テラーノベル
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バチチッ
幾度となく放たれる雷をニティアの魔法でいなしていく。
『グルル!』
ずっと黙っていたエラリスが、ゆっくりと口を開いた。
「ニティアお願い。この防御魔法解いて」
「はぁ!?」
その発言に驚くニティア。当然の反応である。
「あんた……あんなの避けられるわけないし、これが無いとあぁなるわよ!?」
そう言って指を指すニティア。その先には、アルテアにより治療を受けている、最初の雷で感電してピクピクしているルシオの姿があった。
「分かってるけど、このままじゃあの子、興奮してて話聞いてくれない」
「だけど!」
「ニティア!」
ニティアの発言を止めるフィニス。その言葉に2人の視線がフィニスに集まる。そんなフィニスはエラリスに視線を移して口を開いた。
「なんとかなるんだな?」
「うん。たぶん」
「ふむ……」
一瞬沈黙するフィニス。しかし、次の瞬間には笑顔でニティアへと視線を送っていた。
「俺らより精霊のことを知っているエラリスがこう言ってるんだ。信じてみようぜ!」
「……分かった……でも、最低限の防御魔法だけはかけさせて」
「ありがとう」
そう言って、エラリスはゆっくりとライナの元へと歩いて行った。
『グルルっ!』
再び頭を強く振り、角からバチバチと放電する音を響かせるライナに、エラリスは両手を広げ、一歩ずつゆっくりと近づいていく。
「大丈夫。少しだけお話をさせて」
『グゥー!!』
ライナは相変わらず頭を振り続けている。
「……大丈夫かしら………」
「信じるしか無いわな……」
エラリスのいう通り、興奮させないよう武器をしまい、しゃがみ込む形で見守るニティアとフィニス。
「落ち着いて。ね?」
優しい声。
『グゥー……』
ジリっ
『!?』
一瞬落ち着いたかに見えたが、エラリスの近づく足音に反応し、再び大きく頭を振りかぶるライナ。
『グゥァー!!』
バチバチッ!
「エラリス!」
ライナの額から放たれる雷に打たれたエラリス。最低限の防御魔法をかけられているとはいえ、無傷であるはずもない。
「くっ……!」
片膝が崩れ、倒れかける。フィニス達が駆け寄ろうとするも、それをエラリスは手で制止し、再びゆっくりと立ち上がった。
「よしよし……大丈夫。怖くないよ」
よろよろとした足取りでゆっくりとライナへ近づくエラリス。
『フンフン!』
ライナは鼻息を荒くし、再び角を振り翳す。
バチバチッ!
エラリスは体制を崩したのか、そのまま膝をつく形で地面に座り込んでしまった。
そんなことを気にも止めず、ライナは先ほどよりも激しい雷を角へ集めていき、そのままエラリスの方へ放たれようとしていた。
「エラリス!」
フィニスが後ろから叫ぶ。しかし、隣のニティアは落ち着いた様子で大きなため息をついていた。
「やっぱりそうなるわよね」
「ん?」
バチン!
ライナから放たれた雷がエラリスへ放たれ、一面に砂煙が舞い始める。
「それが1番話が早いですしね」
「う……う……」
後方でルシオを治療しているアルテアも、微笑みながら呟く。
砂煙が晴れていき、少しずつエラリスの姿が見えてくる。フィニスは目を擦り、じっとエラリスの方を凝視していると、膝をついてしゃがんでいるエラリスの前にはしゃがんだエラリスを隠す高さの土の壁。
「人の話を聞きなさい!」
エラリスが立ち上がり、壁の上からライナを睨みつける。
『やはりこうなったか……』
その土壁の前。地面からひょこっと姿を現したモラティ。
『ひぃ!?』
エラリスの睨みとモラティの出現に、ライナは全身を震わせながらストンと座り込み、前足で顔を隠しはじめた。
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
「え?」
「は?」
「まぁ……」
「……」
急なライナの変容。そしてブチギレているエラリスの姿に戸惑うメンバー達。
「話し聞く気になった?」
『は……はい……』
相変わらずビクビク震えているライナを見てため息をつくモラティ。一度地面に潜ったあと、フィニス達の近くに姿を現した。
『私が側にいたら話もできんだろうし、あぁなれば少しは会話もできるだろう』
「急にオドオドし始めたけど……」
「なにあれ……」
『ふむ……』
エラリスとライナの様子を見ているフィニス達。
「いきなり攻撃してきたら危ないでしょ」
『ひぃ!おっしゃる通りです!』
「なんであんなことしたの」
『……その……えっと……(バチチッ)だったので……』
会話の途中で角から発せられた電気の弾ける音。
「え?何聞こえない」
『すみません!だからその……急に(バチッバチッ)だったので……』
モラティが再び大きなため息をついた。
『やはり変わらんか……』
「だから!あなたのその角の音のせいで聞こえないの!」
『ひぃ!ごめんなさいごめんなさい!!(ゴロゴロゴロ!)なんです!!』
今度は遠くで鳴り響く雷の音。
「全く何言ってるかわからないな……」
「そうだね……」
『だから言ったであろう。会話が成り立たぬと。あやつは私らとは異なり身体もでかいだろ?』
「比べものにならねーくらいにな」
『それでいて、基本的に地上にいる時はここから離れることはない。ずっとこの場所にいるのにも関わらず、この世界中に雷を鳴り響かせておる』
「それって……」
『うぬ。単純な力で言えば、私らよりもはるかに強い存在だ』
エラリスに怒られるたびにビクビク震え、パチパチゴロゴロと音が辺り一面に鳴り響いている。
「確かに、今見ると可愛い顔していますもんね」
「……いや、あれはただエラリスが怖くて涙目になってるだけだろ……」
いつの間にか意識を取り戻したルシオが会話に加わった。
『こんな雷の鳴り響く山頂に来る人間なんてそういない。その為、人間との付き合い方が分からぬ……つまり、極度の人見知りでビビりなのだよ』
コメント
1件
ああ、面白かったですね。このエピソード、ライナの正体が「極度の人見知りでビビり」ってのが最高でした。あれだけ雷をばらまいてたのが、エラリスの怒り一つで震え上がるギャップ。モラティの「やはり変わらんか」の呆れ具合も好きです。設定の裏側——力は強いけど人間との付き合い方が分からない、という精霊の生態がちゃんと見えたのが良かった。
*‥・うらら°🌱🐇☁・‥*
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マカロン
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耀聖(ようせい)
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