約三年も前のこと
綾部喜八郎は 、
忍術学園の入学式の日だったが
己の名前が呼ばれるころ 、未だに
忍術学園の門の外であった
土井半助や山田伝蔵らが探しに出るも
誰も門の前にいるとは思わず 、
結局入学式には間に合わなかった 。
カンカンカンとなる鐘の音に 、
喜八郎は心底驚いた 。
(おやまぁ 、もう終わり?)
急ぐ気持ちもありながら 、
ゆっくりと門をくぐった 。
するとストップという言葉に止まり
辺りを見るも誰も見当たらなかった
「むむ?入学生にしては小さすぎるね 。
坊やは何しに来たのかな??」
ずいっと大きな影が喜八郎を覆った 。
さっきまでは無表情だった喜八郎も 、
音もなく現れた彼の姿に驚き
みるみると顔が歪んでいく
『うっ .. ふぇ 、ぅわぁぁんッ』
「え、、えぇぇ!?!ちょどおしたの〜」
オロオロとする彼の声を覆い被さる程の
大きな泣き声は 、学園中に響き渡り
すぐさま 、忍たまや先生方が集まってきた
「綾部!!ここに居たのか!!」
そう山田先生が喜八郎の所へ駆け寄る
その横をするりと抜け 、
ひとりの男の元へ走り抱きついた
『おにいしゃまっ』
「ふふ 、ダメだろう喜八郎 。
しっかりと教室へ行かねば」
『おにいしゃまの事を考えていたら 、
いつの間にか入学式がおわっていて 、、』
場が凍る中 、ふたりの間だけふわふわと
花が舞っていた 。
その場を崩したのが 、
お兄様 。の委員会の後輩だった 。
「桜木先輩!!!そのおなごは
先輩の妹様でございますか!!!?」
群がる集からひとり抜けて現れたのは
三年ろ組 、七松小平太だった 。
小平太の大きな声に喜八郎は 、
びっくりをして力強く彼を抱き締めた
「…小平太ぁ」
「…はい!」
先程までの声量とは比べ物にならないくらいの
か細い声と殺気溢れる先輩の声の中でも
喜八郎は眠りに落ちた 。
「この子は綾部喜八郎 。
いかにも 、この桜木清右衛門の弟さ」
すると 、忍たま達は大いに驚き 。
先生方は頭を抱えるしか無かった
喜八郎が目を覚ますと 、
そこは外 …. ではなく見知らぬ部屋の中だった
「お主が綾部喜八郎だな!!」
突然目の前にキラキラとした少年が現れ
びっくりした喜八郎は 、壁の隅に逃げた 。
『…だぁれ 。』
恐る恐る聞くと 、
彼はふっと僕をこう言い放った
「よくぞ!!!よくぞ聞いたぁ!
私は一年い組平滝夜叉丸!!!!
今日から六年間!
お前と同室の超超超スーパースターなのだ!」
『おやまぁ』
そういえば 、お兄様が
お家に帰っていらした時 ..
同室が、と仰っていたなーと考えていると
きゅるる 。と喜八郎の小さお腹が鳴った
『….ぁ 、/ / 』
恥ずかしそうにお腹を抑える喜八郎を見て
平滝夜叉丸は大きく笑いその小さな手を引いた
「ハハハ!!お腹が空いたのだな!
ならばこの平滝夜叉丸が一緒に
晩御飯を食べてやろう!!」
別にひとりでも 、とブツブツ言っても
彼の自慢話によってそれはかき消された
食堂に入るや否や 、皆が僕をみた
『…ぇ 、なに ?』
そう恐る恐る発した途端
僕は宙に浮いた
「おぉー!!これが桜木の弟かぁ
顔や性格はこっちの方が可愛いな」
『へ 、ぇぁ .. だぁれ? 、たき ..』
滝を呼んでも滝はオロオロして 、
動こうとしなかった 。
深緑色の制服を来ているから 、六年生だろう
抵抗するにも 、力が足りず 。
かわいいかわいいと言われて終わり
大人しくしていたら背後から
聞き覚えのある声がした 。
「××先輩ー 、すいませんが
そいつを離してはくれまんせんか」
すると六年生の先輩はビクっと固まり
するっと抜けることが出来た
『おにいしゃまっご飯ですか?』
「あぁ 、そうだよ 。その前にね喜八郎 、
少し謝りたいって言う人を連れてきたんだ 」
『…あやまりたいひと?』
「…ご、ごめんよお〜!!」
すると現れたのは先程僕の前に現れて
僕を泣かせてきた先輩だった 。
『む 、このひとは .. 』
「小松田秀作と言って 、私の同輩さ」
「ほんっとうにごめんねぇ、喜八郎くん 。
僕は四年は組の小松田秀作 !!」
「こいつは少し 、否 ..だいぶ抜けているが
曲者は決しては逃がすことは無い」
『おやまぁ 、すごいですね』
「えへへ 、まぁ .. 忍術は全然なんだけど..」
お兄様は僕の頭を撫でると 、
僕の後ろにいる少年に声をかけた 。
「…君が喜八郎の同室の平滝夜叉丸かい?」
「はっはい!!」
緊張いっぱいの声で返事をする滝を見て
お兄様はくすりと笑うと 、僕を抱き上げ
滝の手を引いた 。
「まだここに来て間もないのだ 。
ここはひとつ 、先輩と
輪になって食べようでは無いか」
そう微笑んで言うお兄様に滝ははい!!と
活きのいい返事をし 、
僕はお兄様の胸にしがみついた 。
「おぉ 、そいつが清右衛門の弟か」
『…あなたはだぁれ?』
「…ため口とはな 、笑
まぁいい 、若王寺勘兵衛
清右衛門とは同室の仲だ 。」
「!!!!」
「私と喜八郎と同じですね!!!」
おやまぁ と生半可な返事をすれば 、
若王寺先輩は僕をぐしゃっと撫で
「お前とはまた違う問題児に育つなこりゃ」
そういい味噌汁を啜った 。
「何をいうかと思えば 、
俺は問題児じゃないだろう。なぁ 、秀作?」
「はっ 、よく言うわ 。
よせ 、秀作いいことは言うなよ」
「え、えぇ〜っ??
み、みんな問題児だよぉ..ね??」
「 「 はぁ? 」 」
ヒィっと震え上がる小松田先輩と一緒に
ブルブルと震える滝をみて 、僕は
何でそんなに震えるのか分からなかった
寒いのかな 。
僕がちまちまとご飯を
お兄様の膝の上で食べている時 、
滝はその横で規則正しく食べていて
若王寺先輩はご自身の指の腹で
僕の食べかすを取ってくれて
小松田先輩は肘をつきながら 、
僕の食べる姿を愛おしそうに見つめていて
そんな中お兄様だけ、周りを凝視していた 。
『….おにいしゃま 、?』
「んー?」
『どこを見ているのですか』
「うーん 、何処だろうね 。
ワルイ人からお前を護るために
監視しているとでも言おうか 」
『!!』
その返答がうれしくてうれしくて
僕はお兄様をめいっぱい抱きついた
「おわっ 、喜八郎は甘えただなぁ」
『これから毎日おにいしゃまと
居れると知って僕はうれしいんです』
僕が放った後、少しの間 。
ほんの少しだけ沈黙ができた 。
なにか変なこと言ったかな 。と思い
ふと顔を上げると 、
口を大きく開けて笑うお兄様が居た
「あーっはっは!!!
そうかそうか!!うれしいか喜八郎〜!!」
『わぁっおにいしゃま…
食べたばっかりです…うぅ、、』
「あ “ ッおい清右衛門!!
食ったばっかなのにそんな振り回すな!」
喜びを隠せないお兄様によって
僕はぐるぐると宙を回転をした 。
その姿に五、六年生方は面白そうに笑っていて
三年生や二年生 、、一年生の人達は
心配そうに見ていた 。
そんなとき 、ふと誰かと目が合った
お兄様程では無いけれど 、とても綺麗な人
綺麗なサラサラの黒髪に鋭い切れ目 。
是非ともお近ずきになりたい 。
そう思った 。
『あ 、うぅ … 苦しいです 、、、』
「あはは!!すまんすまんッ
少し意地悪がすぎたな 」
『…むぅ 、もうかえりますっ 。行こうたき』
「え?ぁ 、お .. おー!」
どすどすと鳴らすつもりである足音は
としんとしんと可愛らしい音を
鳴らして帰って行った 。
すると 、清右衛門は勢いよく
椅子に座り大きくため息をついた
あの清右衛門がため息を吐くほど
気を沈めている状態に 、皆が緊迫する
すると口を開いたのは同輩のふたりだった
「どうしたんだよ
さっきまで調子良かったくせに」
「ほらぁ 、皆も心配してるよ〜??」
小松田の言葉に皆が思った
(余計なことをいうな!!!!)
(余計なことをいわないでください!!)
そんな時 、重い顔を上げて
清右衛門が声を放った 。
『なんっっっだあの可愛い生き物は!!』
「は、はぁ???」
皆がすっ転ぶ 。
なんだ 、ただの自惚れかと思っていると
鋭い目付きで睨んで来たので黙ることにした
『だって見たか!?
あの脱力感の半端ない猫は!!!
あの口足らずな口調やふにゃふにゃの体に
あのくっそ下手くそな食べ方!!!!
あの無表情から俺によってコロコロ
変わるあの表情!!!!!
あぁぁたまらんッ!!!!!!』
「…お前 、そんなやつだったか」
「何言ってんの勘兵衛くん〜
清右衛門くんはいつもこうじゃない」
『失礼な 。
てかなぁ 、、、そうじゃなくてだな』
少し和んだ場が再び凍った
「今度はなんだよ 。」
『喜八郎が可愛過ぎるから
幼い頃から家の外から出さずにいたのに
これじゃあ襲われじゃないか!!』
「…何をいう 、喜八郎はまだ一年生だろう
そんな襲うだなんて、、、否 … 心配だな」
『だろう?お前ならわかってくれると
思っていたんだ勘兵衛!!』
「でもな 、そんなに騒いでいては
はしたないし 、お前の性格が壊れているぞ」
その言葉に清右衛門ははっとし
咳をし 、雰囲気を逆転させた
『…あぁ 、勘兵衛の言う通りだ
私が乱れては喜八郎を不安にさせるだけだな』
「分かればいいんだ 。
所で喜八郎か 、あれはすごく可愛いやつだな」
「ねぇ〜すっごく可愛いね!!」
ほっとしたのも束の間 、
若王寺と小松田の言葉に桜木は
顔に青筋をつくった 。
『お前ら 、何のつもりだ 。』
「さぁな 、どれ秀作 。
ひとつ喜八郎に会いに行こう」
「れっつごー!!!!」
『待て 、勘兵衛!!秀作!!!!!』
これまた騒がしくなりそうな学園生活に
その場に居た全員が身構えた 。
「お前が 、桜木先輩の弟とやらか?」
『おやまぁ 、あなたは____
コメント
4件
桜木先輩と綾部のコンビバッっっっっっっっか可愛い
桜木先輩の弟が綾部喜八郎なの解釈一致すぎる( ´›ω‹`)💕