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桜が満開に咲いた春、あなたと出会った。
満面の笑顔でこちらを見つめ「おはよう」という
あなたは桜にも負けないくらいとても美しかった。
あなたのおかげで桜を好きになった。
太陽がアスファルトを照らす光が強かった夏、
光が直接当たる窓際の席が嫌いだった。
暑いし。でもそんな思いも呆気なく消えた。
窓側の席にいると体育の授業をしている
あなたを見ることができるから。
いつも笑顔で走るあなたを見ることができる
この時間が私にとって最高だった。
葉の色も鮮やかに彩り始めた秋、
あなたに好きな人ができたと噂で聞いた。
そんな素振りなかったじゃん。
体育祭であなたが借り物競争に出る、って
聞いてもしかして、を期待した。
別に「好きな人」でなくてもいい、
「仲のいい人」とか、あわよくば「可愛い子」とか。
そんな感じのお題を引いて
私を連れて行ってくれないかなって。
そんな妄想をしている私をよそに
あなたは「好きな人」というお題を引き
あなたと同じクラスの女の子の手を引いて走ったよね。その時の顔でわかったよ。
出会った時と同じような笑顔でその子を呼ぶ姿。
私はその笑顔を好きになったんだよ。
秋も終わりを告げ寒さが本格的になった冬。
学校の帰り道、駅前であなたを見かけた。
一人でいたから声をかけようとした。
あなたはこっちを見たから、
私のこと見てるって思った。
でも違くて。
私の方を見ながら違う名前を呼んだ。
私の横を通り抜け私の後ろにいる
可愛い女の子に駆け寄った。
そんな私がとても惨めで。
でもあなたは私を見ないって知っているはずなのに
あなたを嫌いになれない自分がもっと惨めで。
私は寒さを感じながら帰路に着く。
この冬も直に終わりまた春になる。
そうして夏、秋と過ぎまた寒い冬が来るだろう。
その頃の私はもう少し可愛くなって
前を向いてるのかな。
でも、いつかまた私に「おはよう」って
声をかけてくれることを信じてる自分もいるから、
多分この恋は忘れることが出来ないだろう。
何度季節の変わり目を感じても
あなたを忘れる季節はない。
そんな私が少しだけ嫌いだ。