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『放課後、君とふたり』
「ur、まだ帰らないの?」
放課後の教室。
窓から差し込む夕日を背に、hrが声をかけた。
urは机の上に広げたプリントから顔を上げる。
「……これ終わってない」
「それ、今日提出じゃないじゃん」
「知ってる。でも今やっておきたい」
「真面目だなぁ」
hrは笑いながら、urの前の席に座った。
教室にはもう、ほとんど人がいない。
部活へ向かう生徒たちの声が、廊下の向こうからかすかに聞こえてくる。
「hrは帰らないの?」
「んー……urがいるから」
「……何それ」
「別に?」
hrは何でもないように言って、机に頬杖をついた。
urは少しだけ眉を寄せる。
「暇じゃないの?」
「暇」
「じゃあ帰ればいいじゃん」
「やだ」
「なんで」
「urと帰りたいから」
一瞬。
urの手が止まった。
「……そういうの、普通に言うなよ」
「え?なんで?」
「……なんでもない」
urは視線をプリントに戻した。
けれど、さっきまでより明らかに字を書く速度が遅くなっている。
hrはそんなurを見て、少し笑った。
「ur、顔赤くない?」
「赤くない」
「赤いよ」
「夕日のせい」
「そっか」
hrはそれ以上追及しなかった。
ただ、嬉しそうに笑っていた。
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しばらくして、urがプリントを閉じた。
「終わった」
「お疲れ!」
「帰る?」
「うん」
2人で教室を出る。
昇降口へ向かう途中、hrがふと足を止めた。
「ねえ、ur」
「何?」
「今日さ、俺と一緒にいて楽しかった?」
「……急に何?」
「いや、なんとなく」
urは少し考える。
「……まあ、楽しかった」
「ほんと?」
「嘘ついてどうするの」
「じゃあ、明日も一緒に帰ろ」
「……いいよ」
その返事を聞いたhrは、ぱっと笑った。
「やった」
「そんな嬉しい?」
「うん」
「……変なの」
そう言いながらも、urの口元も少しだけ緩んでいた。
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次の日。
放課後になると、hrはいつものようにurの席へ向かった。
「ur、帰ろ!」
「……ごめん」
「え?」
「今日、友達と約束してる」
「そっか」
hrは一瞬だけ寂しそうな顔をした。
けれど、すぐにいつもの笑顔に戻る。
「じゃあまた明日!」
「うん」
hrが教室を出ていく。
urはその背中を見ながら、なぜか胸の奥が少しだけ落ち着かなかった。
――なんだろう。
別に、一緒に帰れないだけなのに。
その日の帰り道。
urは友達と歩きながらも、何度もスマホを確認していた。
hrからメッセージが来ている。
『今日一緒に帰れなくて残念だった!』
urは少し迷ってから返信した。
『明日は一緒に帰る』
すぐに既読がついた。
『ほんと!?』
『うん』
『約束ね!』
そのメッセージを見て、urは小さく笑った。
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翌日。
約束通り、2人は一緒に帰った。
「昨日さ」
hrが歩きながら言う。
「何?」
「urから『明日は一緒に帰る』って来たとき、めっちゃ嬉しかった」
「……そう」
「なんか、urって俺のこと嫌いなのかなって思ってたから」
urが足を止める。
「……は?」
「だって、いつも冷たいじゃん」
「普通だよ」
「俺が話しかけても『うん』とか『そう』とかばっかり」
「それは……」
urは言葉に詰まった。
本当は違う。
冷たくしているつもりなんてなかった。
むしろ逆だった。
hrと話すと、どうしていいかわからなくなる。
嬉しいのに、素直になれない。
「……hrだから」
「え?」
「hrだから、変になるんだよ」
「……どういう意味?」
urは顔を上げられなかった。
「……知らない」
hrはしばらく黙っていた。
そして、少しだけ笑う。
「じゃあ、俺も同じかも」
「……え?」
「urといると、なんか変になる」
夕暮れの道。
2人の影が長く伸びている。
hrは少し照れながら続けた。
「もっと一緒にいたいって思うし」
「……」
「明日も会いたいって思う」
urは何も言えなかった。
でも、その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんわり温かくなった。
「……じゃあ」
「うん?」
「明日も一緒に帰ろ」
hrが笑う。
「もちろん」
「明後日も」
「いいよ」
「その次も」
「ずっと?」
「……嫌ならいいけど」
「嫌じゃない」
hrは即答した。
「むしろ、ずっとがいい」
urは恥ずかしそうに目を逸らす。
「……そっか」
「うん」
2人はまた歩き出した。
特別なことは何も起きなかった。
手を繋いだわけでもない。
大きな言葉を交わしたわけでもない。
ただ、いつもより少しだけ近い距離で歩いた。
そして、その帰り道から。
2人にとって「一緒に帰る」という時間は、ただの帰り道ではなくなった。
――明日も、その次の日も。
きっと、この時間は続いていく。
そんな気がした。
コメント
1件
第1話、すごくいい雰囲気でした。hrのストレートな「一緒にいたい」と、urの不器用な距離感が丁寧に描かれていて、夕暮れの教室が目に浮かぶようです。特に「hrだから変になるんだよ」と「俺も同じかも」の掛け合いがたまらなく甘酸っぱくて、思わず顔が緩みました。特別なことは何も起こらないけど、二人にとって「一緒に帰る」が特別な時間に変わっていく過程が美しかったです。続き、すごく楽しみにしてます!
きらくる
8,205
#mmntr
紫蘭
1,135
#からぴちイラスト