不安で不安で頭がどうにかなりそうだった。
そんな時、僕はふと思いついた。
(…そうだ。芥川に捨てられたくないなら、逃げられないようにすればいいのか…。)
僕はとうとう、本当におかしくなってしまったらしい。
…でも、分かっていても自分ではどうにもできない。止められなかった。
それ以上に、芥川が僕から離れて行くことの方が余っ程怖かった。
芥川に捨てられてしまったら僕はもう二度と立ち直ることが出来ない。生きていけないからー。
(…流石に出て行っては無いよね?)
(…靴がある…、良かった…。)
芥川の靴がある。それだけで、自分でも驚く程ほっとした。
それだけ僕は芥川に対して執着しているのだとゾッとした…。でも今はそんな事どうでもいい。
芥川が居なくなったら生きていけないのは事実だ。
僕は芥川の事なんかお構い無しに自分の事しか考えていなかった。
他人のことなんて考える余裕もない。
自分が満たされるのならそれ以外どうでも良かった。
僕は次の日が来るのを心待ちにして眠った。
ーそう、明日から芥川とずっと一緒に居られるのだから。
「芥川、おはよう。」
「…嗚呼。」
「…昨日はごめん。」
「…僕もすまなかった。少し言いすぎたな。」
ここまで僕を思って謝ってくれている恋人に対して、今から薬を飲ませて監禁しようだなんて、胸が痛まないはずはなかった…が、今はそんなことどうでもいいと、僕は自分の心を殺した。
芥川が出ていくのは時間の問題だ。
…それならいっそ、僕の物にしたい。そう自分勝手に思ってしまったんだ。
僕は朝ご飯と大量の睡眠薬が入った珈琲を芥川の前に置いた。
そして何時ものように朝ご飯を一緒に食べた。
不思議と罪悪感はなかった。
それよりも、芥川がやっと自分のモノになったと、心が踊った。
僕は壊れてしまった…。
もう取り返しがつかない程に。
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