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テラー やってるの知ってる友達に何かお話 考えたって言ったらそれ見てくれたんだけど一気に全部やった方がいいよって言われちゃった。なので 全部投稿しますね
『稲荷神社の白狐』
夕暮れの光が町の石畳に落ち、格子戸の軒先からは風鈴の音が小さく揺れていた。高校生の私には、今日は放課後の散歩にちょうどいい時間だった。町はちょっとした観光地で、畳の香りのする小さな茶屋や有名な温泉とかがたくさんあって、どこか和の雰囲気を纏っている。
歩きながら、川沿いの道を抜けると、遠くで夕餉の煙がゆらりと昇る。行き交う人々の声、看板を掃くほうきの音――それらが路地に溶けて、町は静かに呼吸しているようだった。私は深く息を吸い込む。こんな日常の中で、今日もいつもとそんな変わらない――っとその時はそう思っていた。
しばらく進むと いつも行ってる 稲荷神社があった。
でも、そのとき、神社の鳥居の奥から、ふと異様な気配を感じた。好奇心に駆られ、私は小さな石段を上り、苔むした神社の奥へと足を踏み入れた。樹々が生い茂り、夕陽は木漏れ日の間から細く射し込む。静けさが、町の喧騒をすべて遠ざけたようだった。
しばらく歩くと気づいたらあたりは暗くなっていた。
その林の奥で、白い狐が立っていた。毛は月光に反射して光り、細く金色に光る瞳がこちらを見つめる。狐は一度だけ、頭をかすかに傾け、まるで誘うように森の奥へ歩いていった。
少し恐怖を感じる。追いかけると、木々の間で鈴の音が小さく響く。狐の尾が揺れるたびに、影がひらりと踊り、景色が少しずつ歪むように感じられた。町の光も、木の匂いも、遠くの川の音も――すべて遠くなり、私だけがこの不思議な世界に取り残されたようだった。
狐は川沿いの小道で立ち止まった。月光が水面に反射して、狐の影を二つに分ける。私は息を殺して近づく。すると、狐はゆっくりと人の姿に変わった。長い白い髪、細い指先、金色の瞳。狐が人になる――そんな光景を、目の前で見てしまった私は、声も出せずに立ち尽くす。
「――やっと、見つけた」
その声は確かに、狐のものだった。しかし触れようとした瞬間、人の姿はふわりと消えた。水面に映る月だけが揺れ、森の影が伸びる。風が耳元でささやき、草葉が不意にざわめいた。背後の鳥居の方では、誰もいないはずの軒先から、かすかに鈴の音が鳴る。
振り返っても町は変わらない。格子戸から漏れる灯り、畳の香り、川のせせらぎ――すべて普段通りなのに、胸の奥だけが、ぽっかりと空いていた。狐の温もりと気配だけが、指先に残る。水面を見つめる影はひとつ。だが、その横に、もう一つ、わずかに揺れる気配がある。
月はまだ高く、冷たく光っている。しかしその光に、恐怖だけでなく、なぜか引き寄せられるような感覚があった。狐はもういない。けれど、この夜の気配は、きっとずっと、町の隅や風の中、鈴の音に隠れて、消えることはない――そう感じた瞬間、私は背筋がぞくりとした。
深く息を吸い込むと、遠くでまた、鈴の音が鳴った。
「――来るな、ということなのか、来い、ということなのか」
答えはわからない。ただ、夜の和の町に、狐の気配だけが生きている。私の胸はまだざわつき、目の奥に月光が残る。町はいつもと同じなのに、もう元には戻れない、となぜか私は思った。
これで私は考えたお話の内容は終わりです。こっから先は自分で想像してみてくださいね