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歩きながら、咲は横目で悠真の横顔を盗み見た。
夕方の光に照らされた横顔は、子どもの頃に見ていた「亮の友達」とはまるで違って見える。
――やっぱり、大人だ。
声の落ち着きも、言葉の重さも、全部が自分とは遠い。
「……どうした?」
視線に気づいたのか、悠真が首をかしげる。
「っ、いえ! なんでもないです」
慌てて顔を背けると、胸の鼓動が一気に早くなる。
――やっぱり、隠すしかない。
“妹ちゃん”のままでいるしかないのに。
心の奥でそう思うほど、言えない気持ちはどんどん膨らんでいった。