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【 契約成立 】※ゴーストホテル時空
「ほんっと、すんません!!ご迷惑をおかけして……!!」
「いいよー、思ったより早く終わったし、仕事だしね」
「君にそういう意識あったんだ笑」
「ふざけたこと言ってると弟さんをもう一回同じ目に遭わせますよ」
とある昼下がり、祓魔師の家にて。弟くんが無事人間へと戻り、そのお祝いにだけでも来なよ、と言われ仕方なく来たものの、早く帰りたい。まだ契約は切れていないし。できる限り早く終わらせてこいつとの縁を切りたいのに。ごはんは美味しいけど、ホテルで食べていたものとは風変わりでなんだか慣れない。人間の肉とかないのかと思ったけど、それを人間が出すわけないか。共食いだもんなあ、美味しいのに。
弟くんは人狼だった時のことをあまり覚えていないらしく、祓魔師も、刺激して思い出させるのはあまりに酷だと言って何も話していない。弟くんが知っているのは、自分が人間ではない化け物になり、それを僕と祓魔師の兄に助けてもらったという部分だけ。
ちょっと前まで自分も、貴重な食材とか言いながら人間の肉を喰らっていたのに。あー、考えてたらなんか食べたくなってきたな。帰りに誰か攫ってでも食べて帰ろうか。
そうこうしているうちにパーティーは終わりへ近づき、僕たちは契約解除について話し合っていた。……のだが。
「ねえ、提案があるんだけど」
「なんですか?僕はもうアンタの便利な所有物じゃなくなるので、どんなお願いも聞いてやる気は無いですよ」
「あはは、冷たいなあ。……その事なんだけどさ」
「なんなんですか、早く言ってください」
「急かすの辞めてよ。ね、君さえ良ければさあ」
「僕の使い魔になってくれない?」
「……は?つかいま?」
「ああ、分からない?使い魔って言うのは……」
「いや流石にわかるし。なんでですか、嫌ですよ。そもそもアンタ祓魔師でしょ?悪魔と協力なんかしていいんですか」
使い魔になると言うことは、僕はコイツが死ぬまで、コイツの言うことを聞くお人形さんにならなければならないのだ。最低最悪な職業。文句を垂れると、目の前の祓魔師はにこりと口角をあげ、嘲笑うような目で僕を見てくる。心底不愉快極まりない。
「君って本当に世間知らずだよね」
「うるさいです。なんなんですか急に」
「そんな世間知らずの悪魔くんに教えてあげる。悪魔を使役する祓魔師は君が思ってるより多いよ。むしろ、悪魔より自分たちの方が上だって示す為に、みんな悪魔と契約したがってるんだ」
「チッ、集団で性格悪いのかよ」
「そうかな。君たちよりはいいと思ってるんだけど」
こんだけ言ってもなお、祓魔師はにこにことした表情を崩さない。人間のこういうところが本当に嫌いだ。思ってもないくせに、やりたい訳でもないくせに。自身の意思に反した行動をしたと思えば、周りのせいだ、周りが悪いなどと好き勝手いう始末。それが出来る精神を持ち合わせているのであれば、最初から好きに本能に従って生きていけばいいのに。その方がずっと楽なのに。
「それに、あんまり勘違いしないでよ。確かに君にお願いはしたけど、強制したい訳じゃないんだ。」
「へえ。そうは全く思えませんけどね。」
「ただ、君って意外と仕事はしっかりするでしょ?」
「……はあ」
「世間知らずだし、考え無しに悪戯するような馬鹿だけど、命令したらちゃんとその通りにこなしてくるから良いよね。」
「……ふーん、そんなこと思ってるんですか。」
段々と、元気のなかったしっぽが上へあがり、姿勢が心做しか良くなった悪魔をみて、祓魔師はにやりと微笑んだ。
読み通り。やっぱりこの悪魔、単純だなあ。褒めればやる気になるんだ。
「それなら、まあ、やってやらないこともなくもなくもなくもない…。や、まってください。」
「ん?」
「人間ってどれくらい生きるんですか。それ次第ですよ」
「え?うーん。最近は70-80位が普通じゃない?」
「は?」
「は?って何」
「いやいや、500年前くらいは長くて30くらいじゃありませんでした??」
「……君何歳なの?」
えー、何歳だっけ。でも結構若いですよ。もうすぐで成人……あれ、もう成人してるんだったっけ?えーと、ひい、ふう、みい……まだしてないか。
悪魔はブツブツ呟きながら、指折り数えて頭を抱える。しばらくして、諦めたような顔でぱっとこちらを向き、口を開いた。
「僕ももう年齢なんか覚えてないです。でも少なくとも、アンタが思ってるように500年生きている……という訳でもないですよ。保護者から聞いた話なので。たぶん、200行くか行かないかじゃないですか?」
「へえ、そう。やっぱ君たちってそう簡単に死なないんだ」
「悪意のある言い方やめてください。単に寿命の問題ですよ、あんたら人間みたいに軟弱じゃありませんしね」
べー、と舌をだして、煽るように目を狭める。しっぽはゆらゆらと揺れ、先端はこちらを刺している。まるで指を指されている気分だ。なんだか腹が立ったから、しっぽに爪を立てながら思い切り力を込めると、ぎゃっ、と情けない声をあげて後方へ大きく飛び跳ね、せいいっぱい僕のことを睨みながら大きく口を開けた。
「なにすんですか!」
「人のことを煽る方が悪いよ。さて、話が逸れたけど……結局のところ、僕の提案を飲み込む気にはなってくれたかな。僕としては、君が僕の提案を飲み込んでくれたらかなり助かるんだけど。」
「……それは、」
「嫌?君にとってはかなり好条件だと思うけど。」
「だとしても、50年以上って……流石に長いですよ。」
「えー、そうかなあ。君は長命種だし、大した損害でもないでしょ。長期出張だと思ってさ。」
そういうと、悪魔はムッとしたような顔をした。
「そういう問題じゃないんです。祓魔師の仕事なんて、僕たちにとって危ないにも程があるでしょう。10年くらいならまだ大丈夫でも、期間が伸びれば伸びるほど、殉職する確率が上がるんですよ?そんなん嫌に決まってます、僕にだって家族がいるんですよ」
「もー、そんなに駄々こねないでよ。大丈夫だって、そう思うんなら、君が死なないように精いっぱいの呪いをかけてあげるから。」
ちょん、と顔を続きながらそういうと、悪魔は思い切り顔を顰めた。小さく、性格の悪いやつ、と言っているのが聞こえて、少し面白くなっちゃった。いくら小声とはいえ、この距離で聞こえないと思ってるのかな。
「悪魔くん、聞こえてるよ。言いたいことがあるならちゃんといいな」
「性格の悪いヤツって言ったんですよ。全く、本当にアンタ人間ですか?もしかしたら化狐だったりするんじゃないですかね。」
「さあね?……で、結局どうするの?使い魔になるのかならないのか、yesかNoで答えてよ。」
「…………っ」
さて、なんて言うんだろう。そんなのまっぴらごめんだって突っ撥ねるのかな。それとも諦めて了承する?
「……分かりました。」
「……へえ、珍しく素直だね。やっと理解してくれ……」
「でもその代わり、5年間試用期間を貰いますよ。5年間やって、アンタから僕への扱いがテキトーだったら破棄、もしアンタが僕を大事に大事に扱えたら契約続行。これでどうですか。」
面白いこと考える子だなあ、知ってたけど
「ふうん、面白いこと考えたね。いいよ、そうしよっか。」
「これからよろしくね、悪魔くん。」
更新頻度カスでごめんなさい
余談なんですけど、みなさん私が書くとして、付き合ってる輝茜と付き合ってない輝茜どっちが好きですか?
コメント
6件
初コメ失礼します🫶🏻 今日見つけて一気読みさせていただいたんですけど、ほんっとに全部最高でした…!!! 全部そうなんですけど2人の関係性とかお互いにどう思ってるかとかが、めちゃめちゃ美味しかったです← 文才がすぎます尊敬です🥹 書き方とかも含めて好みすぎたので衝動フォロー失礼します👊🏻 続きも楽しみにしてます~‼️
付き合ってない輝茜一択
どっちもいいけど付き合ってないかな(*^^*)