうせ4ぬならな、心残りは少ないほうがいいしな。」
💚「………意味…………(考えたこと…なかったな)」
💜「……どうだ?何か思いつくか?」
💚「……思いつかない……でも……その言葉に納得してしまった俺は、もうこのまま飛び降りはできないかな。」
💜「………そ…」
💚「……………」
💜「はぁ………おいお前。」
💚「……チラッ」
💜「ついてこい。」
💚「えっ………?」
💜「…1週間だけ、面倒見てやるよ。そのうちに生きる意味でも何でも探せ」
💚「きゅ、急に……何で??…さっきまで関係ないって…」
💜「確かに関係ないけど……今のお前を見てると…」
💚「…見ていると………?」
💜「……やっぱ何でもない。知らなくても良いことだ」
💚「…そうなんだ。」
💜「まぁ……俺もお前みたいな状態なったことあるから分かるけどよ…1人で立ち直るのって辛いよな。」
💚「うん………1人は…辛いよ。ずっと痛いもんッッ」
💜「俺も…施設にぶち込まれてからメンヘラピンクがうざいくらい話しかけてきたから、ここまで立ち直れたし」
💚「?…メンヘラ??」
💜「あー…何でもねぇ…とにかく、1週間は面倒見てやる。その後は4んでも生きても知らねぇ勝手にしろ。」
💚「……(…とにかく、助けてくれるのかな…)」
💜「おら…行くぞテクテクテクテク…」
💚「う、うん……タッタッタッタッ」
とりあえず、言われたまま俺はついて行った。
紫髪の彼はいるまと言うらしい……
「プレデター」で忙しいだろうに……何で俺に構うのか…
ここから俺の生きる意味探しの1週間が始まった。
💚「……テクテクテクテク」
💚「(生きる意味を探すためにまずは何もせずに町をじっくり見ながら歩いてこいって…いるまちゃん変なこと言うね…こんなの何の意味が…)」
そう思っていると
住民「あぁ”……ぅあ”“…ッッ……ぐ…」
💚「?…何か声が…」
住民「あぁ……だずげ”……でっ……バタッ」
💚「ッッ!?」
俺は血塗れの男が、路地裏から這い寄って出てくるところを目撃した。
そして……助けを求めていた。……
💚「大丈ッッ!………っ……(駄目だ、ここで声をかけたらいるまちゃんとの約束は破ることになる………でも大丈夫…きっと他の誰かが…)チラッ」
💚「……は?…………」
周りの人はこの人を目の前に、スルーをかました。嘘だろ…と強く思うが、誰も目線を向けないあたり本気でスルーしてるんだと思う。
俺は医療コンビの親がいたから分かる。弾痕の多さと服についた血の量、そしてこの人の肌の悪さから…この人はあと数分で亡くなる。
なのに誰も無関心で………いや、関わったら駄目と本心が訴えてるのかも知れない。
💚「…おかしいよ、こんなの…」
💚「ガチャ」
💜「帰ってきたか……どうだ?何か分かったか?」
💚「……うん、いっぱいね」
💜「………因みに、すちは俺の約束を優先して見殺しにしたな」
💚「ムッ…なら最初からそんなこと言わないでよ!俺だって…助けたかったよ!!」
💜「知ってる、だから何もするなって強く強く釘刺したんだ…どうせ面倒事に突っ込もうとするからな」
💚「………」
💜「…あの血塗れの男は「プレデター」だ」
💚「えっ?」
💜「あの弾痕と弾の種類的に…あれは国の銃だ…なら確実に「プレデター」だろう、あとお前以外の人間はこの事実に気が付いている」
💚「!!…てことは…「プレデター」を意図して…無視したって…こと?」
💜「そうだ、手を差し伸べる奴なんていない。今の時代手を差し伸べることのメリットなんてない。………俺だって無様な姿を晒しながら、血塗れで4ぬ可能性だって毎日あるんだ」
💚「!!」
💜「……「プレデター」の大変さが理解できたか?」
💚「……………「プレデター」…俺が耳を伏せていたあの間に…社会は変わっちゃったんだね」
💜「今更か…まぁでも、生きる意味を見出すなら…これぐらいは適応しないとな……」
💚「………」
これが適応?見殺しにすることが……?あんな苦しそうな人を放っておくほうが?
💚「おかしい……本当におかしな世界になっちゃったね」
💜「ん?」
💚「……いるまちゃんはこの世界…おかしいと思わない?」
💜「思うが、そんなのに時間を割く余裕なんてない。割くよりも適応するほうが楽だ。」
💚「………」
違う…それは違う。
俺が証明してみせる……見捨てる理由なんてないってことを証明する!
それから俺は数日かけて準備をしまくった。
💚「………テクテク…テクテク…(今日は何も言われてないし、好きなことをしよう)」
まずは必要なものを買い揃えた。意外とお金は持っていたから、全然足りて必要なものを買い揃えることができた。
💚「これとこれと…おし…できた。」
💚「ただいま〜」
💜「お前……何してたんだ今日」
💚「何って…買い物?」
💜「知ってる。何買ったんだ」
💚「色々!それよりいるまちゃん……」
💜「ん?」
💚「使わない部屋…ある?」
💜「あ〜あるぞ…そこの部屋」
💚「ここ今から俺使うから……」
💜「…………何するんだよ」
💚「それはお楽しみ…ガチャ」
💜「……まじでなにすんの」
💚「…広さはこのくらいか…十分ガサゴソ」
俺は今日買ってきた材料を全て出した。
💚「器具もあるし…これなら作れるだろう。」
そして、俺はあることを取り掛かった。
数日後………
💚「おし……このぐらいできたなら大丈夫!おし外に行くか!!」
💚「タッタッタッタッ……ここぐらいに居れば……きっと……」
住民「あぁ…………あぁ”…」
💚「!!(居た!…傷ついた人)」
住民「たず…げて”…ポロポロッ」
『テクテクテクテク……』
住民「ポロポロッ(あぁ……このまま…野垂れ4ぬのか……嫌だなぁ…何で「プレデター」なんかに…)」
💚「タッタッタッタッ大丈夫ですか?」
住民「!?……ぇっ…ゲホッゴホッ!」
💚「!!…あぁ!辛いですよね…あと少し頑張ってください!(壁によりかからせる)」
住民「うぅ……ふぅ”ッッ……何…を」
💚「何って……助けて欲しいんですよね。なら…助けますよ」
住民「!!」
💚「……俺自身も見捨てれないので」
そう……俺はずっと、治療するための包帯やガーゼ、薬を作るための材料、薬を作るための器具などを買い揃えて治療セット作りをしていたのだ。こうやって放置されてしまう「プレデター」の人を治療するために……
俺は…薬剤師の父と医師の母がいるから、そこら辺の知識は精通している。
だから、薬も作る事ができたし応急処置なども実践でできた。
数十分後
💚「……おし、終わりました。どうですか?体の痛みは」
住民「引いてきて楽になったよ、ありがとう君」
💚「いえいえニコ…当たり前のことをしたまでです」
住民「…今の時代じゃ当たり前じゃないんだけどな、それは」
💚「俺にとっては当たり前です!…困った人が居たら…助けたくなっちゃうのは。俺の両親も医療関係に精通していたのでちょうどね!こうやって助けれるんですよ!」
住民「……優しいんだね、君は…」
💚「そんなことないですよ」
住民「……そんな君に、少し…意地悪なことを言ってもいい?」
💚「?」
住民「君は「プレデター」を率先して直してるみたいだけど…「プレデター」は悪いやつらばっかなんだよ。」
💚「………まぁ…」
住民「「プレデター」に認定されてるやつは、過去に大犯罪を犯した者や素行の悪い人間として終わってる者…そんなやつらばっかさ。俺だって…過去に何にしてるかもだぜ?」
💚「…そうかもですね…じゃないと認定されませんからね」
住民「…そんな悪いやつらを直して…何の意味があるのかな?」
💚「……そうですね。…」
💚「人のためでもあるし自分のためでもある……ですかね。」
住民「…というと?」
💚「…俺は救える人間を見捨てるなんて嫌なんです。それが「プレデター」だろうと関係ない…救える範囲の人は可能な限り救いたい。そんな大きすぎるプライドが俺にはあります。」
住民「……」
💚「誰であろうと救いたい……それが俺の活動の意味。でもそれで……俺は生きる意味を見い出すことができた…だから、少しは自分のためでもあるのかなって……」
住民「なるほど……ね」
💚「…でも、その方が良いでしょ?」
住民「?…どうして?」
💚「この大きなプライドがあれば…絶対に”救わない”なんて選択はしないから。」
住民「!」
💚「あと…「プレデター」全員が悪いやつらって訳ではありません。…理不尽でなってしまった人、本当は善人な人……そんな人が「プレデター」の中にも居る。だからこそ、助けなきゃって思うんです」
住民「……君…。」
「あぁー!!!!……」
💚「!!」
住民「……他の場所でも襲われたか…」
💚「俺!行ってきます!!」
住民「あ、……うん、気をつけてね」
💚「はい!あ、あと…もし次襲われたときの傷薬と包帯を渡しておきます。」
住民「!!…い、いいのか?」
💚「はい!このぐらいは材料があればすぐ作れるので!それではタッタッタッタッ」
住民「作れるって…どれだけ凄いんだあの若い子………君みたいな子がまだ居るってだけで、俺達は救われるよ。」
💚「タッタッタッタッ!」
住民「うっ……ハァハァ」
💚「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」
住民「ぅ………うぅ…」
💚「(重症だ…早く取り掛からないと!!)あと少し耐えてください!!」
住民「……はぅ……がぁ’………」
💚「ッッ(辛そう……)」
その日、俺は色んなところを駆け巡って傷ついている人を直しまくった。
💚「ただいま」
💜「………スッキリした顔だな」
💚「うん!」
💜「昨日まで部屋に籠もりっきりだったから、何してんだと思ってたけど……まさか「プレデター」を助ける活動をしてたとはな。」
💚「薬の調合とか意外と時間がかかっちゃって…遅くなっちゃった。」
💜「……数日で作れるのは早い方だと思うけどな」
💚「みんなしっかり助けれてよかった〜」
💜「……すち?」
💚「ん?」
💜「今日で1週間だな」
💚「………そうだね」
💜「生きる意味……見つかったか?」
💚「…………うん。見つかった…」
💚「俺は誰かのために動くこと、それに生きる意味を見出す。俺の両親と同じように、立派な人になりたい。」
💜「そっか……なら、俺はお役御免だな」
💚「………」
💜「生きる意味見つけれてよかったな、自殺はもうやめとけよ〜」
💚「……ッッ」
💜「んじゃ…テクテク…」
💚「ガシッッ!!」
💜「……はっ?すち?」
いるまちゃんが俺から離れていく姿
彼の背中を去っていく姿を見ていくと、両親が消える瞬間、4んじゃう瞬間を思い出す。
両親といるまちゃんが重なってしまう。
💚「…………俺、知ってるよ。いるまちゃん」
💜「何が……」
💚「この1週間、ずっと俺のこと…見てくれてたよね」
💜「…………そんなことねぇよ」
💚「俺が何をしたか言ってないのに話が無駄に噛み合ってたんだけど…それは?」
💜「……たまたま」
💚「たまたまで片付けないでよ。見守ってくれてたでしょ。」
💜「……はぁ、はいはいそうですよー…で、だから何?」
💚「………俺、「プレデター」の人達をみんな助けててさ…思ったんだ。」
💚「いつかいるまちゃんもこうなっちゃうのかなって……」
💜「……まぁ、あるかもな」
💚「いるまちゃんと数日しか過ごしてないけど、俺はそれでもわかるよ。君はとても優しい人で、周りをよく見てて、「プレデター」じゃなかったら素敵な青年になってたと思う。」
💜「………数日ごときで、俺を語らないでくれる?俺にそんなイメージ持つなよ」
💚💜「「別にお前のことも興味ないし」」
💜「!!」
💚「……わっかりやすい」
💜「っこいつ!……(読まれた)」
💚「興味ないなら、何で助けてくれたの。」
💜「それは……」
💚「言ってたよね、今の時代は手を差し伸べるのにメリットなんてないって…それを理解してるなら何で助けてくれたの、見ていてくれたの、生きる意味探しをさせてくれたの」
💜「………」
💚「そんな君は4んでほしくない」
“俺だって無様な姿を晒しながら、血塗れで4ぬ可能性だって毎日あるんだ”
💚「無様ないるまちゃんも血塗れないるまちゃんも見たくない。」
💜「…つまり何が言いたいんだよ」
💚「俺を…いるまちゃんの傍に居させて」
💜「はっ!?」
💚「……駄目かな?」
💜「駄目に決まってんだろ!!お前がこんな世界にいる意味なんてない!!」
💚「…じゃあ俺はいるまちゃんにメリットを提供する」
💜「…メリットだと」
💚「俺は医療関係の知識を持っている、困ったときや怪我したときは俺が助けることができるよ。それ以外にも、サポートできることはたくさんある!戦闘面は無理でも、生活面は俺は確実に役に立てる。」
💜「………」
💚「もしいるまちゃんについていったら、俺は各地で怪我人全員を片っ端から治療しようと考えてるんだけど、そしたらその怪我人の出所から”政府派遣処理班”の場所も大体は絞ることもできる。」
💜「………」
💚「俺は!必ず役に立つから!!傍に置かせて!」
💜「……はぁ……」
💚「……ビクッ」
💜「俺はメリットがないからすちを傍に置かないって言ってるんじゃねぇーんだよ」
💚「……なら、なんで、…」
💜「お前はこの裏世界で生きていけるやつじゃない。」
💚「っ…!」
💜「他人のことを思いやって誰にでも情を持つ。そして4んだら心から悲しみ、弔う………そんな隙だらけお前は……この世界に来たら駄目なんだよ。」
💚「………」
💜「はっきり言うぞ。すち、お前が俺についてきた場合………苦しさや痛みに押し潰されながら、ロクでもない最低最悪の4に方をする」
💚「…………」
💜「生きる意味を見出したなら、それをドブに捨てるようなことはしないほうがいいぞ。」
💚「グッ………(拳を強く握る)」
分かってる、全部俺が1番知ってる。
俺は「プレデター」に関わるべき人間じゃないことぐらいは、この数日でよく分かった。
でも、しょうがないじゃん。
放っとけない、見捨てれない、何かできることをしたい。
そしてただいるまちゃんの傍に居て……
君を守りたいだけなんだ。
💚「……やっぱり優しいね君は」
💜「…はっ?」
💚「俺を気遣ってくれるなんてさ」
💜「だから!そんなんじゃ…!」
💚「俺は…それでも変えるつもりはない。」
💜「……ドブに捨てるのか?」
💚「捨てるつもりもない。」
💜「………何?」
💚「俺は人のために動いて、人のために助ける。それが俺に1番合っている。」
💚「でも、その”人のため”の中は…君にも該当するんだよ。いるまちゃん」
💜「………!」
💚「「プレデター」な君の傍に居て、助けたい…それも俺の生きる意味なんだよ。」
💜「………」
💚「全部分かってる。今の俺は甘い甘い考えを持ったやつってことも……迷惑かけるかも知れない。でも、必ず役に立ってみせるから…だから!」
💜「あーはいはい分かった分かった!」
💚「!!」
💜「……そこまで粘られると、もう面倒くさいわ」
💚「……てことは!」
💜「付いてきてもいいけど、足は引っ張んなよ…すち」
💚「!……うん!!ニコ」
💜「(…純粋な笑顔ができるすちは、この世界に来てほしくなったんだけどな)」
💜「まぁ……いいか…」
💚「……思い返すだけで、懐かしいな」
耳を塞いで、嫌なことから逃げてばっかだった俺が……
今こうやって生きる意味を明確にさせて、君のために動くことができている。
今の俺に生まれ変わることができたのは100%いるまちゃんのおかげ。
感謝してもしきれないよ。
💚「ふふ〜ん」
💜「何ニコニコしてんだすっちー。」
💚「な、なんでもないよ!!」
💜「?、そうか…まぁそろそろ拠点移すから準備しとけ」
💚「おけ、荷物もまとめとくね」
💜「持つものはできるだけ少なくしとけよ〜」
💚「いるまちゃんの持つものが少なすぎるんだよ……普通はこのぐらいだよ?」
💜「食料と武器と防衛グッズさえあればだいたい何とかなりますけど?」
💚「それはいるまちゃんだけ!!」
💚「……ガチャ…準備できたよいるまちゃん」
💜「おけ……あ、そういやマスクの上にガスマスクも付けとけホイ」
💚「うぇっ…二重にするの?」
💜「政府側は最近毒ガスも使うって話しただろ?…準備しとくに越したことはねぇぞ」
💚「あ〜…そういえば前してたね。へぇ…なら、毒を分解する薬も作らなきゃ」
💜「…便利だな本当にそれ」
💚「そう…?」
💜「おん、とまぁ…そんなことよりも…そろそろ行くぞ」
💚「うん……」
💜「………ガチャ……チラチラ(ドアを少し開けて外の様子を、確認する)いない…行くぞタッタッタッタッ」
💚「……タッタッタッタッ」
さっきまで、楽しくご飯食べてたのにな。
少し寂しさを感じながら、前を走る彼にずっとついていく。
今俺たちはもう次の拠点移動をしている。
こんな早く拠点移動をするなんて、時の流れが速いと思った。
いや……違うか、政府側の嗅ぎつける能力が高くなっていってるんだ。
………じゃないといるまちゃんがこんなペースで拠点移動なんてしない。
💜「……こっちかボソッタッタッタッタッ」
💚「タッタッタッタッ…こっちなの?」
💜「………あっちのルートは嫌な予感がする」
💚「…………そう、なのか」
💜「………………すち急ぐぞタッタッタッタッ」
💚「タッタッタッタッ」
いるまちゃんが少し手間取ってる。
それを見ていると逃げる場所をじわじわ狭められている現実に、俺は焦りを感じてしまった。
もう魔の手がそこまで来てるんじゃないかって……心の奥底に埋まっている思いが掘り返される。
このまま……狭まる壁がやってきて……最終的に……………
💜「!!すち!」
💚「へっ?」
💜「ガシッ!!」
💚「うわっ!」
処理班「…チッ当たらなかったか」
💜「…ボーっとすんな、俺がいなかったら4んでたぞ」
💚「ご、ごめん……」
処理班「……情報だと、「プレデター」1人のはず……まぁいいか。後ではっきりさせればカチャ」
💜「……逃げるぞっタッタッタッタッ」
💚「タッタッタッタッ」
処理班「ピッ……目標見つけました。北に上昇中。そのまま追いかけます。」
💜「タッタッタッタッ」
💚「タッタッタッタッ」
処理班「バンッ!!!バンッ!!!」
💚「スカッ!!……ぶなっ……(よ、避けれた)」
💜「タッスカッタッタッタッ(障害物を駆使して避ける)」
処理班「ちょこまかと…」
💚「(しつこい…けど、このまま逃げ続ければ…!)」
💜「!っズザザザッ……」
💚「…いるまちゃん、何で、止まって……」
💜「……仕組まれたのか」
処理班『テクテクテクテク…カチャ……(銃を構える)』
💚「!!…嘘、挟まれた!?」
処理班「……諦めてこっちにこい、じゃなければ……最悪の道を選ぶことになるぞ」
💜「………」
どうしよう!どうしよう!!
どうすれば!…俺は何をすればいい!?
……一か八か飛びついたら隙ができて、その間に逃げれるか?…
いや相手は”政府派遣処理班”、一筋縄じゃいかない。
どうすれば…………
💜「ははっまだ「プレデター」じゃないやつには、心があるんだな!お前らも……少し見直したぜ」
処理班「……何?」
💜「でも、その油断を「プレデター」に見せてる時点で……お前らの負けなんだよ!!」
💚「!?」
処理班「ぐわぁっー!!何だ…これ!!クソ!」
💚「(な、何が……)」
💜「ガシッッ!(掴む)」
💚「うわぁ!?」
💜「シュン!!(ワイヤーを引っ掛けて、上に逃げる)」
処理班「!…バン!!」
💜「カスッ!!…っ…」
💚「!!…い、いる((ムグッッ」
💜「喋るなボソッ…バレるぞ…シュルシュル(ワイヤーで上がってる)」
💚「……(上がっていってる……でもこれ、バレたら……撃ち落とされたら…ッッ…)」
💜「………トントン」
💚「!!」
💜「……俺がいるからボソッ…」
💚「!………(いるまちゃん……)」
💜「心配すんな…トントン」
💚「(…すごく安心する、いるまちゃんの方が…怪我してて大変なのに)」
💜「シュルシュルシュル……タッ(着地)おし。行くぞ」
💚「いるまちゃん…き、傷!」
💜「そんなの今はどうでもいい、速く逃げるぞ!!タッタッタッタッ」
💚「う、うんタッタッタッタッ」
処理班「逃がすなぁ!追え〜!!」
💚「…ハァ…ハァ…ハァ…」
💜「ガチャリ…鍵もかけた、もう安心だ…(黒フードとマスクを取る)パサッ」
💚「な、長かった…半日以上追いかけ回されたのは初めてだった。」
💜「ん、お疲れさん…よくついてこれた」
💚「そうじゃないと、いるまちゃんの傍に入れないからね…」
💜「そんな理由でか?」
💚「俺にとっては重要!」
💜「…ふーん」
💚「あ、てか…いるまちゃん傷…」
💜「あぁ…別に」
💚「駄目!直すから…」
💜「…………かすり傷なのに、もったいねぇ」
💚「怪我にもったいないもないから、消毒するよ」
💜「おん」
💚「プシュプシュ………(治療を進めていく)」
💜「…………………」
💚「…………………あ、あのさ」
💜「ん?」
💚「ごめん…俺、少し足手まといだったよね。…ボーっとしてたし…」
💜「……」
💚「………次から気をつける。」
💜「確かにボーっとしてたのはどうにかしてほしいが……今回はお前がいなかったら切り抜けられなかったかもしれないからな」
💚「えっ?……そうなの?」
💜「あぁ…俺だけだったらあのとき容赦なく撃ってただろうな「プレデター」だし。でも、お前がいたから、あいつらは…撃ち殺す判断に抵抗が生まれてしまったんだ。」
💚「そ、そうなんだ……でもそれを切り抜けたのって煙幕のおかげでしょ?」
💜「あれはただの煙幕じゃない、あれには催涙ガスが含まれている」
💚「!!!!催涙ガス!?…………え……あ!だから!?」
ー数日前ー
💜「なぁすっちー?」
💚「ん?」
💜「俺も、薬について知識持っておきたいから。少し教えてくれ」
💚「え、急だね…まぁ大丈夫だけど…えっとね、ーーーーーー、でーーーー」
💜「…ふーん」
💚「ーーーーー、ーーーーーー。」
💜「……ふーん」
💚「ーーーーーーー、ぐらい?」
💜「…因みに、最近あいつらは…狡いことにガスとかも使うようになってきてるらしいんだが…そこら辺の構造とかも分かるのか?」
💚「まぁ〜毒ガスとか催涙ガスとかなら全然分かるけど……」
💜「催涙ガス…………催涙ガスってどんな仕組みだ?」
💚「えっと……ーーーーーーーーとーーーーーーーでーーーーーーーーーかな!」
💜「……おっけ」
💚「てか何で催涙ガス?」
💜「…なんとなく、ありがと、勉強なったわ」
💚「うん!どういたしまして!」
💚「だからあのとき…俺に催涙ガスのことを聞いて…」
💜「あの知識を参考に煙幕を作らせてもらった。」
💚「……そ、そうなんだ」
💜「だから、その2つの要素が抜けてたら…今の怪我以上を負ってただろうな」
💚「……そうなんだニコ」
💜「何ニヤついてんだ?」
💚「な、何でもない!ほら治療完了!」
💜「ん?、あぁありがと」
💚「お、俺自分の荷物出してくるから!」
💜「おん。」
💚「テクテク…」
そっか……ちゃんと役に立ったんだ。守る手助けできたんだ。良かった
本当に、嬉しい感情が湧いてくる。他の誰でもない君から言われる言葉が1番嬉しいよ。
💚「ふふっ…これからも守るために頑張ろ!」
それから数十日後…
急に政府側の動きが止まって嗅ぎつけてくることがなくなった。
俺達が上手く撒けたから、探すのに手間取ってるのかな?はたまた…何かがあって嗅ぎつけることがなくなったのか。どっちにしろいるまちゃんが怪しんでた。
俺も薬を売ったり(※良い薬)怪我人を助けたりしようと外に出てみると、怪我人がガクッと少なくなってしまったせいで俺の仕事もなくなった。
怪我人からの情報もあまり聞けないから何処らへんに居るのかの見当もつかない。
でも、「プレデター」の人が苦しまないなら良いに越したことはない。正直今の状態はとても嬉しい状態ではある。
💚「……でも、暇なのも良くないなぁ〜…」
仕事がない今…拠点に居座ることしかできない。
💚「…薬の調合でもしておこっかな…」
解毒薬や嘔吐薬とかも作ったほうが良いよね。毒も対策していかないと!
💚「そう考えたら…行動!!」
💜「すっちー…俺情報収集言ってくるから、留守頼むわ」
💚「うん…おっけー」
💜「…ガチャ、バタン」
💚「…ぅいしょ…薬の調合するか」
💚「………ガチャ(調合部屋から出てくる)…ん〜…長くしすぎたかも…でも、収穫はあり。」
今日で解毒薬が作れたのはでかい…。このまま明日も作れたら良いな。
💚「ん、…てかあれ…いるまちゃんは?」
いつもなら…帰ってきてもおかしくないんだけど……
今の時間は……
💚「!?!?はっ……1時!?」
嘘、そんな深夜まで音沙汰なし!?何があったの!?
いるまちゃんがこんな遅くまで…帰れないなんて…何かあるとしか考えられない。
もしかして……いるまちゃんに、何かあった?
💚「………」
いや、そんなことない。いるまちゃんは誰よりも生きたがってる。誰よりも疑い深くて生への執着も凄い彼が…
そんな彼が早く4ぬなんて……ありえない。
でも、なら何でこんな遅いんだ???
トラブル?体調不良?見捨てられた?
💚「はぁ……はぁ……はぁ………はぁ……」
頭の中がグルグルする。
やばい……またあのときの感覚。両親の失ったときのあの感覚…………
苦しくなる、駄目だ抑えないと……耐えて…耐えて……ッッ
そう思っていると…
部屋に大きなノック音が聞こえた。
💚「!!…ノック音!」
いるまちゃん?……きっといるまちゃんだ!
やったッッ…帰ってきてくれた。帰ってきたんだ!!
早く会いたい。そして、もっと早く帰ってこいって俺から言ってあげなきゃ!!
💚「タッタッタッタッ!!」
💚「ガチャリ………ッッ」
本当に俺は馬鹿だよ…馬鹿で馬鹿で仕方ない。
何でいるまちゃんの警告を無視したのだろう、ずっと言われてのに………。
“……もしかしたら違う可能性があるかもだろ?お前も俺を信用し過ぎは良くないぞ”
気持ちが舞い上がって、何も考えずに無邪気に………
俺は何の疑いもせず、扉を開けた
💚「…………えっ?」
〈💜side〉
💜「クソ………急に何なんだよ。」
昨日まで動きを見せなかった処理班が、いきなりここら一帯に解き放たれた。
そのせいで外は地獄。色んなところで4体の嵐。
すちも今日は午後は薬の調合するって言ってたから……「プレデター」の生きる可能性は0だろう。
俺も処理班が多すぎて上手く動けねぇし、情報も掴めない。おまけに拠点に帰る帰れねぇし…ムカつく
💜「…何でいきなり……まるで、何かに目標を定めたように……。」
そう言葉に出したとき……点と点で、結ばれたような気がした。
💜「目標を…定める…探る、特定する…。」
💜「……まさかあいつら……俺らの…特定を……っ!」
この数十日間動きを見せなかったのは、俺らの完全排除が目的!!
だからここらへん一帯を探ったのか!俺等がここにいると見当をつけて!!
だとしたら…………一番最初にあいつらが見つけたがるものは……俺らの新しい拠点……。
💜「すち…………ッッ!?!?」
俺は拠点にまっすぐ近づく。けど、拠点周辺は……微かに…血の匂いがした。
💜「……これ、俺らの拠点から…匂って。…………行くか」
俺はゆっくり拠点に向かう。
💜「……ガチャリ…ブワァ…っ……」
扉を開けると鍵はかかっておらず、むせ返りそうなほど血の匂いが濃くなった。
💜「テクテクテクテク……ガチャリ」
俺はリビングの扉を開けた。
そこには………
💚「……ぁ…………あ”ぁ……………はぁっ”ポロポロッ」
血が大量に流れてて、もう自ら治療を行えないぐらい弱りきったすちが居た。
生きたまま痛めつけられたんだろうな。だからまだ生きてる…4にたてほやほやだけど
💜「……すち」
💚「はぁ……はぁあ”っ……いるっま…ち”ゃ…」
💜「………だからあれほど、警戒しろって言ったのに…な。」
💚「……は”あ……ッッ……おど…ろか”ない…んだねポロポロッ」
💜「当然だ。こうなることは容易に予想できた……想定内なら驚くことなんてない、例えそれが今のこの状態でも…」
💚「はぁ…はぁ……キツ…いっこ”と…いう…ねッッ」
💜「……当たり前だ。俺は怒ってるすち。」
💚「?っ…おこ、る?」
💜「もう数分で4ぬだろう、お前は俺の予想通りに終わってしまうんだ。」
💚「…っ…は”ぁ」
💜「……苦しいよな、痛いよな。…ロクでもない最低最悪の4に方だ……言った通りに。」
💚「……っ…」
💜「お前は…ずっと裏世界に適応しようと頑張ってた。でもやっぱり向いてない。生きていけない。なのに……無理して合わせて、そのツケが今来たんだよ。」
💚「………」
💜「こんな終わり方…本当につまらない。」
……出会った時…お前はまるで小さい頃の俺に似てた、だって俺と同じ目をしていたから。
何にも縋れない哀れな孤独者の眼を…。
あの目を見ていると昔の自分を思い出して、すごいむしゃくしゃするから……俺は1週間だけ保護という形で連れ帰ったのに……まさか最後まで見届ける関係になるなんて誰が予想したか…。
💜「すちを…突き放してれば…こんなつまんない結末なんかにならなかったのかな…」
あの1週間ですちはみるみる明るくなり変わった。変わってしまったから…気づかなくても良い事実に俺は気づいてしまった……。
すちは俺に似ていたんじゃない。すちは……………
俺の家族に重なって見えたんだ。
家族はいつもニコニコしてて…能天気なやつらばっか。たまにドぎついこと言ってくるけど、それ以外はだいたい笑ってる。そんな奴ら。
でもそんなやつらに、すっちーは似てるんだ。本当に……
💚「ん〜ご飯が美味しいならよかったニコ」
💚「見てみて!薬上手じゃない✨」
💚「俺100人近く直したんだって。すごいでしょ!!」
どんな状況でも、自然に笑い…今の辛さを忘れてしまうほど、明るい太陽のような笑顔。
過去を思いだす、家族はいつも俺の手を繋いで話しかけてくれて、そして俺が少しでも喋ると笑顔で返してくれる。
当時の俺は……その笑顔が大好きだった。
だからかなのか。今、お前の笑顔を見ると気が抜けてしまう。意識してないとすぐに子供のときぐらい…笑顔をさらけ出しそうになってしまうんだ……。
いや、違うか。普通の奴ならすちの笑顔なんて…そんじょそこらの笑顔と変わらない。
……俺みたいなイカれたやつじゃないと。
……俺は少しすっちーに、肩入れをしているのかも知れない。………
「優しい」と言われて、動揺した。
まんまその通りだったから。
………お前みたいなやつは、生きるべきだ。
俺の家族みたいに、俺みたいな狂った奴に巻き込まれて4んでほしくない。殺されるなんて未来を避けてほしかった。
…だから少しでも、俺から離れて欲しかったし…元の世界に戻って医者として活躍してほしかった。
でも、結局こうなった。
俺の嫌な通りに進んでいく。予想通りになってしまう。……
なぁすっちー聞かせてくれよ。
お前は今、何を思って……
4ぬまでの時間を過ごすのか…。、
💚「……はは”っ…ちが…う、よ…ッッいる”ま…ちゃん」
💜「……何が違うんだよ。」
💚「俺”は……いま……幸せ”だよ。ポロポロッ」
俺はすちの言葉に耳を疑った、幸せ?お前はこの生き地獄のような空間が幸せだと?真反対。こんなのに幸せなんてない。
💜「強がりはやめろ」
💚「違う…つよ”がりっじゃ…な、い…俺”は、幸せ。だ”って」
💚「4の直”前に……こうや”って…君、の…傍に…居られる、んだからニコ」
💜「…そんなことで、…」
💚「ん…や、ち”がぅッッ……俺は!っはぁ…それほどの………価”値…なの。…君と……居れ”て…しあわ、せ…ッッ…なの…」
💜「……っ価値……幸せ…」
本当に、お前といると調子狂う。
……4ぬ直前までお前は……お前は……
“いる………まっ………私は…あなたの…親になれて……しあわ……バタッ…”
本当に本当に………似てる。
💚「…っ…はあ…ぅ…ゲホッ(吐血)ポタポタ」
💜「!!……お前っ!………もう喋るな……そのままでいろ。4ぬのは確定してるけど、それでも最低限の痛みで4ねる」
💚「…は”ぁ…ぁ”……ポロポロッけほっ…」
💜「………もう、思ってる以上にボロボロ何だよ…お前は。」
💚「…………っ…い、る”ま……ちゃ」
💜「……話聞いてなかったのか、喋るな」
💚「ん、……最”後……最後のお”願い…聞い”…て、お願い…お願い”ポロポロッ」
💜「…………」
💜「何だ」
💚「……俺”……を、トン”ト”ン…って……して。」
💜「…そんなことでいいのか?」
💚「う”ん……あれ、ねっ。安心”する……の”ッッ。はぁ………逃げ…るとき…、い”つ、も…してくれてた。から”………あれ” が…あると……いるま”ちゃんの…傍に、いる”ッッて…より、思”える…んだニコ…ゲホッ!?ポタポタ…はぁ…」
💜「すち……っ」
💚「…ッッだ”か…らぁ……して、ほ”しッッい…はぁ」
💜「………少し身体動かすぞ…」
💚「…ん」
優しくすちの身体を起こす。けど、すぐに倒れそうになるから…俺は上手くすちを抱えて倒れそうな身体を支える。
💜「………トントン…」
💚「……ポロポロッ…あ”ぁ…お”ち、つく…ッッも”う……痛くない”や…。」
💜「………………」
💚「…こ”れでッッ…も”う…悔いはな”い、か”な…ポロポロッ」
💜「……っ……」
💜「ギュッ!!!」
💚「……っうぇ?」
💜「……守れなくて……すまん…」
💚「…………は”は…い、る”まち”ゃんの…そん”な、顔……初”めて…かも…っい”い、……冥土の”土産だねッッ」
💚「謝らな”いで……いる”ま、ちゃ”…ん……俺は…そん”なの…っ求め”てな”い。」
💚「俺”は…いる、ま…ち”ゃんの……幸せと”…「プレデター」が”、縛ら”れない…自由を…求”めてる”……から…」
💚「だか”ら……聞か”せて……ね”、…天国…で”、…幸せ”になっ”たって……」
💜「すち…」
💚「ニコ…いま”まで……あり”が”……と”ぅ……バタッ」
💜「………頑張ったな…すち、安らかに眠れ。」
俺は抱きしめていたすちの身体を優しく寝かせて…瞼を閉じさせた。
💜「………幸せと自由か……」
すちが俺に…望んでくれた2つのこと…。
ありがとう…すげぇ嬉しい。…………
でも……すまん。約束破る
俺は、天国には行けない…だって、これから罪を厚塗りするから。
💜「…(立ち上がる)…お前らは、俺をおちょくるのが好きみたいだな……命からがら逃げる俺をじわじわと痛めつけて苦しめる、そしてお前らはその行動を楽しむ」
💜「いいぜ………そっちがその気ならもう逃げるのは無しだ…。」
💜「俺が直々に会いに行ってやるよ…そして、今まで受けてきた全ての苦しみを味合わせてやる。」
小さい頃から…ずっと後悔してた。家族を殺したことを…急な殺意に襲われて、とにかく壊したくてしょうがなかったあの時のことを。
その感覚に溺れたせいで、俺はこんなゴミみたいな人生を送ることになってしまったけど…今となってはもう感謝するわ。
おかげで手を血で染める覚悟が十分できたから。
💜「逃げんなよ………ゴミ共」
__________
きっかけは偶然に過ぎなくても、今の運命に導かれたのは紛れもなく必然と言える。
失う恐怖を知ってるから、重なり合うお互いの存在は……………日に日に大切になる。
その共通の事実があるからこそ、今の2人の関係性が生まれてしまった。
失う恐怖も、取り残された辛さも、精神的な負荷も……全部知り尽くしてる。…知り尽くしてしまった。
だから………
今ここでまた1つ…復讐の種が撒かれてしまったんだ。
これから彼の人生は、真っ黒で光なんか一切ないだろう。でも、きっと後悔はない。
そして何があっても止まらない。
それが彼の生き方なのだから……___。
〈?side〉
ー政府本部基地、総理の部屋ー
【俺が葬り去ってやる】
俺は、仕掛けておいた監視カメラの画面越しに…彼に殺意を向けられる。
その目に光なんてなく、復讐の念に取り憑かれているのは一目瞭然で…今の彼は絶望そのものみたいだった。
その顔に俺は、これまでにない興奮を感じる
?「……はぁ……その絶望顔♡素敵……だよ…♡」
あの緑髪の子を殺しに行く時に、処理班に監視カメラの設置をお願いしててよかった。おかげでようやく自分の目で見ることができたんだから。
?「ようやく……その顔をしてくれたね♡」
俺は……ずっとこれを求めてた。君のその顔が見たくて見たくてたまらなかった。
小さい頃から…もうずっとその顔に一目惚れ!
まぁ途中で、君は光のある目や顔つきになっちゃったけど……。
でももう大丈夫、今はその顔がとても綺麗で素敵でしょうがないよ。
あーずっとずっとずっとずぅ〜〜と。
?「いるま…?お前のためだけに俺は全力を捧げたんだよ?計画を立ててたんだよ?分かる?」
俺は自分の机の方に目をやった、そこには大量の資料とインク切れのペン、そしてルートを書きすぎてもはや何も見えない地図があった。
目の前にたくさん重なってる資料とインク切れのペンたち。これは俺が全部一から考えた案達なんだよ?
まず、いるまは人との関わりを持ってちゃいけやいから「プレデター」法をわざわざ作って、人間不信にさせる。
でもいるまのことだからそんなことで諦めるはずない。なら次取る行動は政府の手から逃げながら生きること。
でも、流石いるま………逃げ隠れがうますぎて見つけるのに数年もかかっちゃった。良いところまで行っても逃げられちゃうし…俺も本気にならないとなって覚悟を決めたよ。
そしてようやく見つけてさ、”政府派遣処理班”全員でいるまの元へ向かわせたら……なーんか、想定外なことが起こりまくっちゃった。
緑髪の子は誰?そんな子いなかったよね?何でそいつを庇うの?そんなにその緑髪の子が大切なの?2人で行動してたの?ずっと傍に置いてるの?ねぇ………何で何で何で何で?
……そのせいで全部パァーだよ。折角いるま確保を目的としてたのに、2人いるから処理班は上手く手を出せなくて、逃がしちゃうし…。
最悪だよね……
?「でも……そこからなのかな?俺の考え方が変わったのは…。」
今まで…いるまに執着しすぎてたから…。逃げられてた…。なら…いるま以外に注目しようってね…
そっからあの緑髪の子を調べてもらって…出てきた情報を確認してた。
「すち」…前にうるさかった反対派閥の主犯格の息子。医者と薬剤師の知識を持っている超エリートでいるまのことも何回か助けているらしい。普段は「プレデター」を中心に医療活動を各地で転々としている。
そして…いるまと行動を共にしている。
人間をあまり信用しないいるまが何でなのかなって……少し興味もったから俺自身が個人的に調べたんだけど……。
多分…いるまの私情で仲間にしているって結論が出たんだよね。
んで!!そこで……俺は新しい案を思いついたの。
その緑髪の子を…殺せば…きっといるま壊れてくれるんじゃないかって…!
彼はとても強い人間。小さい頃からたくさんの困難を乗り越え、今も「プレデター」という超理不尽な立場でありながら、処理班を軽くあしらって悠々と生きている。俺が思う人間界の最強は彼だ。
でも………どれだけ強くても、所詮まだ二十年近くしか生きてない。精神面は成長していない。
大切な人が失ったとき……君は精神が壊れる。………家族のときもそうだったから。
なら……今君が大事そうに守っているこの子を殺したら……きっと、君は壊れてくれるよね?怒り狂ってくれるよね?
いるまは……きっと耐えれないよね?
知ってるよ。俺は……だってずっと君のことを考えて観察して来たんだから…知ってる。
?「全部予想通りに動いてくれたね…いるま、君はやっぱりなにも変わってなかったね?」
いるまが今日情報収集で遠出するのも知ってたから足止めしてたのも、計画通り。
緑髪の子を殺さずに生かしておいて帰ってきたときに4ぬように計算したのも、計画通り。
そして…そんな緑髪の子を見て、いるまがプッツンしちゃうのも、全部計画通り。
?「…っ♡単純な君が…本当に面白い。絶望してる君が…本当に素敵!あぁ…もうその闘志が消えることは無いんだね。すっごく嬉しいよ!緑髪の子は結果的にいるまの精神面を揺るがすキーマンとなってくれた…彼にも一応感謝を言っておくよ、ありがとう」
処理班「コンコン…失礼します。総理…これから私達はどのように動けば良いのでしょうか。」
?「あぁ…もう君たちはもう終わり。」
処理班「!お……終わりですか!?ようやく…解放っ!!」
?「い〜や違う違うそういうことじゃなくて………”政府派遣処理班”としての仕事は終わりってこと」
処理班「…というと」
?「きっと数十日後にいるまはここを…攻め落としに来るだろうね…。そのときに君たちは、潔くいるまに殺されてきて」
処理班「……は…」
?「それが最後の仕事、これで終わり、お疲れ様」
処理班「ふざけるな!!俺はそんなのしないぞ!!何のために…ずっと耐えたと!…お前のふざけた政策で…俺らは…どれだけの…」
?「でも結局手を下してのはお前らだろ?嫌なら反抗すればよかった。でもしなかったのは結局自分の命を優先したからだろう?」
処理班「黙れ!!俺はもうこんなところにいられるか!俺はもう出ていk((」
?「……殺してくれてありがとね。」
上級処理班「……はい」
?「君は、最後まで聞いてくれるよね?」
上級処理班「…はい」
?「んふ、ありがと〜。」
上級処理班「……総理は、今」
?「ん?」
上級処理班「何の野望を抱えているんですか?」
?「……いるまの絶望顔をもっと見たい、ただそれだけ…。」
上級処理班「……」
?「攻め込んできて、俺のところまでたどり着いたら…きっといるま絶望するよね…。ラスボスが俺って知って…そしてそんな中で…俺たち2人が殺し合いをしたら、いるまはこれまでにないほど絶望するじゃん?もうその妄想をするだけでたまらないの♡」
上級処理班「(狂ってる)」
?「……それじゃ、他の処理班にも教えてきて…もちろん口出しするやつは…殺して構わないから…。」
上級処理班「承知しました…ガチャ」
?「………さぁーてと…ラストバトルだよ?いるま」
🩷「俺の手のひらの上で、一緒に踊ろう?♡」
__________
復讐に満ちた君は、最後まで守りたかった大切な人のために…これからの人生を、使うでしょう。
狂気に満ちた君は、一目惚れした彼の絶望だけを追い求めて…これからの人生を、使うでしょう。
その思いがぶつかり合うとき…そこに生まれるのは…希望も復讐も絶望もない…
_END_
コメント
8件
ふぇ...? めっちゃ上手すぎて逆に思考停止し始めてるんですけれども(((((👊 ॑꒳ ॑ ) ほんっとにもう書き方も言葉の使い方ももう上手すぎて感動っすよね✨まじありがとうございます
マジで文才過ぎませんか?! ほんとに偉人と肩並べられますよ…
あの……あの……もう小説出しませんか?クオリティ高すぎますよ😭