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学校に着き



職員室の扉が外れそうなくらいに勢いよく開けた



ズカズカと歩み進め



パソコンとにらめっこしている担任に



ポケットからクシャクシャになった退学届を出した



_なんだこれは



机に置いた紙を拾い上げ



怒ったような口調で言った



「退学します。ありがとうございました」


_ちょっと待て!天野!



ようやく理解したのか



すでに職員室を出ていた私に叫んだ



私は決して振り返らずに走ったが



先生も追いかけはしなかった



教室に入り



自分の荷物を全て持ち帰ろうとした



私がいなくなっても誰も気づかないのだろう



_ははっ!


_まじうけるー



廊下でうるさい集団の人たちとすれ違った



_え、なにあんた



私はそれを無視して



階段を降りた



_おい!聞いてんだよっ!!



その声にも反応なんてしなかった



あとは家を出るだけだ



家のドアを開けてそっと中に入った



そして母はまだ昼間だというのに家にいた



今日はいつもよりお化粧が濃く感じた



私は必要な荷物だけを持ち



一枚の紙を持って母の前に立った



_学校は?


「やめてきた」


_は?


「これ、次の学校の入学届。ここにサインして」


_何言ってんの、勝手に辞められるわけないでしょ


「サイン、お願いします。」



頭を下げると母の声は聞こえなくなった



もう一度顔を上げると



それと同時に顔を叩かれた



その勢いで倒れ



次は腹部を何度も蹴りつけてきた



それから



_もう、好きにすれば?



と吐き捨てて家を出ていった



朝になっても母は帰ってこなかった



私は母の筆圧に似せて名前を書き



棚の中にある印鑑を見つけ



紙に判を押して



洗面所に行った



新しい制服に手を通して



布に覆われた足元は気持ち悪いし



短く切った襟足は落ち着かない



蛇口の周りに落ちた長い髪の毛を片付けながら思った



時間になると



さっきの紙を持って家を出た



地獄から抜け出したような感覚と



私を殴った時の母の顔だけが



頭に残っている

嫌いなものから逃げた先は"男子校"でした。

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