俺はあれから園庭を見ないようにしている。あの子だけじゃなく他にも見てる人がいるかもしれないと思い、大人しくベッドの上でじっとしていた。
ガラガラ…
定期検診かと思い声をかけられるのを待っていると目の前に現れたのはbrだった。
br「久しぶりだね、shk。」
sh「br!もしかして…」
br「うん、そのもしかしてだよ〜。」
側にあった椅子に腰掛けて話をしてくれる。どうやらnaは無事のようで今は退院もして普段通りに生活してるようだった。
sh「…良かった…。」
br「で、naからこれ預かってる。」
sh「…鍵?」
俺は渡された鍵を見つめる。見覚えのある形でそれはnaの部屋に続く出入り口の鍵だった。
br「戻ってこいって言ってたよ。」
sh「…na。」
俺は鍵を握りしめる。
sh「br、有難う。そらから約束通りに全部話す。必ず、一言一句聞き逃さないで欲しい。」
br「うん。わかった。」
brはメモを取り出すと俺の話に合わせて書き進めていく。途中途中質問なども混ざりながら面会時間いっぱいまで話し込んだ。
sh「…もう俺みたいな扱いは受けて欲しくないんだ。」
br「shk…辛い思いしてきたもんね。話してくれて有難う。」
sh「brがいなかったら俺はこうしてここにはいなかったかもしれない…有難う。」
br「もう、お礼は聞き飽きたって!じゃぁ、僕はもう帰るね。」
brは立ち上がり俺に手を振り病室を出て行った。俺はbrから渡された鍵を見つめる。
sh「naにあって謝らないと…」
俺は病院を退院しnaのホテルを目指す。
深くフードを深く被り人と目を合わせないように人ごみを歩く。
あの時はnaといたから気にもならなかったのに今は不安でいっぱいだった…。
brが書いてくれた地図を頼りに俺はひたすら歩き続ける。
見慣れた茂みの場所まで辿り着く。この先を抜ければホテルなはず…俺は目の前の茂みを進んでいく。naと出会った時は泣いていてどのくらい歩いたか何て覚えていない。
俺は空を見上げて陽がだんだんと沈んでいくのがわかる。暗くなる前にこの茂みを抜かないと…
sh「うわっ!」
少し足早に茂みを抜けようとした瞬間、誰かにぶつかってしまう。俺はなんとか踏み止まり顔をあげる。
sh「na!?」
na「shk!!お帰り!!」
naが勢いよく俺に抱きつく。俺たちはそのままその場に転げる。
sh「na…ごめん、助けられなくて。」
na「俺は大丈夫だから。それよりもbrからshkの事聞いた…。」
sh「俺も大丈夫だから。brのおかげで何とか無事だよ。」
ここで話し込んでたら陽が暮れてしまうとnaが部屋に行こうと立ち上がって俺を引っ張って行く。
sh「…俺が入っても大丈夫なのか?」
na「大丈夫。あの日shkがいた事は知らないはずだから安心していいよ。」
俺は不安ながらもnaに着いていく。久々のnaの部屋に俺は少し涙ぐんでしまう。
na「brから預かった?」
sh「あぁ。」
na「これはshkが持ってて欲しいんだ。」
sh「どうして?」
na「だってshkの家はここでしょ?それにいつかは俺がオーナーになった時のシェフなんだから!」
sh「それ、まだ言ってんのかよ。」
na「俺は絶対にshkがシェフがいい!」
sh「わかったよ、約束する。」
na「約束な!」
sh「でも、俺料理作った事ないけど…」
na「これからだって!俺だってオーナーになる為に何したらいいかなんてわからないし!」
sh「そうだな。」
あんな事が起きたのに今じゃ前に戻ったような感覚で話すnaに驚いている。でも、すごく居心地が良くて俺も同じ感覚になっていった。
就寝の時間が近づく。俺は以前の出来事を思い出して少し身構える。naが俺の肩をたたく。
na「…怖い?」
sh「少し…」
na「大丈夫だって。俺がいる。しばらくは一緒に寝よ。」
sh「…いや、大丈夫。」
na「もう〜恥ずかしがらなくていいから。ほら!ベッドに入って。」
俺はぐいぐいと背中を押されてベッドに飛び込む。その上からnaもダイブしてくる。さっきまで強張ってた体は一瞬でほぐれ俺は素直にベッドに入る。
na「一緒だと何にも怖く無くなるよな。」
sh「無くなりはしないけど、すごくマシにはなるな。」
お互いに目を合わせておやすみと就寝の挨拶を交わして俺たちは目を閉じた。
最悪な事態が待ち受けてるとも知らずに。
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