テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第二話
中身は蓋を開けてみなければ分からない
⚠️Fjsw×Omr⚠️
この話は創作です。
ご理解の上、お楽しみください
ーーーーーーーー
ーーーー
「この話し合いも温情だって分かってる?
そんな感じなら別れた方がいいね、俺たち」
「な、」
大森の顔が大きく崩れると、髪の毛を掴む藤澤の手を強く払った。
「なんで…!!」
大きな声で叫ぶと、反動で涙が零れた。
さらに藤澤の腕にしがみ付くと、半狂乱な様子で叫び出した。
「やだ!やだ!!なんで!?
…ごめん!ごめんなさい!!」
大森を見下ろしていた藤澤は、面倒くさそうな雰囲気で天を仰いだ。
「うるさい、いま何時だと思ってんの」
大森は藤澤の腕から離れると、勢いよく立ち上がった。
右側の棚に飾ってあった花瓶を手に取ると 思いのままに地面に叩きつける。
衝撃を受けた花瓶は派手な音を立てて割れた。
しかし藤澤の冷酷な雰囲気は消えず、ただ無表情で割れた花瓶を見つめた。
それでも大森は、藤澤に駆け寄ると上着を掴んで引き寄せた。
「俺は別れないから、絶対に」
藤澤が花瓶から目を離すと、大森を審査するように様子を見た。
対して、大森は感情が溢れないように唇を噛んで藤澤を見つめた。
藤澤が何も言わないので、大森はさらに追撃をした。
「ずっと一緒にいてくれるんでしょ?約束したよね」
どうしようもない程の思いが溢れると、声が泣きそうに掠れた。
ここで約束と言う言葉を使った事に、罪悪感を感じた。
大森は藤澤との約束を守れていない。
なのに、自分はそれを引き合いに出せる卑怯さに虚しくなった。
それでも、別れたくない。
それに、藤澤が約束と言う言葉に弱いことを大森は知っている。
藤澤は目線を下げると、何かを考えるような仕草をした。
そして、口を開くと神妙な面持ちで聞いてくる。
「いいんだね?」
「…なにが?」
意図を読みきれず聞き直すと、藤澤は少し悲しそうな表情になった。
「…俺と別れられるチャンスなのに」
大森は、息を飲むと何も言えなくなってしまった。
別れられるチャンスなど、1度も探った事はない。
むしろ、そんなチャンスなど一生来なければいいと思っている。
しかし、この思いは藤澤に伝わってない。
それは、大森の性質が原因の1つだと自覚していた。
なんで俺と付き合ってるの?
俺が告白したから?
付き合い始めの頃は、こんな言葉を藤澤に良くぶつけていた。
藤澤は、質問の度に精一杯答えてくれた。
しかし、それでも大森の不安は消えなかった。
不安に比例するように藤澤への質問は、みるみると過激になって行った。
テレビの俳優を見て可愛いと口走れば、何が可愛いと感じたのか尋問した。
藤澤が男性スタッフに笑みを向けただけで、別室に呼び出して意図を問いただした。
そういう事を繰り返すと、藤澤の表情は翳っていくように少なくなっていった。
周りの人はそれを心配したが、大森はそれで良かった。
二人きりの時だけ、自分の前でしか藤澤が本当で居られない事に確かな安心を感じていたのだ。
しかし、そんな時間も長くは続かなかった。
ある出来事をきっかけして、それは一日で崩れてしまった。
ーーーーーーーーー
ーーーー
その日、大森は話し合いが長引いて事務所の会議室に遅くまで残っていた。
すでに時刻は、夜11時を回っていた。
終電を逃しそうな社員を帰らせたら、プロジェクトチーフの三嶋しか残らなかった。
事実上、男性と二人きりになったが大森は何も気にしてなかった。
さらに、1時間ほど話し合った頃
大森は構想と現実の隙間を埋める事に疲れた。
「はい…じゃ、うん難しいって事ね」
大森がポツっと呟くと、両手で顔を覆って俯いた。
二人しか居ない会議室に妙な空気が流れる。
しかし大森は三嶋に苛立ちをぶつけたので、そのせいだろうと思った。
苛立ちを超えて、もはや諦めの様な気持ちをため息と一緒に吐き出す。
すると、三嶋が口を開いた。
「最近、涼ちゃんとはどうなの?」
「ん?」
大森は顔を上げた。
正直、今くだらない話をする気にはなれない。
大森は何も答えず、三嶋をじっと見つめた。
すると、三嶋は少し興奮した様子で話し始めた。
「いや、元貴の癒しになってくれてるのかなって」
「なってんじゃない?知らないけど」
大森は話を続ける三嶋にうんざりとしながら答えた。
しかし三嶋は、さらに会話を続けた。
「そうかな、足りてなさそうだけど」
そう言うと、三嶋の目つきが変わった。
警戒した瞬間、三嶋の指が大森の髪を撫でた。
「ちょ、」
大森は顔を背けながら、手を払い落とした。
「な、なに?」
大森が椅子を引いて距離を取ると、三嶋も椅子を移動させて距離を詰めてきた。
大森は自然に三嶋の体格の良さに目がいった。
彼は学生時代、ラクビーをやっていたと聞いた事がある。
本気になられたら抵抗しても勝てないという恐怖が、大森の頭を支配した。
大森は、ほぼ懇願するような声色で三嶋の名前を呼ぶ。
「み、三嶋さん…もう帰ったら?」
「それが終電終わっちゃってさ」
ここで動揺をしたら付け込まれると分かっていた。
しかし、今この事務所には三嶋と自分しかいないことを思い出す。
その事実が、さらに大森の恐怖を煽った。
「あ、うん、え…でも疲れてるんじゃない?仮眠室で少し寝たら?」
大森は冷静を装えないまま、三嶋に追い詰められるように壁際に椅子を転がした。
「そうだね、一緒に寝ようか」
これ以上はまずい
大森は、見えないラインを三嶋が越えようとしているのを感じた。
大森は恐怖と共に唾を飲み込むと、臨戦態勢に入った。
「三嶋さん、変なこと考えるのやめな
今後のためにも」
「考えちゃうよ、元貴可愛いから」
そういうと三嶋は、大森の後ろの壁に手をついた。
まるで、壁ドンのような状況だ。
逃げ場を奪われたが大森は、尚更ここで引いたらまずいと思った。
大森は背筋を伸ばして、高圧的な雰囲気を演出する。
「明日から無職になっちゃうよ?
三嶋さん耐えられるかな」
「俺、離婚したんだよ」
「…え」
大森はついキョトンとした顔で三嶋を見つめる。
三嶋と言ったらおしどり夫婦のイメージがあった。
実際、三嶋が妻といる所を見た事があるが相当心酔している雰囲気だった。
あれほどでも、離れる事があるのか。
再び三嶋が口を開くと、大森に告白した。
「本当はずっと男性が好きなんだ
今まで隠してきた
でも元貴に出会ってから耐えられなくなって」
そう言うと、三嶋は大森を伺うように見た。
対して大森は返事も頷きもせず、ただ三嶋を凝視した。
三嶋がさらに言葉を加える。
「だから話し合ったんだ
それで離れた方がお互いのためってなって」
三嶋が告白を終えると、再び大森を伺った。
大森はその視線に耐えられず、眉間に皺を寄せた。
「だからなに?」
大森はほぼ吐き捨てるように言った。
確かに、三嶋の状況に共感できる部分はあった。
かくいう大森も同じ部分を持っている。
しかし、同情心は全く湧かなかった。
むしろ、大森の近くで仕事をしたせいで離婚したと遠回しに言われてる気がして不愉快だ。
三嶋が緊張を抑え込むように手を揉み込むと、口を開いた。
「涼ちゃんなんかじゃなくて俺と付き合ってほしい」
ここまで、嫌悪と怒りを感じさせる告白も珍しい。
大森は、その思いが口から飛び出ないように踏ん張った。
「ありがとう、でもごめん」
「なんで、俺そんな力不足?」
大森は、とうとう嫌悪が耐えられず片方の口角が上がった。
「何いってんの?」
「いや、涼ちゃんか俺か選んでよ」
大森は口角をあげたまま腕を組むと、三嶋の顔を見上げた。
「もしかして三嶋さん… 選ばれると思ってる?
俺の事だいぶ分かってないね」
大森がいい終わらないうちに、三嶋が椅子の足を強く蹴った。
「っ…!!」
椅子が右方向に動くと、大森は反動で椅子から転げ落ちそうになった。
大森は慌てて体制を立て直そうとした。
しかし三嶋が、大森の襟首を掴むと引き寄せるように持ち上げた。
シャツのボタンがいくつか弾けると、地面にカラカラと転がる。
「な、わ、わかった!分かった!!
ごめんなさい!!」
殴られそうな予感を感じた大森は、縮こまるように弱気になった。
三嶋が鋭い目つきで大森を見据える。
大森は渾身の上目遣いを使って、三嶋を見つめると甘えるように言った。
「…怒ってる?」
しかし、それでも三嶋は態度を変えない。
むしろ息がかかる程に顔を寄せてくると、ドスの効いた声で言った。
「わかってんのか?
俺は全部捨てたんだ、付き合え」
三嶋の言葉に大森はこくこくと頷いた。
「うん、分かった」
とにかく、この場を凌げればいい。
その後はこいつを解雇すればどうにでもなる。
大森が承諾すると、三嶋は気持ちの悪い笑みを浮かべて言った。
「…じゃあ記念にキスするか」
まさかの要求に大森は顔を強ばらせると、勢いよく顔を振った。
「やだ!!ま、まだ 恥ずかしい… 」
絶対にキスなどしたくない大森はカマトトを気取って拒否をした。
しかし、三嶋はそれを軽く受け流した。
「大丈夫、大丈夫」
そう言うと、三嶋が顔を寄せてきた。
大森は強く拒否をしたら三嶋に殴られるかもしれないという恐怖と、三嶋とキスをする事への嫌悪が混ざった。
どちらの想いも強いが故に、大森は舵を切れないまま三嶋のキスを受け入れた。
三嶋の唇が当たった瞬間、舌が口内に入り込んできた。
「うっ、ん!!」
大森は激しい嫌悪から体を縮こませると、三嶋の胸を強く押して抵抗した。
しかし、渾身の抵抗にも関わらず全く太刀打ちできない。
むしろ、三嶋は大森が逃げられないように腰を強く抱きかかえた。
「や、んぅ」
大森が甘い声を上げたので、三嶋はさらに心に火がついた。
三嶋はシャツの裾から手を入れると、素肌を撫でた。
大森が大きく跳ねると、ぶんぶんと顔を振る。
「ちが、ま…まって」
三嶋の指が素肌の柔らかさを楽しむように動くとゾワっとした感覚が広がった。
さらに三嶋がするりと背中をなぞった。
すると、大森はその刺激から逃げるように身体を反らせた。
その仕草の言いようのない色気に誘われると、三嶋は耐えられなくなった。
三嶋は胸に指を向かわせると、突起を優しくつついた。
「んっ、ん゛」
大森が唇を噛むと、声を抑えるように喘いだ。
三嶋は炊き付けられるように、さらに刺激を加えると大森が甘い声で名前を呼んだ。
「ぅ…あ、っやだ、三嶋さん」
その声で三嶋は急激に、大森を手に入れたい欲が溢れた。
椅子に座っている大森に被さるようになると、肩を抱き寄せて口内に舌を入れた。
同時に右手で大森の太ももを撫でると、大森の身体が跳ねた。
ここまま全てを剥いでしまおうとベルトに手をかけた瞬間、 頭に衝撃が走った。
三嶋が声も出せないまま蹲ると、続けて顔を蹴られる。
それが見事に、顎に当たると脳がぐらっと揺れた。
三嶋はまるで生まれたての子鹿のように、立てなくなると地面に転がった。
大森の反撃かと思いながら顔を上げると、 目の前に立っていたのは藤澤だった。
「それ以上はだめ!!りょうちゃん!!」
大森が泣きそうな声で、藤澤を押さえた。
三嶋は藤澤と目が会った瞬間、大森の静止も何も聞こえていないのが分かった。
よって、次に来る攻撃も容赦がない事
下手したら一生の怪我を追う可能性にも配慮していない程の藤澤の怒りを一瞬で悟った。
三嶋はまるで魚のように飛び上がって起き上がると、一目散に会議室から逃げていった。
大森は三嶋が逃げた事でほっと息を吐いた。
これ以上、三嶋を傷つければ藤澤の立場が危うくなっていただろう。
大森は会議室の扉から藤澤に目線を戻した。
瞬間、今後は大森が動けなくなった。
藤澤は凍るような瞳で、大森の一連の行動を観察していた。
大森は藤澤の怒りの対象に自分も含まれている事を理解すると、心が荒波のように荒れた。
「まって、誤解だから」
大森の言葉に、藤澤は表情を変えないまま呟いた。
「…残業っていってたよね」
「うん、でも」
大森が口を開いた瞬間、藤澤は言葉を被せた。
「元貴の残業ってああいうのも含まれるんだ」
「ちが、そんなわけ」
言葉の途中で藤澤は大森の腰に手を回すと、自分の方に強く引き寄せた。
言葉を飲み込んだ大森に、藤澤は焼けるような目線を向けると静かに言った。
「じゃあ、俺の残業も手伝って?」
凛 .
#りょつぱ
コメント
10件
漢がでてる藤澤さんもいいですね!どんな残業なんでしょう🫣 Omrさん大丈夫かしら!次も楽しみに待ってます🙋♀
藤澤さんかっけえ… 怒るとやっぱ怖いっすね!! 残業気になりすぎる!! 次回待ってますっ!!
今回もほんとに最高でした!!Sな涼ちゃんはんぱない…!怒った涼ちゃんかっこよすぎて尊すぎて死んじゃいそうでした😭あと、お互いに少しずつすれ違ってるかんじに胸が掴まれちゃいました(?)大森さんの素直になれないかんじとかも可愛くて、もっと追い込まれてるとこみてみたい…()涼ちゃんとの残業で見れるのかな、、?ぴりさんの話ほんとに毎回最高すぎますっ💕😭続きも楽しみにしてます!!