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《 時間になりました。皆さん、指示通り、ベット横の壁に触れてくださいませ。 》

葛葉 「 … ん? 」


アナウンスの声で、パチと瞼を上げる。

どうやら寝ていたみたいだ、まだ体が重くて温かい。

体を起こして、目を擦る。血を摂取できたからか、体の調子は良かった。


葛葉 「 どこだっけ壁 … 」


辿り辿りで壁に手を当てていたら、1箇所分かりやすく手の形をしたホログラムが表示された部分があった。手を当てて下さいと言わんばかりのマークだ。

ポンとそこに手を当てたら、


やっぱり落とし穴が作動した。


葛葉 「 …… うわキモ 」


内臓が浮くような感覚に気持ち悪さを覚えたが、この先マットがあることは前回でよーく分かっているので抵抗も驚きもなかった。

ボスンと音を立ててマットに突っ込んで、寝起きだっただけあって謎にマットが心地良く思えた。

今から人を殺した奴を殺す裁判をやるのに、何を考えているんだか。

体を起こして、1度頬を両手で軽く叩く。

マットから降りたら、いつも通りの扉。

この扉を開けば、裁判が始まる。


葛葉 「 … よし。 」


そう呟いて、扉を押し開けた。

するとそこに広がっていたのは、前回とは少し違った色の裁判場。


葛葉 「 ……? 」


水色っぽい。裁判には似合わない、爽やかで綺麗な色だ。

裁判場を見渡しながら、自分の立ち位置で立ち止まった。

そんなことをしていたら、続々と人も集まってくる。

殆どの人間が集まった頃、ようやく最後の弦月さんが姿を現した。

しかし、彼は扉の前から動かなかった。

皆が首を傾げる中、彼の瞳は裁判場をしっかりと捉えているように見える。

何かあったのだろうか。

皆の顔色を伺ってみれば、長尾景も壁や天井を見詰めていた。何となく、長尾景から怒りや憎しみの感情が垣間見えた気がする。


笹木 「 えっと … 何や? この時間 」

弦月 「 … あ、すみません。ちょっと イラついちゃって。 」


彼はそう言って裁判場に乗った。

長尾景は変わらず、壁を見詰めている。

すると弦月さんは口を開いた。


弦月 「 この色 … 晴くんのカラーなんですよね。 」


その言葉にザワザワ、と皆が少しずつ声を上げた。

成程、裁判の色が変わってたのは … 亡くなったヤツのカラーだったからか。

甲斐田、俺はそんなに気にしないタイプだから分からなかったけど、こんな色だったのか。

… 綺麗な色なのに、血が混じっているように見えてきた。


『 はい。裁判場のリアクションはもう良いよ。 』

『 今から裁判を始めます。説明は … 要る? 』

叶 「 一応聞かせてほしいかな 」

『 分かった、じゃあ説明するね。 』


『 この裁判は、今から死因、凶器、アリバイなどを皆で会議し、カードで「クロ」を引いた人物を処刑するゲーム。

「シロ」を処刑してしまった場合も、間違えた皆が処刑されるなんてことも無く次のゲームが開催される。

投票時間は君たちが志望したら与えるし、一応一定時間経てば俺から投票時間が提示される。

投票が終わった後に答え合わせをして、それで裁判はお終い。

分かった?』


 「 … なるほどね、よく分かったよ。 」

三枝 「 あー、まぁまぁ … 理解は出来る。もう始める感じ? 」

『 うん、もう始めて良いよ。 』

弦月 「 …… じゃあ、始めましょうか。裁判。 」



笹木 「 取り敢えず 最初に話すのは死因とかやんな? 」

椎名 「 そうやなぁ、あたし殴殺じゃないかって思ってるんやけど … 」

夕陽 「 あれ、失血死じゃないんですか? 」

不破 「 溺死じゃね? 流石に 」


早速意見が割れてしまった。皆が首を傾ける。


弦月 「 殴殺は違うと思います、あの感じは大きいたんこぶくらいで思って良い物でした。 」

長尾 「 それは俺も見た。血も出てないし … そこまで致命傷じゃあねぇよ。 」

椎名 「 じゃあ違うんかぁ 」


三枝 「 あんな馬鹿みたいに血が出てたし、失血死じゃないの? 」

弦月 「 それは … どう説明すれば良いかな。 」


加賀美 「 では、仮に失血死だったとして … 甲斐田さんはどうしたのでしょうか。

素直に捕まってされるがままに切られるなんてことは無いでしょうし … 。

彼は人一倍怯えていましたから、警戒心も強かったはずでしょう? 」

 「 後ろからガツンと1発やられて 気を失ってたとかじゃない? 」


確かに叶の言うことは一理ある。でも …


葛葉 「 それなら腱を切る意味なくね? 」

 「 … 確かに。 」

剣持 「 その感じで行くなら腱を切ってトドメに頭を … の方がありそうですよね。 」

夜見 「 腱は切られら後歩けないだろうし … 甲斐田くんだから痛いって泣きながら床を這いずりそうだよねぇ。 」


星川 「 じゃあ血の跡がいっぱいある筈でしょ? それらしい物は見てないんだけど 」

加賀美 「 では … 甲斐田さんが腱を切られても、泣くだけで這いずる余裕もなかった … もしくは、這いずることすら出来ない状態だったということですかね。 」

葛葉 「 這いずることすら …? 」


這いずることすら出来ない状況。それはもしかして …?


葛葉 「 腱を切られる時点で既に死んでいた … とか? 」

伏見 「 …… へ? 」


葛葉 「 死んでたんなら、血とか這いずった後が無いのも納得が行く。 」

長尾 「 あー … 成程な。頭の傷と腱は両方ある意味無いしな … それこそ、滅茶苦茶残虐な殺し方をしたいとか言うヤツじゃなけりゃ。 」

伏見 「 拘束の可能性は? 」

長尾 「 縛られたような痕跡は無かったから多分ない。 」

伏見 「 なぁるほど … 」


葛葉 「 じゃ、死因は溺死が濃厚か? 」

弦月 「 そうですね、ですが根拠が足りない … 」


根拠 … 溺死だと決定付けるための根拠。

俺は知っている、そしてあと2人知っている人がいる。他にいるのかは知らないけど …


葛葉 「 … ある、根拠。 」

弦月 「 本当に? 」


彼は驚いた様子で俺を見た。

なんだろう、彼からは、少しの気迫が感じられる。

「本気で裁判に挑んでいるんだ」って分かる。

長尾景だってそうだ。 2人とも …

「甲斐田晴」を殺した犯人を突き止めるのに本気なんだ。

俺は思わず、唾を飲み込んだ。

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コメント

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推理がしやすくて 読んでて飽きません! みんな頭良すぎw これからも頑張ってください!

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