テラーノベル
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玄関のドアを開けると、リビングから声が飛んできた。
「おー、やっと帰ったか! 悠真も一緒?」
ゲームコントローラーを握ったまま、亮が身を乗り出してきた。
「荷物、ちゃんと渡してきたぞ」
悠真が紙袋を見せると、亮は満足げに笑った。
「サンキュー! おまえがいて助かるわ」
軽口を叩き合うふたりのやり取りを横で見ながら、咲は靴を脱ぎかけた手を止めた。
胸の奥に残る鼓動を、どうやって隠せばいいのか分からなかったからだ。
「……妹ちゃん、ほら、早く入れよ」
悠真の声に促され、咲は小さく頷いてリビングへ足を踏み入れた。
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