「ふふっ怖がらなくていいよ?」
その声は青年のような声から少女のような声にグラデーションのようになめらかに変わる
冷や汗がとまらない。銃を突きつけられているというのもあるが、そいつが人ならざるものと俺は理解したからだ。
「ただ、少し協力してもらいたくて…さ?」
その声は少女のような高い声から中年男性のような低い声になる。
振り返りたいけど、恐怖で振り返れない…息を吸うのも遠慮してしまう
「な…にお…だ…?」
言葉が途切れ途切れになってしまう。息をするのが怖い
「いや〜…この国に仕えてる僕の友達を、こんな狂った国から助けたくてさ…拒否権はないよ?」
いつの間にか少女の声に変わる
「な”?」
最後の声は青年の声を濁らせたような声で問う。…拒否権はないようだ。まあ、どうせこの国は制圧する予定だからついで程度でいいだろう
「わかった…」
「ふふっ賢明な判断だよ」
相手が銃を下げるのが音で分かる。それと同時に恐怖で支配された体が自由に動けるようになる。
「よろしくお願いしますねっ!」
彼…だろうか?中性的な見た目にSの形の緑色のヘアピンを付けている。茶髪の髪は窓から差し込む陽の光を浴び、明るく輝いている。
…美しい毛並みの耳と9つのしっぽがなければ、『人間』と言えるだろう。
その耳としっぽが彼(女)が人外であることをものがたっている。
「…質問してもいいですかね?」
俺はおもむろに彼(女)に質問を投げかける
答えられる範囲なら、応える。と了承は得た。
俺はいくつかの疑問をその人に問う。
「お名前は?」
「うーん…人間に分かりやすく言うならね…そうだな…!東雲 椎名だよ!」
「なるほど…ちなみに俺の名前は…」
「あぁ、大丈夫だよ〜。どうせ協力するのは今だけだし、」
…俺はむっと少しイラつく。が、人外にとってはこの瞬間なんて瞬きひとつくらいの感覚なんだろう。多分この人にとってはどうでもいいことだ。そう直感的に感じた。
「そうですか…」
「明らかに嫌そうな顔しないで!?しょうーがないじゃん!全員覚えるなら何千人私は人を覚えないと行けないの!?」
「そんなに知り合い居るんですか?」
「いやぁ…ほとんど亡くなってしまった人が多いけどね…」
「聞かなかったことにしますね」
多分、この話はあまり聞かない方がいい。これはどんなに鈍感な人でもわかるだろう
「種族は…?ってまあ、九尾ですよね」
「そうだよ〜私は九尾!すごいんだよ?」
東雲さんの目は子供のようにきらきらした目を俺に向ける。子供のような純粋さがあって、本当に九尾なのか疑ってしまう。
「なぜ…村長…めめさんのことを知っているんですか?」
それが一番の疑問だ。ただ、元めめ村のメンバーという言葉がどうにも引っかかる。めめ村メンバーならわかるが、元ってどういうことだ?
「…私さ、元々めめ村メンバーだったんだよ。その中でも最年少でみんなからよくからかわれてたよ笑」
東雲さんの顔には自嘲が現れる。…悪いことをさせている気分だ。話させるのが少し申し訳ないが、俺は自分の不安を無くすためにしょうがないんだ。
…そんな利己的に動く俺は嫌いだけど
「ただ、めめ村のメンバーで1人、欠けたんです。なはずです。ただ、めめ村と一緒にいるとその人の記憶が無くなるような気がして…忘れちゃ行けない気がしたんです」
自嘲から悲しみを帯びた笑顔を浮かべる。
「なあーんて!冗談ですよ!本当は色んなところに行ってみたかったんです!煌めく海!美しい山々!オレンジ色に染っていく空!色んなものを見たかったんです!」
さっきまでの悲しそうな笑顔はどこにもない。満面の笑みだ。
(…俺、騙されやすい?)
「協力内容を話しますね!」
「こんな感じに
──────────────────────────────────────────」
「…わかりました。ただ、協力をするのはその友達を助け終わるまでですよ?めめさんの許可もらってないし…」
「ふふっわかってますって!」
本当にわかったかは分からないが、東雲さんは笑顔でえみを零しながらそう話す。
俺は少し呆れつつも、その作戦を実行することにする。
とは言ったものの…何をするか…
俺はあの九尾とは離れて行動する。
いや、あのことが本当ならみぞれさんが危ないのでは?それに気づくとすぐさま走り出す。
飛んでも良かったが今飛んだら大騒ぎだ。あまり目立たない方がいいと誰に言ってるかも分からない言い訳を心の中に滑り込ませる。
──────ドォォォォォォォォォォォォン!!!
城からとんでもない爆音がきこえる。それと同時に、俺の頬に冷たい感覚がある。雨では無い。それはこの世界では美しすぎる雪だった。周りをほのかに照らし、人々を喜ばさせるために降ってきたかのようだ。
…なんてのんびり考えている余裕はない。多分だが、この爆音は間違いなく友達が原因なのだろう。
俺は人々が雪に驚いて立ち止まっているのをすり抜けつつ城に向かう。
どうか…無事でいてくれ…!!
──────バンッ
短いがわざと外したかのように俺の足元近くに銃痕が残る。
──────恐ろしいの一言に尽きる
「おっと…そんなに慌ててどうしたんですか?」
彼女の声は俺が今、一番会いたくない人だ。
「いえもんさん?」
超お久しぶりですね!約1週間ぶりです!昨日までテストだったんですよね〜やっと終わったのでまた毎日投稿再開します!お楽しみに!
コメント
8件
テストお疲れ様