つーづき ※流血とか色々注意
「わ、若井……」
「…ねえ涼ちゃん。俺止まれないかも。」
後ろから聞こえた余裕のなさそうな若井の声。僕の頭の中に、1つの言葉が過ぎった。
「………僕とでもいいの?」
「、?とって何?」
「え…?何って、僕以外の血飲んでたんじゃないの!?」
頑張って言葉を絞り出した僕とは真反対に、困惑した声で返された。そんな様子に、僕も訳が分からなくなってしまう。
「飲んでないよ?てかずっと涼ちゃんの飲んでたからもう他の人の飲めないかも。」
なんか味が違うんだよね〜なんて語り出した若井に勢いよく振り向くと、驚いたような顔を向けられた。ぐっ、と手のひらを握りしめ勇気をだして言葉を紡いでみる。
「僕だけでいいから…、」
「え…………」
ぽかん、とした表情のまま若井に見つめられ、段々と気恥ずかしくなってしまう。やっぱり言うべきじゃなかった、なんて後悔しつつ、何とか誤魔化そうと下手に笑いながら口を開く。
「なんか、その、さ!やっぱ味違うと嫌だよね〜!!サラダとかも同じドレッシング掛けちゃうし〜……」
「涼ちゃん。」
自分でも何を言ってるか分からない誤魔化しをしていると、突然頬に暖かい手のひらが触れた。反射的に若井の瞳を見上げる。僕を見つめる黒い瞳が淡い光を纏った瞬間、身体に走る慣れない感覚。記憶の隅に覚えがある感覚だった。
「っ…は、…これ、やだ…、!」
本能的に身体が拒絶をする。そんな僕を抑え込むように手首を掴まれ、背後にあった扉に押さえつけられる。
「大丈夫だから、涼ちゃん。」
窘めるように掛けられた声と共に優しく頭を撫でられる。いつの間にか若井の腕を掴んでいた僕の手のひら。思考がじわじわと熱を持つ。目の前の彼のことしか考えられなくなる気がして、抗おうと必死に身体を動かそうとするが、まるで僕の身体ではないように上手く動いてくれない。
「ね、わかいっ、はやく」
「っ…、やばかったら俺の事殴って。」
自分の意思ではなく、口から勝手に零れた言葉だった。でも、何故だか不思議と心地がいい。いつもは言えないことを言えているような。
「っあ…♡ん……、」
晒された僕の首元に触れる生暖かい感触にビクリと身体が跳ねる。毎回、噛む前に必ず場所を舐めてくる。だからか、勝手に身体が熱を帯びていくのが分かった。
「ぅ……いあ゛ッ♡う゛ぅ…♡」
鋭い牙が肌に当たる。何回もこの行為しているが、やはり痛みには慣れない。肌を貫通するような痛みと共に、噛まれた場所がじわじわと熱くなる。首元に触れる若井の荒い呼吸が何故だか愛おしく見えて、思わず髪に手を伸ばし撫でてしまう。
「は、っ…その顔やば…♡」
「ん゛ッ、!?ふ…っあ、…♡」
いきなり顔を上げた若井に頬を強く掴まれる。いつもとは違う、欲に塗れた瞳。悦を含んだ表情で微笑まれ、ぞくりと背筋が震えた。もっと、と小さく呟いた若井の唇が僕の口に触れる。反射的に開いた隙間から容赦なく入り込んできた若井の舌が僕の舌と絡み合う。部屋に響く脳を犯すような水音に羞恥を含んだ視線を向ければ、ニヤリと細められた瞳と共に舌に鋭い痛みが走る。
「っ゛…わか、…ん゛ん…♡」
口内に広がる血特有の鉄の味。自分で自分の血を飲んだとて美味しくなんて無いのに、若井は満更でもなさそうな表情だった。寧ろ、先程よりも激しい、食らいつくようなキスに変わってしまった。
「ん……ごめん、やりすぎたかも…、」
「は、ぁ……っかもじゃないよ!うぅ…舌ヒリヒリするし。」
ようやく顔を離してくれた若井を睨みつけ、舌に残る違和感に眉を顰める。
「だって…ずっと飲んでなかったから。」
しゅん、とした表情で僕の頬に手が伸ばされる。さっきと同じような状況に慌てて視線を逸らし、少しだけ強い口調で言葉を紡ぐ。
「もうその手引っかからないから!毎回催眠みたいなのかけてくるの辞めてよ。」
「そっちの方が涼ちゃん素直なんだもん。」
「いつも素直なんですけど、っ…、!?」
突然身体に走ったピリピリとした感覚。一気に身体の力が抜け、弱々しく床に座り込んでしまう。
「あ、効いてきた?」
「ばか、!!普通噛む時に効くやつでしょ!」
噛まれた箇所の痛みは無くなったが、その代わりと言うように身体が酷く熱い。初めて若井に吸血をされた時、噛む時に麻酔のような成分を体内に入れている、とかいう訳の分からない説明をされた。蚊みたいだな、なんてバカにしていたが、効果は絶大なもので、今もこうして痛みを感じない。だが1つ不満があるとしたら、噛む瞬間では無く噛んだ後に作用することだ。1番痛い時に効かないのは未だに納得がいっていない。
「なんで、っ毎回毎回こんな風になるの、!」
「俺も分かんないんだよねー…、涼ちゃんの体質なのかな?」
「…もういいから、っはやくしてよ。」
待ってました、と言わんばかりの表情で微笑まれ、優しく身体を横抱きにされる。毎回恒例のこの状況。勿論向かった先はベッドで、降ろされるや否や、纏っていた服を脱がされた。
「あれ、この痕まだ残ってたんだ。」
「若井が付けたんでしょ……!!!」
冷たい指先が肩を撫でる。きっとそこには前の噛み跡があるのだろう。驚いたような表情を浮かべているくせに、口角は嬉しそうに上がっていた。
「そう、俺が付けたの♡他の奴らに取られちゃダメだからね。」
「僕そんなに美味しくないよ。若井の気持ちはよく分かんないけど…っあ゛、!?」
跡の上に何度も楽しそうにキスを落としていた若井に呆れたように溜息をつき、ふわふわとした髪を撫でながら言葉を発していると、いきなり肩口に痛みが走った。吸血、と言うよりかはただ衝動的に噛んだような痛みだった。
「美味しいとか美味しくないとかじゃないから。俺以外に喰わせんなって言ってんの。」
顔を上げた若井が僕を見下ろす。口端についた僕の血をペロリと舌先で舐める様子が酷く妖艶だった。
「ずっと会えなかった分、味わせてね♡」
🔞までたどり着けなかったです、ごめんなさい😔
思ってたよりも長くなって焦ってます🫠
3度目の正直です。次で終わらせます🪶
コメント
3件
最高すぎます!!!!!大好きです!書くのうますぎます!続き楽しみにしてます♪
これはもう既にエッ、ちですね、と言うか毎回だけどなんでこんなに文章書くの上手いんだ😳続き楽しみです🫶🏻💕