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みぃ
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『誰も覚えていない夜』
「揺れる視線」
【02:18:37】
中央ホール。
モニターに表示された名前は、まだ消えていなかった。
【ころん】
その下には、たった一つの理由。
【発言が少ないため】
ころん「…………。」
ゆた「……。」
ころんはモニターを見つめたまま、何も言わなかった。
さとみ「ころん。」
ころん「……ん?」
さとみ「気にしすぎるなよ。」
ころん「分かってる。」
ころん「でも……。」
ころん「こうやって名前が出ると、やっぱり気になるよ。」
さとみ「まあな。」
ジェル「まだ初日や。」
ジェル「こんなんだけで決める必要はない。」
まぜ太「そうですよ。」
まぜ太「発言が少ないって理由だけなら、他にもいる。」
あっきぃ「……。」
まぜ太「な?」
あっきぃ「うん。」
あっきぃ「俺もそう思う。」
ころん「……ありがとう。」
けちゃ「でもさ。」
けちゃが手を挙げる。
けちゃ「じゃあ、逆に聞きたいんだけど。」
けちゃ「みんなは誰なら怪しくないって思ってるの?」
一同「……。」
けちゃ「……あれ?」
だいきり「難しい質問ですね。」
けちゃ「だよねぇ……。」
おさでい「今のところ、確実に人狼ではないと断言できる人はいませんからね。」
心音「占い結果でも出ない限り、無理だろ。」
その言葉に――
数人が反応した。
莉犬「……。」
るぅと「……。」
心音「……?」
心音は周囲を見る。
心音「なんですか?」
莉犬「いや。」
莉犬「何でもないよ。」
るぅと「僕もです。」
心音「……そうですか。」
ロゼ「では、少し考え方を変えてみましょう。」
ロゼが立ち上がる。
ロゼ「怪しい人を探すだけではなく。」
ロゼ「『誰と誰が一緒に動いているか』を見るのはどうでしょう。」
ばぁう「人狼同士が庇い合ってる可能性もあるってことか。」
ロゼ「そうです。」
ロゼ「逆に、村側同士が自然に協力している可能性もあります。」
しゆん「……人間関係を見るってことか。」
ロゼ「うん。」
ロゼ「ただし、仲がいいから同陣営とは限りません。」
まぜ太「それはそうだな。」
ジェル「せやな。」
るぅと「……。」
ころん「……。」
るぅとが、少しだけころんを見る。
ころん「るぅとくん?」
るぅと「……なんでもないです。」
ころん「そっか。」
るぅと「はい。」
二人の間に、少しだけ気まずい空気が流れた。
【02:05:12】
残り時間は、少しずつ減っていく。
すると。
モニターが再び点滅した。
全員「……!」
ななもり。「また?」
画面に文字が表示される。
『追加報告』
『現在、複数の人物について疑いが集中しています。』
そして――
一人目。
【ころん】
二人目。
【みかさ】
三人目。
【てると】
みかさ「……俺?」
てると「僕も……?」
さとみ「……。」
みかさ「どうして……。」
さとみ「みかさ。」
みかさ「……なに。」
さとみ「落ち着け。」
みかさ「……。」
さとみ「まだ何も決まってない。」
みかさ「……分かってます。」
けれど。
みかさの声は、明らかに震えていた。
てると「僕は……。」
るぅと「てるとくん。」
てると「……大丈夫です。」
るぅと「無理しないでください。」
てると「……。」
メルト「僕もいるから。」
てると「……ありがとう。」
その様子を、少し離れた場所から見ていた人物。
ちぐさ「……。」
らお「ちぐ?」
ちぐさ「え?」
らお「また見てた。」
ちぐさ「……。」
らお「大丈夫?」
ちぐさ「うん。」
ちぐさ「大丈夫だから。」
らお「……そっか。」
ちぐさ「……。」
らお「何かあったら言えよ。」
ちぐさ「……うん。」
ちぐさは笑った。
けれど――
その笑顔は、どこか無理をしていた。
まぜ太「……ちょっと待て。」
まぜ太がモニターを指差す。
まぜ太「『疑いが集中しています』ってことは。」
まぜ太「誰か一人が疑ったわけじゃないんだろ?」
ななもり。「そういうことだと思う。」
まぜ太「じゃあ、師匠だけじゃない。」
まぜ太「みかさと、てるとくんにも票が集まってる。」
ロゼ「そのようですね。」
心音「……。」
あっきぃ「でも、理由は?」
モニターには、三人の名前だけ。
理由は表示されていない。
あっきぃ「理由も出さないのかよ。」
しゆん「……随分意地悪なゲームだな。」
タケヤキ翔「情報が少なすぎるやろ。」
らいと「これじゃ、疑う理由すら分からない。」
Lapis「……。」
らいと「どうした?」
Lapis「いや。」
Lapis「この三人に共通点があるのかなって。」
にしき「……。」
にしき「あるかもしれません。」
Lapis「何か分かる?」
にしき「まだ。」
Lapis「……そっか。」
おさでい「一つ、気になることがあります。」
全員が振り向く。
おさでい「今回名前が出た三人。」
おさでい「ころんくん、みかさくん、てるちゃん。」
おさでい「全員、最初の発言がかなり短かったですよね。」
ころん「……。」
みかさ「……。」
てると「……。」
おさでい「もしかしたら、そこを見られているのでは?」
心音「確かに。」
ころん「でも、それなら……。」
ころん「発言が少ない人、他にもいるよね。」
けちゃ「僕とか?」
ぷりっつ「けちゃは逆にしゃべりすぎやで。」
けちゃ「え!?」
だいきり「否定はできませんね。」
けちゃ「だいきぃ!?」
少しだけ笑いが起こる。
しかし――
すぐに空気は戻った。
ロゼ「ならば。」
ロゼ「ここで一つ、確認しましょう。」
ロゼ「三人に質問します。」
ころん「僕?」
みかさ「……なに。」
てると「……。」
ロゼ「今、誰かに疑われていると知って。」
ロゼ「その人を怪しいと思いますか?」
ころん「……分からない。」
みかさ「俺も……分からない。」
てると「僕も。」
ロゼ「なるほど。」
ロゼ「では逆に。」
ロゼ「自分を庇ってくれた人を、信頼できますか?」
ころん「……。」
ころんが、まぜ太を見る。
ころん「……うん。」
ころん「まぜ太は信頼したい。」
まぜ太「師匠……。」
みかさは、さとみを見る。
みかさ「……。」
みかさ「俺も。」
みかさ「さとみくんは、信じたいです。」
さとみ「……。」
てるとは、るぅととメルトを見る。
てると「……僕も。」
てると「二人は信頼しています。」
るぅと「……。」
メルト「うん。」
その言葉を聞いた瞬間。
にしきが、ぽつりと言った。
にしき「……面白いですね。」
はりま「何が?」
にしき「疑われた三人が、それぞれ誰かを信頼している。」
はりま「……。」
にしき「偶然でしょうか。」
まぜ太「何が言いたい?」
にしき「いえ。」
にしき「ただ、覚えておいたほうがいいと思っただけです。」
まぜ太「……。」
【01:32:04】
時間はさらに減っていく。
誰も投票先を決められない。
それでも。
少しずつ、視線が変わっていた。
ころんを見る人。
みかさを見る人。
てるとを見る人。
そして――
その三人を庇う人を見る人。
誰もが疑い。
誰もが疑われる。
そんな中。
ちぐさは、黙ってらおの隣に座っていた。
らお「……ちぐ。」
ちぐさ「ん?」
らお「怖い?」
ちぐさ「……。」
少しだけ間が空く。
ちぐさ「……うん。」
らお「そっか。」
ちぐさ「俺……。」
ちぐさ「このまま、みんなが疑い合うの……嫌だな。」
らお「……俺も。」
ちぐさ「でも、仕方ないのかな。」
らお「……。」
らお「大丈夫だから。」
ちぐさ「……。」
ちぐさは、らおの言葉を聞いて――
ほんの少しだけ笑った。
ちぐさ「……うん。」
けれど。
その笑顔の奥には――
誰にも言えない秘密があった。
【01:00:00】
モニターに表示された残り時間。
誰もまだ、投票先を決めていない。
そして。
最初の投票まで――
あと一時間。
35人の視線が、少しずつ交差していく。
まだ誰も脱落していない。
けれど――
このゲームは、確実に動き始めていた。
――第4話「揺れる視線」終わり。
コメント
2件
読み終えたよ…第4話、すごく重くて静かな緊張感があったな。 疑われた3人(ころん、みかさ、てると)が、それぞれ誰かを「信頼したい」って言った場面が印象に残った。 特に、にしきの「面白いですね」っていう一言がなんかすごく怖くて…あの視線の交差がじわじわ来た。 ちぐさの秘密もまだ明かされてないし、これからどう動くのかすごく気になる。 みぃさんの書く空気感、好きです🤍