テラーノベル
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今日は、明日のフェス出演の為に、とある地方に前乗りしていた。
県内の大きなホテルの、スイートを押さえてもらって、元貴はそこに泊まる。
元貴の部屋はいつもキッチンがついているような大きな部屋にして、結局みんな集まってご飯やら打ち合わせやらでワイワイするのだ。
「大森さん、追加のやつ、こんな感じならあったんですけど。」
「あ、これで大丈夫ですー、ありがとう。」
リビングにみんなで集まってご飯を食べている時、向こうの方で元貴とスタッフの子が何か話していた。あの子は確か、衣装の…。
「どうしたの元貴、なんか変更?」
僕が、戻ってきた元貴に訊くと、機嫌良さそうにソファーに腰掛けた。
「ううん、ちょっと付け足しでお願いしたやつの確認。」
「ふーん?」
「うわうまそ、いただきます。」
独特な手の合わせ方をして、元貴がもぐもぐと食べ始めた。
僕たちの食事が終わっても、元貴がまた何か先の事をテーブルで打ち合わせをしている。
「涼ちゃん、部屋戻る?」
若井が、ここにいてもやる事ないし、と呟く。まだ打ち合わせをしている元貴を尻目に、自分だけ部屋に戻って寛ぐのは申し訳ないが、ここにいても確かに出番はなさそうだな、と僕は立ち上がった。
「あ、じゃあ僕たち、お先に休ませてもらいますー。」
「はい、お疲れ様ですー。」
あちこちで明日の確認をしているスタッフさん達が、口々に挨拶をしてくれる中、ドアへと歩く。
「元貴、ごめんね、お先。」
「ん、おつかれー。」
打ち合わせ資料から目を離さずに、軽く返される。若井とドアを開けた時、後ろから声が飛んできた。
「涼ちゃん。」
「ん?」
「明日浮腫むから、お酒飲まないでね。」
「…はーい…。」
周りからクスクスと笑い声が聞こえる。僕は顔を赤くして部屋を後にした。
「涼ちゃんどした?大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
「みんなの前で言わなくてもいいのにね。」
「…ホントだよね。」
僕が同意したのが意外だったのか、若井が目を丸くして僕を見た。その後は、何も言わずに背中をポンとして、それぞれの部屋へ入って行った。
ありがとう若井、でも違うんだ。落ち込んでいるわけでも、元貴のイジリが嫌だったわけでもなくて…。
『お酒飲まないでね。』
あれは、元貴の、いつもの合図だから。
まさか、みんなの前で言われると思ってなくて、すごくビックリしたし、一人で顔真っ赤になっちゃって、ほんっと恥ずかしかった。
でも、待てよ。今日はフェス前日。いつも遠征先のホテルで致す時は、ライブ後、だよな。あれ、じゃあ僕の勘違いかな。
でも…、と、僕はお風呂にお湯を溜めながら、念入りにトイレで準備をする。我ながら、期待してしまっていることと、元貴によく手懐けられてるみたいで、ちょっと情けなくなった。
湯船に入り、YouTubeを流しながら、ほう、と一息つく。
どうかな…部屋に呼ばれるかな…。呼んでくれたら、いいな…。
ぶくぶくと口をお湯に入れて、最近忙しすぎて全く会えてないし、と考える。こんな時しか、一緒の部屋で過ごせないんだもん、普段は制作ばっかして家にすら行けないんだからさ。
お風呂から上がって、カーテンを開けて窓の外を見る。県内有数のホテルだから街中にあって、夜景も賑やかなネオンで彩られている。
明日のフェスも暑そうだなぁ、と、スウェットに着替えた腰に手を当てて、お水を飲む。
窓際のテーブルに置いたスマホを確認すると、もうすぐ0時。僕、もう眠たいんだけど…。やっぱり今日は無さそうだな。僕の気のせいだったか。
冷蔵庫を開けて、缶ビールを取り出す。一本だけなら、そんな浮腫まないよね…。プルタブに指を掛けた時、ピロン、とスマホが鳴った。
急いでビールを冷蔵庫にしまって、画面を確認する。
『スェス前だからお酒飲むなよー』
元貴だ。また"スェス"イジリして…。ふふ、と笑いながら、返信を打つ。
『飲んでないよー』
『そうじゃない 飲むな』
『飲んでないって』
『の む な』
あ、とピンときて、僕はにやける頬を押さえながら、返信を打つ。
『そーいうことね』
『どーいうことね』
『え ちがうの』
『え なにが』
『もー どっち?』
『飲むな』
はあー、とため息をつく。なんて、めんどくさい彼氏なんでしょ、この人は。
『今から行って大丈夫?』
しばらく既読のまま、メッセージが止まった。僕は一応着替えを用意して、小さなカバンに詰める。
ピロン。
『おいで』
…悔しいなぁ。こんな三文字で、僕はここまで心が躍ってしまう。小さなカバンを持って、そっと廊下に出る。
スタッフさんも誰もいない事を確認して、数歩先の元貴の部屋へと足音を殺して急ぐ。
部屋のドアを、小さく小さくノックする。
すぐに扉が開けられ、濡れた髪の元貴がにっこりと顔を出した。
「…はやく…!」
わざとゆっくりドアを開ける元貴にイライラして、ドアに手を掛けてグワッと開いてサッと部屋に入った。
「こわいー。」
ドアを閉めた元貴がニヤニヤしながら言う。
「もう、誰かに見られたらどうす」
怒りながら元貴に詰め寄ると、すぐに唇を塞がれた。
両側から腕を押さえられて、顔の角度を変えながら舌を入れられる。
「ん…む…!」
僕は顔を背けて、抵抗を見せた。
「…なんで嫌がんの。」
元貴が低い声でじっと見つめる。
「…元貴、ちょっと意地悪しすぎ。」
僕も負けじと、低い声で怒った顔をしてみせた。
「みんなの前で言ったりとか、わざとドア開けないとか、あれは、やだ。」
「みんな分かんないじゃん。涼ちゃんだけじゃん。」
「僕が分かるからやなの!僕顔がすぐ赤くなるんだから、恥ずかしいの、だからやめてね。」
唇を突き出して、不満を顔に出す元貴。いや…それは…可愛いだけです…。
「…わかったぁ…ごめんねぇ…。」
「…いーよー。」
小学生みたいな謝罪のやり取りをして、プッと吹き出す。元貴に押されて、ソファーに座り込む。僕の両肩を掴んで、片膝をソファーの座面についた元貴が、上からキスを落とす。二人でいるには広すぎる部屋に、ぴちゃ、と舌が絡み合う音がいやに響く。
そのままソファーに押し倒されて、深いキスを繰り返しながらスウェットの裾に手を入れられる。
元貴のキスが首筋に移ったタイミングで、僕が声で元貴を制する。
「ま、待って…。」
「やだ。」
スウェットの上を胸元まで捲り上げて、小さな尖りに吸い付く。もう片方は指で摘まれ、舌と指で同時に攻められる。
「あ、や、だ…!」
びくびくと身体が波打ち、久しぶりの快感に素直に反応してしまう。舌で執拗に舐めながら、スウェットのズボンに両手を掛ける。
「や、だ…!」
「なに、さっきから。」
元貴が顔を顰めて僕を見た。
「ここ、やだ、みんないたとこ、恥ずかしいから…。」
さっきまでみんなで集まっていたソファーで致すのは、僕の倫理的によろしくない。
元貴は僕の耳元で囁く。
「だからいいんじゃん。」
そのまま耳を舐められ、その大きな水音にビクッと身体が跳ねた。
「ん…!」
「恥ずかしいんだ、可愛いね〜。」
僕の意見なんかお構いなしにまたズボンに手を掛けるので、僕は奥の手を出す。
「…しないよ!」
「え?」
「…ここでするなら、フェラしないよ。」
元貴がすっくと立ち上がって、僕の手を引く。
「ベッドに行こう。」
寝室を開けて、また十分すぎるほど大きな空間の、これまた大きなベッドに、優しく座らされる。
「…ベッドです。」
「…はい。」
立ったままの元貴が、僕の両肩を掴んで上からキスを落とす。
「…だから、舐めて?」
「ふふ…うん…。」
元貴がいそいそと下を脱いで、ベッドに横たわる。僕は、髪を耳に掛けて、片手で元貴の中心を支えたまま、口の中へ咥えていく。
最初はゆっくりと、中でたっぷり舌を動かして絡めながら、頭を上下に揺する。元貴の息が荒くなってきたら、少し頭を早く動かす。脚に力が入ったところで、いったん口を離した。
僕の唾液でヌルヌルになったモノを手で扱きながら、その下の袋にベロを這わす。境目を強めに舐めると、元貴がよく反応してくれる。全体を優しく舐めたり、口に含んだりして、たっぷりと愛撫する。
今度は、僕の舌でよく濡れた袋を手で優しく触りながら、もう一度中心を口に入れ、今度は速めに頭を動かす。じゅぶじゅぶと音が鳴って、それにも僕は興奮が高まる。
「あ…ストップストップ…イッちゃうから…。」
元貴が僕の頭を押さえて動きを止める。少し濡れた口元を、手の甲で拭うと、元貴が身体を起こして抱きしめてきた。
「…涼ちゃんうますぎ。めちゃくちゃ気持ちかった、ありがと。」
「ふふ、よかった…。」
「俺もしようか?」
「ううん、今日はいい。」
元貴の手を取って、両手で握る。
「…もう、解して欲しい…。」
恥ずかしいから伏し目がちにそう言うと、元貴がその手を僕の口に伸ばして、人差し指と中指を口に入れてきた。
「ん…む…。」
「涼ちゃん、煽りすぎね。」
「ん…らってぇ…。」
指で舌を摘まれたり、口の中でぐちぐちと動かされて、僕は疼いて止まらなかった。
「…ん、もろき、おねがい…。」
「ん、後ろ向いて…。」
僕が四つん這いになり、お尻を高く上げると、さっき舐めていた指がゆっくりと入ってきた。
「は…あ…!」
「…涼ちゃんもう解してくれてるじゃん。」
「ん…だっ…て…。」
「呼ばれるって思ってたんだ。抱かれるの期待してた?」
「ん…。」
意地悪な訊き方をされても、その全てが僕の脳を痺れさせて、快感になっていく。こくこくと頷くと、元貴は嬉しそうに笑った。
「可愛いねえ、涼ちゃんは。」
お尻にローションを垂らされ、雫を掬っては孔のナカヘ滑り込ませていく。
ゴムを付けた元貴が、ゆっくりと奥へ押し進める。
「あ…ぅあ…!」
「はぁー…。きもち。」
元貴が腰を掴んで、ゆるゆると優しく動く。
「ん…ぅ…。」
「痛い?大丈夫?」
「うん…だ…あ…。」
僕が痛くはなさそうだと判断したのか、元貴が腰を持ち直して、少し深くまで抽挿する。ぱち、ぱち、と小さく、僕と元貴の身体が当たる音がする。
奥がキン、として、少しの痛みと、でも確かにある快感とを、同時に感じる。どうにか小さな痛みを逃がそうと、腰を動かして角度を変えた。
「涼ちゃん、どこが気持ちいい?」
元貴も、僕の動きを察知して、痛みの少ない場所を探す。
それでも何度もナカで動かされると、少しずつ痛みが消えて、快感が僕のお腹の奥にゾクゾクと響く。
「あ…、い…あ……きも…ち…!」
「きもちい?」
元貴が嬉しそうな声で僕の言葉を繰り返し、優しく背中を撫でる。
だんだんと動きが激しくなり、僕も声が漏れていく。気持ちのいいところが当たるように腰をグッと曲げると、何度もそこを元貴が突いてくる。途端に大きな波がゾクゾクッと駆け上ってきた。
「あ…!ぃ…ん…!ああ!」
身体がビクビクと痙攣して、ガクッと力が抜けた。
「イッちゃった?」
「ん…。」
元貴がゆっくりと引き抜いて、僕を仰向けにさせる。
「明日もあるし、そろそろ…。」
「うん…。」
脚を大きく開いて、また僕のナカにググッと入ってくる。
元貴はまた、角度を変えながら、僕の反応を見て、場所を探す。
「は……あ……っ……ん……っ!」
そこだというところに当たると、どんどん首をのけ反って、息が漏れ出てしまう。
「ここかぁ。」
元貴がそう呟くと、僕の腰をグッと掴んで、ゆさゆさと大きく揺さぶり始めた。身体がぶつかり合って、濡れた音が広い寝室に響き渡る。 気持ちのいいところに何度も当たって、僕はふかふかの枕を強く握りしめた。
「あ、や、…あ、ま、また…んあぁ!」
「えろぉ…。」
何度も身体がビクビクと跳ね、快感の波が襲う。
僕は頭を振って、涙目になる。
「だめ、も…やぁ…!」
「涼ちゃん、好き。大好き。」
首筋から鎖骨、肩や胸の辺りに沢山のキスを落とされ、唇にも深く口付ける。
元貴の首に腕を回し、舌を絡め合ってキスをする。気持ちが良い。大好き。愛してる。
「はっ…も、イク…。」
「もときぃ…、だいすき…。」
「俺も、大好きだよ、涼ちゃん。」
一際大きく強く揺さぶられ、また何度目かの絶頂を迎えた僕のナカで、元貴も全ての欲を吐き出した。
「あ…あ?え!?」
朝になって、歯を磨こうと鏡の前に立った僕は、自分の身体についた幾つかの痕を見て声を上げた。
肩に数箇所、鎖骨の下にひとつ。あまり目立たないけど、胸元の空いたTシャツと、ジャケットでは微妙に隠しきれない場所。
「ちょ…も、元貴ー!」
大きな声で抗議の意を込めて名前を呼ぶ。
「なにー?」
ひょこ、と洗面所に顔を出した恋人に、睨みを効かせながら、鎖骨の下を指差す。
「あららら…。 」
「あららじゃない!どーすんのこれ!」
「だいじょうぶだよ、のぉびたくぅん。」
アニメのキャラクターの声真似をしながら姿を消したと思ったら、何かの紙を持って再び洗面所へ現れた。
「そんな時の為の、コレです。 」
「なにそれ?」
「たとぅーしーるー。」
また声真似をしながら、ハサミで花火の模様を切り取り、水で濡らす。
僕についた、いや、つけた、痕の上に、それを貼る。しばらくじっと押さえた後、そっと裏紙をずらして外すと、僕の鎖骨の下に、花火が咲いた。
「ほら可愛い。」
「ほんとだー。じゃないのよ!だめ!もう!」
「違う違う、コレがあるから!つけたの!」
「つけるな!!」
僕が怒ってるのに、元貴はケタケタと満足そうに笑っている。
全員で衣装に着替えて、若井が僕の胸元に気付いた。
「あ、なにそれ花火?かわいー。」
「…ありがとう。」
「でもなんでそこ?微妙に見えなくない?」
もっとこの辺にしたらいいのに、と若井が首の辺りを指差す。もう僕はバレるんじゃないかとヒヤヒヤして、曖昧な笑顔で誤魔化すしかなかった。
前回のフェス同様、なんだか様子のおかしい予告動画を若井に撮影してもらって、編集したものを元貴に渡す。僕は、動画をチェックしてる元貴に近づいた。
「どう?」
「いー感じ。いー感じに頭おかしい。」
「あはは。」
しばらくして、動画をSNSに上げると、元貴が僕に画面を見せてきた。パイプ椅子を二つ並べて、横並びに座ってスマホを見る。
「見てこれ。『涼ちゃん、花火のタトゥーしてるー』『かわいー』だって。」
ニヤニヤと僕に見せてくるあたり、ホントに意地悪だ。
「…もう、今日の夜ならまだよかったのに…。」
小さな声で、不満を漏らすと、元貴がしれっと答えた。
「だってそれじゃ意味ないじゃん。」
「なんで?」
顔を耳元に寄せて、そっと囁く。
「これ、涼ちゃんは俺のって、マーキング。」
はあ?と言いつつも、顔が真っ赤になるのがわかる。
「だーって、涼ちゃん前のフェスでもめっちゃ人に声かけられてて、危なっかしいんだもん。」
「ええ…?」
「だから、今日はマーキングしとくの。」
「…ちょ、声大きい…!」
ニヤリと笑った元貴が、僕の肩を抱き抱えて、また耳元で囁く。
「今日ならよかったんだ?じゃあ、今日"も"、いっぱい花火、つけてあげるね。」
コメント
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うわ...! それ私も気づいたんですよ! そういうことだったんですね(?) そりゃあの変な位置あるわけだ! けしからん花火ですね!🎇
幸せ💞ありがとうございました!! 良いですね〜けしからん花火!勢いセンシティブ! なるほど…だからあの見えるか見えないかのキワッキワなんですね…納得しました🥰よいマーキングで良いと思います(語彙力)
🤭各々先生方が荒ぶってらっしゃる笑 勢いセンシティブ大事ですね!謝らないでください笑 いいセンシティブをありがとうございました✨ これはマウンティング大森のパターンですね🤣