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PROFILE
名前 石垣 葵(いしがき あおい)
年齢 13歳
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私は平凡な人間だった。
アニメが好きで、小説が好きな中学1年生。
友達もそこそこ。
勉強もそこそこ。
器用貧乏と言われるような人間だった。
ある程度まではできるけれど得意ではなく。
苦手でもない。
何かに執着することもなければ薄情というわけでもない。
感情の起伏は少なく、傍から見れば無表情で冷たい人間。
其れが私だった。
いつも通り、当たり前、、、、
疑うことなく生きてきた私は、今、現実を受け入れることができないでいた。
先程の光景が、蘇る。
部活動で帰宅時間が遅くなり冬ということもあり、、、、
帰る頃にはすっかり暗くなっていて。
前方からはくたびれたサラリーマン。
よく見る光景だ。
すれ違うまで、異常性に気付けなかったのは暗がりだったからか、将又疲れていたからか。
どちらともだったかもしれない。
否、交番の前だったから油断していた、?
そんなことはどうでもいい。
今、私は、刺されたのだ。
アニメのような、在り来りと思えるような展開。
現実では在り来りなんかじゃなくって。
制服を貫通したナイフ。
足を伝う生暖かい液体。
男性の走り去る音。
全てが遅れて脳に入ってくる。
何で、と、どうして、が永遠と繰り返され情報が処理されない。
鋭く痛む傷。
それでいて熱くて、
意味がわからないくらいに痛かった。
いつの間にか地面と並行になった私の体。
力が入らない、というより手足が別の生き物のようだ。
誰も居ない寒い冬、私は交番前の道で倒れ、死亡した。
______________
意識が浮上して、音が聞こえてくる。
体は鉛のように重たく、瞼は其れ以上に重たい。
瞼の向こう側から明るい光が刺し、今までのものは悪夢だと、そう訴えかける。
そうか、夢だったのか。
そうやって、素直に認めることができないほどの激痛に晒された私の脳は混乱していた。
生きている?何故、?
あの状態で生きているのか、人間は。
驚きと医学の進歩に驚き、次第に意識が完全に覚醒したのか目を開く。
其処は、病院などではなかった。
知らない場所、血潮の鉄臭い匂い。
ひりついた空気。
それらを感じ取ったとき、心が粟立つのがわかった。
どうしようもないような不安、焦燥。
人間が一人も居ない暗い、暗い道に居たのだ。
あたりは静まり返り、不気味さを強調する。
そんな中、呑気に浮上する疑問。
此処は、病院じゃない。なら、何故私は生きている?
意識の覚醒と同時に体も生前と同じくらい動かせている。
傷は________
無い。
跡形も。
白く、周りの皮膚と差異が無い。
鏡のように反射している磨き上げられた黒い壁に映る人間。
其れは、死んだはずの私だった。