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◇◇◇◇◇


リオたちは案内されて教会内にある司教室にて、出されたお茶を頂きながら雑談を交えてくつろいでいた。


サントス、カノンは、リオが教皇候補であり聖なる樹海に向かう道中、このドクストン王国に立ち寄ることを大司教から魔導通信機を使って伝えられている。


サントス:「リオ様。失礼とは存じますが、紋章を確認させてもらってもよろしいですか?」


リオ:「はい。もちろんです。」


リオは神装備の籠手部分のみを解除して手の甲をサントスたちに見えるように差し出した。


サントス:「おー、これが!たしかに!」


カノン:「これが教皇様の紋章なんですね。感動です!」


サントス:「いや、大司教様から連絡があった時にはにわかに信じられませんでしたが、こうやってお会いできるとは夢のようです。」


サントスとカノンは、リオを崇めるような眼で見つめている。

リオはその眼に困惑した表情を浮かべる。


リオ:「そんなに言われると大したことはできないんですけど……。」


サントス:「いえいえ、教皇様がこの世に降り立った時、世界が浄化されると言い伝えられておりますから、いらっしゃるだけで世が救われます。」


リンドウ:「そんな言い伝えがあるのね。」


サントス:「はい。約300年前、聖魔大戦があったことはお聞きになっていると思いますが、それ以前はこの大陸ももっと豊かな土地であったと記されております。」


カゲロウ:「なるほど。それじゃ、リオも頑張って教皇様にならんといかんちゅうわけか!」


サントス:「はい、リオ様には試練を乗り越えて、是非とも教皇様になって頂きたいです。」


リンドウ:「ふふふ。リオ。責任重大ね。」


リオ:「ちょっと不安になってきました……。」


リンドウ:「そうね。リオはもっと強くならないとね。

そのためにここに来たんだから。」


サントス:「というと、こちらにお越しになられた理由は迷宮ですかな?」


リンドウ:「そうよ。リオのレベルアップのためにね。」


サントス:「そうですか……。

現在、迷宮は封鎖されているらしいのですが……。」


カゲロウ:「え!?なんでや?」


サントス:「聞いたところ、迷宮に入った冒険者がほとんど帰ってこないらしいんです。

それで一時的に迷宮を封鎖しているとか。」


リオ:「それって普通じゃないんですか?」


サントス:「その辺りはよくわかりませんが、封鎖するところを見ると普通ではないのでしょうな。」


カゲロウ:「なんや!せっかく来たのに!」


リンドウ:「リオ。ちょっと迷宮の様子を見に行ってみましょうか。」


サントス:「はい、お気をつけて。

こちらに滞在するなら、教会でお泊まりください。何もないところですが、精一杯おもてなしさせて頂きますので。」


リオ:「親切にありがとうございます。

では、少し様子を見て来ますね。」


サントス:「はい。迷宮はここを出て右に真っ直ぐ進んだ街の外れにあります。

少し距離がありますが、ここからだと15分も歩けば着くと思います。」


リオたちは、サントスたちに礼を言って、教会を出て迷宮に向かって歩いて行った。



◇◇◇◇◇



リンドウ:「リオ。何か聞こえてきたわね。

なんだか騒がしいわよ。

たぶん、迷宮のあたりからじゃないかしら。」


カゲロウ:「なんや。気持ち悪いなぁ。

大勢で叫んでるみたいやけど。

悲鳴みたいやな。」


ゼータ:「兄ちゃん。もう少し先に人が集まってるみたいだよ。」


リオ:「うん。ちょっと急ごう。」


リオたちは、少し小走りで迷宮方面に向かった行った。



◇◇◇◇◇



リンドウ:「リオ。見えてきたわよ。あれは何?」


カゲロウ:「みんなでうずくまって叫んでるみたいやで!

あれ何してんねん?」



迷宮の入り口付近。

冒険者総勢9名と管理人1名が視界を奪われて恐怖の中、命乞いの真っ最中。

もう1名の管理人は横たわって動かない。

それらに囲まれた中央にレキとマリスが笑みを浮かべて立っている。



そこに近付いて来たリオたちに気付いたレキたちは、視線を前方に移した。


レキ:「おい、マリス。なんか来たぞ。」


マリス:「ふふふ。いいじゃない。」



リンドウ:「リオ。真ん中にいるの、例の少年じゃない?」


リオ:「あ!たしかにそうですね。」


カゲロウ:「そしたら、横にいるんが魔人ってことやな。

えらいエロい格好しとるな。」


リンドウ:「警戒した方がよさそうね。

ギリギリのところで一旦止まるわよ。」



リオたちは、レキたちを確認できるギリギリのところで立ち止まった。


その様子を見て、レキもやって来たリオたちの素性に気付いて大声で声をかけた。


レキ:「おい。お前、リオ・ルナベルだよな!

その横にいるのはリンドウ・ササキ!

あと、もう一人増えてるな!」


突然のレキの問いかけにマリスは小声でレキに確認した。


マリス:「あら、レキの知り合いなの?」


レキ:「知り合いじゃないが、ちょっとな。

あのリンドウという女は危険だ。

ヘルサイズ幹部を瞬殺している。」


マリス:「へえ。ちょっと楽しみね。」


レキ:「甘く見るな。お前でも危険だ。

しかも、もう一人の女も素性が知れん。

仮にリンドウと同じだとすると戦闘になればこっちが不利だ。」


マリス:「あらそう。でも、もう少し近づけばスキルが使えるわよ。」


レキ:「なるほどな。じゃあ、少し近づいてみるか。」


レキとマリスは少しずつ歩きながら、冒険者たちを置いてリオたちに近づいていった。


冒険者にもこの会話は聞こえているので、視界がないながらも新しく来た正体不明のものに助けを求める声に変わっている。



リンドウ:「そっちはレキ・グランベルね。

それと横にいるのは魔人さんじゃないかしら?」


リンドウの言葉にレキとマリスは驚いた。

なぜ、こちらの素性を知っているのか?

しかも、偽名ではなく、本名で。


レキ:「なぜ、俺たちを知っている?」


リンドウ:「あら、それは教えられないわね。」


レキ:「なるほど。なぜ、ここに来た?」


リンドウ:「ただの通りすがりよ。気にしないで。」


レキは質問を繰り返し、リオたちとの距離を徐々に詰めていった。


マリス:「レキ。もうここでいいわよ。

暗黒の闇に飲まれなさい。

マカイブラック!」


マリスはリオたちに向かってスキルを発動した。


カゲロウ:「わ!なんやこれ!

全く見えへんやないかい!」


ゼータ:「わー!暗い!怖い!」

サラン:「怖いです!」


リンドウ:「くっ、油断したわ!リオ!大丈夫!?」


カゲロウ、ゼータ、サラン、リンドウまでが何らか異常状態になっているみたいだ。


リオは何が起こったかわからない。


リオ:「みんな!どうしたの?」


リオだけがマリスのスキルを受けても何も変化がないようでキョロキョロしている。

実は、これは女神の加護のおかげで魔界のスキルに耐性を持っているからなのだが、当人たちは知る由もない。


レキ:「よし。うまくいったな!」


マリス:「そうね。あの坊やだけは何故だかスキルがかかってないみたいだけどね。」


レキはリンドウたちがスキルにかかっていることに満足している。


レキ:「マリス!充分だ!

あいつだけなら大したことはない。」


マリス:「そうみたいね。ふふふ。」


とにかく、リオ以外が戦闘不能になったことで、リオ対レキとマリスの絶体絶命の状況になってしまった……。


それに気を良くしたレキとマリスは、悪い笑みを浮かべながら、ゆっくりとリオに近づいていった……。


◇◇◇◇◇


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