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絶世の美少女コスプレイヤーとしてネット界隈を賑わす一人の少女。
 彼女の名は花蓮麻琴!
 今宵も彼女のライブ配信に皆が釘付けである!
 「さーて、今日のコスプレはぁ~」
 黒いマントを脱ぎ捨て、下かあらわになるのはカードゲームでお馴染みの『魔女っ子 ウイッチちゃん』
 銀色の髪にミニサイズの古めかしい魔女の帽子を頭にちょこんと置いて、フリフリのトップに、際どいミニスカート。すらりとした足に映えるリボン多めなブーツ。
 私はポーズを決めカメラに向かってウインクする。
 『尊い!』
『サイコー』
『まこちゃん可愛い!』
 絶賛のコメントがパソコンの画面に並ぶ。
今のところ否定的なコメントは見当たらないが、必ず湧いてくるのが……
 『ローアングルでお願いします!』
『ウイッチちゃん、ダメージバージョン(露出多め)でお願いします!』
 これは可愛い方。
 『脱いでくださ~い!』
『生まれた姿のまこちゃんが見たいなぁ~』
 決まって湧いてくる脱げだの、おっぱい見せろのコメント嵐。
コスプレをなんだと思ってるんだろうか。裸になっては意味がないだろうと心の中で突っ込む。
 ピロリンと通知音がして、画面のコメントに赤い枠が付く。
 『まこちゃん応援しています! 受け取って~!!』
 他のチャットより目立つそれは『メガチャット』通称『メガチャ』と呼ばれる。
簡単に言えばお金を払って、配信者の気を引くもの、いわゆる投げ銭だ。
 「わぁ~! タコツボの中のイカさん、メガチャありがとう!」
 手を可愛いく振ってアピール。素早く反応、これ基本。
 ここからはメガチャ合戦が始まる。
 名前を素早く反応、可愛さマシマシで返事をしつつ、通常のチャットにもしっかり答える。
 後々のファンを獲得するためには、目先のお金だけに反応してはいけないのだ。
 「今日わぁ~まこのライブにぃ、みんなきてくれてありがと~!」
 カメラに両手を振って、お別れの言葉をいい終えるとカメラを止める。
 小さく息を吐き、無事終えたことの安堵感と達成感に浸る。
 こうして怒濤のライブ配信は終わりを迎える。
 ネット界隈のみならず、町を歩いていても周囲から注目を浴び芸能事務所から声をかけられることも多々ある私は外出するだけでも大変なのだ。
 そんな私こと花蓮麻琴は16歳の高校生。
 学校でもさぞかしモテるのだろうとか言われることは多いが実際そうかと言えばそうでもない。
 なぜなら……
 教壇に立つ担任が出席を取る。
 「|飯田 麻宏」
 「はぁい」
 眠そうに手を上げあくびをしながら返事をする俺の態度が気に入らなかったのか、担任の高橋が小言を言うが適当に謝って流す。
 絶世の美少女であるはずの花蓮麻琴が学校でモテないのは男だからである。