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買い物かごに野菜を入れながら、悠真がふと口を開いた。
「……じゃあさ。妹ちゃんは?」
「えっ」
思わず顔を上げると、悠真は何気ないふうにこちらを見ていた。
「好きなやつとか、いるのか?」
「そ、そんなの……いないです」
咲は慌てて答え、視線を逸らした。
耳まで赤くなっているのが自分でもわかる。
悠真はそれを見て、軽く笑った。
けれど――笑顔の奥で、なぜか胸の奥がざわつくのを自覚していた。
“妹ちゃん”として聞いたはずなのに。
どうして、こんなに気になるんだろう。