テラーノベル
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食器を片づけ終えると、咲はそっと階段を上がった。
自室に戻り、ベッドに腰を下ろす。
――「そろそろ彼女つくれよな」
亮の言葉が頭の中で何度もリフレインする。
「……彼女、か」
布団の端を握りしめる。
悠真が「そういうのいいから」と軽く流した笑顔。
それは“いない”ということなのか、それとも……。
知りたい。
でも、怖い。
ただの妹ちゃんの自分が、踏み込んでいい領域じゃない。
「……なんでこんなに気になるの」
小さく呟いた声が、暗い部屋に溶けて消えた。