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ろふです


ゴールデンウィーク最終日って…嘘…ですよね…????


悲しみの春竜死ネタ書いていきます


注意↓

・春千夜が死んだ後

・竜胆が女(モブ)を抱いた発言

・なんでも許せる方向け


特に注意書く事も無いです。ただなんでも許せる方向けです。


多分すっっっごい長くなります


では行ってらっしゃい!






恋人が死んだ。

いや、正確に言えば殺された。響く雨音、薄暗い部屋、床を濡らす血、仄かに香るウッディ調の香水と血の混ざった匂い。部屋の真ん中に倒れる恋人。鮮明に思い出せる。

今でも思い返せばやり場のない殺意に襲われる。ふつふつと腸が煮え繰り返る様な怒り。誰だ、誰だ俺の恋人を殺したのは。


「はるち…よ…」


誰かが返事する訳もなく、俺の心の底から出た声は涙と共に冷たい床に落ちて消えた。


ずっと探している。反社のNo.2だった故誰に殺されたかどうかなんて分からない。

でも、諦めたくなかった。

もし本当に神様が居るのなら、俺の全てを捧げます。今まで犯してきた罪を全て包み隠さず伝えます。地獄に落ちたって構わない。何が起きたって構わないから、どうか俺の恋人を殺した人間を教えてください


俺は春千夜が死んでから数え切れない程の女を抱いた。春千夜の性格上、そういう関係になってしまった女も多い。

その中に逆恨みで春千夜を殺した女が必ず居る。

あの日に香った独特な香水の匂いだけを頼りに、今夜も女を抱いた。

どれだけ抱いたって、どれだけ距離を近付けたって女から香るのは吐き気を催す程に甘い匂い。

気絶してしまった女の隣にホテル代を置き、ホテルを後にした。

今日も外れ。これで何人目だ?

スマホが音を立てて振動し始めたので電話に出る。


「もしもし」

「竜胆~、今日家帰って来る?」


電話から聞こえたのは、俺が今信用できる一人だけの人間、兄貴の声だった。


「うん、今から帰るよ」

「分かった、待ってるな」


ぷつ、と電話が切れる。先程抱いた女の顔はもう思い出せない。そんな記憶の中できらきらと輝く春千夜の顔。絶対に、絶対に復讐してやるからな。その後俺も死ぬから。地獄で笑おうな、春千夜。



春千夜が死んでから二ヵ月半。

今日も外れ。全員掠りすらしない。


「…春千夜、もうちょっと待っててね」


紫色のスーツを抱き締めぽつりと呟く。

途端、ふわりと香水のつけない春千夜の素の匂いが香り、誰かに優しく抱き締められた様な暖かさに包まれる。

急いで周りを見回したって誰も居やしないんだから、また死にたくなる様な寂しさに襲われるだけ。



春千夜が死んでから半年。

もうさっきの女で全員抱いた。でも誰からもあの匂いがする事は無かった。


「案外難しいんだな、殺人犯を見つけんのって」


出来る事なら今すぐにこの手で地獄に落としてやりたい所なんだけど。顔も分からない様な誰かを夢の中で何度も殺した。何度も夢の中で春千夜と眠った。

起きても隣には誰も居ないから、酷い事するよな、神様は。



春千夜が死んでから一年。俺はターゲットを春千夜と関係を持った事のある女から春千夜の周りの奴らに移し、春千夜を殺した奴を探した。部下だって皆。でも一人も居ない。見つからない。

何度壁を乗り越えてもすぐ新しい壁にぶつかる。仕事に加えてそんな生活を送っていたから俺の体は肉体的にも精神的にも限界だった。

そんな俺を、春千夜しか見ていない俺を、心配して、ずっと声をかけてくれたのは兄貴だった。俺を支えてくれたのは兄貴だけだった。ぽっかり空いてしまった俺の心を満たそうとしてくれたのは兄貴だけだった。


「俺が今信用出来るのは兄ちゃんだけ、絶対に離れないでね」


なんて言ったら、俺にしか見せない優しい顔で兄貴はにっこりと微笑んだ。

ああ、もし俺が兄貴を好きになれたなら、もし俺が潔く春千夜を殺した奴の事なんて忘れられてたら。

この人と心の底から笑い合えたのに。そんな事を思いながら、随分上手く出来る様になった笑顔でにこ、と微笑み返した。



ある夜兄貴が外へ行こうと言い出した。

もう鮮明にあの情景を思い出せず、あの匂いも忘れてしまって、手掛かりが無く精神的に参っていたから何も考えずに「いいよ」と返した。

兄貴が連れて行ってくれた場所は公園だった。本当に誰も居ない公園。昼間の様な暖かさを感じられない公園。

特に何も話さず、少ししか見えない星の数を数えているとぽつぽつと雨が降り始めた。


「うわ最悪ー…竜胆おいで、雨宿りしよ」

「うん」


兄貴は俺が濡れないようにとジャケットを頭から被せてくれた。俺は、風邪なんて引いたら本当に死んでしまう程弱っているのだろう。

すると懐かしい様な匂いに包まれた。


「何この匂い」

「…雨、かな?じめじめしてて嫌だなー…髪の毛ぐっちゃぐちゃになるし……」


不自然。

頭の中でその三文字が浮かぶ。兄貴を見詰めると、兄貴も首を傾げて見詰め返してくれる。


「ううん…雨じゃない、雨なら分かる」

「……じゃあなんだろうね?」

「分かんない…」


屋根のあるベンチに座って、兄貴のジャケットを肩にかけてもらう。さっきの嗅いだ事のある匂い、でも何かが足りない。何?何が足りない?

心の中で春千夜に問う。

春千夜、俺を導いて…ぽつぽつと響く雨音、街灯が少なく薄暗い、地面が雨で濡れている、…後は何?


「どう?思い出せそう?」

「…無理……」


後少しで思い出せそうだったのに、疲れ切っていた俺の頭は考える事を放置してしまった。


「まぁ、今は無理に思い出さなくてもいいんじゃない?ふとした時に思い出すよ。」


兄貴はそう言って頭を撫でてくれた。確かに、今じゃなくてもいいかもしれない。

きっと思い出す、些細な事で。



体調も回復してきて、春千夜を殺した奴の事は段々と忘れかけていた。

今日は久しぶりに兄貴との合同任務。鶴蝶もココも居るからいつものメンバーという感じだ。


「春千夜、行ってきます。」


棚の上に置いてある春千夜の写真に手を振って部屋を出た。

車で兄貴とココと鶴蝶の会話を聞き流しながらスマホのロック画面を見詰める。付き合い始めて一年記念の時、二人で遊園地に行った。その時に撮った、綺麗なイルミネーションを背景に春千夜がこっちに振り向いた瞬間の写真。

今でもずっと見惚れてしまう程に美しい。居なくなって一年半程経った今でも俺の心の真ん中に居る、大好きな人。


「竜胆、そろそろ着くぞ」


鶴蝶の声を聞き、スマホの電源を落とした。車から降りて部下に待機させておく。№3と幹部を三人も使っての取引だ。

今日だけで軽く数億は動くだろう。


「蘭は人間、鶴蝶と竜胆は薬、俺は金。」

「りょーかい」

「分かった」

「了解」

「ん、真面目にしろよ。蘭」

「なんで俺だけ?」


あははと鶴蝶が笑う。つられて俺も笑ってしまった。

今までだったら春千夜も一緒に言われて二人で言い合いしてたんだな、なんて。

倉庫に入ると、右奥にボロ雑巾の様な服を身に纏っている人間が数人並んで座らされていた。兄貴はそいつらに値段を付けて売り払っていく。

左に居る数名の男と話すのは俺と鶴蝶。薬の取引だ。

そして総合してココが金の話を取引相手の中で一番偉い人とする。反社だって仕事は簡単だ。


「おはようございます。…えっと…」

「山崎です」

「一ノ瀬です」


偽名を使って自己紹介をする。相手だって本当の名前を使わない。


「おはようございます山崎様、一ノ瀬様。さて、今回の取引ですが…」


ここからは前だったら春千夜が薬の確認をしてたっけ。万年シャブ中だったから偽物だって見破ったりして。

くん、って薬の匂いを嗅いで「オイこれニセモンだろ」って言ってた時格好良かったな。



「…はい、これで大丈夫です。また次もお願いします。」


また前の事を思い返していると、知らない間に取引は終わっていたらしく、鶴蝶が会話を締め括っていた。


「山崎サンどうだった?」

「大丈夫だろ多分。一ノ瀬サンもうちょっと相手の顔見た方がいいと思うが」

「ふふ、ごめんって」


薬と金の詰まった銀色のアタッシュケースを片手に持ち石川サン(兄貴)の元へ向かう。ちなみに浜野サン(ココ)の所へはあまり行かない。話が難しくて俺も山崎サンも着いていけないから。


「ん~、こいつだけ百二十万かな」

「や…安くないですか…?」


近くに立つとまだ取引最中だった。兄貴は一人の女を指差して格安の値段を付けた。取引相手と同じく正直俺も他の奴との違いが分からないが、なんでなんだろう?


「だって生きようとしてねぇもん。他の奴は売られた相手によっちゃ割と幸せになれる可哀想なくらいちっちぇ可能性信じてるけどさ~」


兄貴の言葉を聞き、再度先程の女を見る。女は俺の事をじっと見ていた。


「...知り合いか?一ノ瀬サン」


鶴蝶がその女の目線に気付き俺に耳打ちをしてくる。正直言うと知らない奴だ。


「…やっぱり五百万かな」


値段が先程よりも上げられたが、周りよりも少なめの値段だった。


「あ、ありがとうございます…!!」

「ん~、質良し見た目良しって感じ。いいじゃん」


珍しく兄貴が売り払われる人間を褒めていた。

もう一度さっきの女を見ると、女は俺と目があって何を思ったのか、にこりと微笑んだ。

騒がないように付けられている布ごしでも分かる笑みで。


「…何お前」


気付くと俺はその女に向かって話しかけていた。


「何?俺と会った事でもある?誰?」


取引相手の男がさささとそいつの布を取る。


「あ、あの、私…春くんの元カノで、そ」


元カノという言葉を聞いて血の気が引き始めた時、ダンッッ!!!!と銃声が倉庫内に響く。

倉庫が静まり返り、奥の方ではココが此方を見詰めている。

見ると女は頭を頭をぶち抜かれて死んでいた。

撃ったのは俺じゃない。兄貴でもない。


…鶴蝶だった。


「……竜胆、先に戻っておこう」


取引相手は何があったか分からないという表情で目をぱちくりとさせている。


「…俺がなんとかするわ。先戻ってて一ノ瀬。山崎、一ノ瀬頼むわ」


アタッシュケースをトランクに乗せて車に乗り込む。後ろの席に鶴蝶と隣で座った。暫く鶴蝶は俺の背中をさすっていてくれた。

安心したのか、もう一度状況を理解したのか、ぶわ、と俺の目から涙が零れた。鶴蝶はそれを見て部下に此方を見ない様目配せをした。


「っ、ふ、ぅっ、」

「……大丈夫、大丈夫だからな、ごめんな思い出させて…」


此方こそごめん、鶴蝶は何も悪くないのに。人に謝らせて、俺が悪いのに何も口に出せない自分に、またぼろぼろと涙が溢れた。

ちょっとしてから兄貴とココが戻って来て、何も言わず部下に車を出させた。



次の日。


「鶴蝶、ごめん、ありがと」

「あぁ…全然大丈夫だ。竜胆は悪くないしな。」


昨日の事を謝ると、鶴蝶はにかっと笑って“大丈夫”と言ってくれた。

その後ココと兄貴にも謝りに行った。皆俺は悪くないと言ってくれた。また、俺の心が少し満たされた気がした。


マイキーが俺を気遣ってか、今日から少しの間の仕事は事務仕事になった。ただでさえ苦しいだろうに、俺の事で気を遣わせてしまって申し訳なかった。



その日は雨だった。朝からずっと降り続けていた。

事務仕事を終わらせ、早めに部屋に戻った。部屋に着いてから、晩御飯を作ったり洗濯物をたたんでいる内に辺りが暗くなり始めた。

雨が屋根に当たる音が響く。周りが暗い。


「…」


何か…何かが足りない。何の為の何かかは分からない。でも、今の状況には何かが足りなかった。ガチャ、とドアを開ける音が聞こえた。何故か春千夜に止められる。

でも気になるんだ。誰が来たのか、何が足りないのか。

ドアまで行けばその答えはすぐに出た。


「…」


返り血を浴びていて血生臭い。

薄暗い外。

響く雨音。

そして、仄かに香るウッディ調の香水の匂い。

ああ、そういう事か。そういう事だったんだね、春千夜。

酷いや神様。こんなの酷いよ。


「竜胆?」


俺は一体何を信じれば良かったの?


春千夜の声だけを信じていれば良かったの?


俺を満たしてくれていた筈の暖かいものは偽りの暖かさなの?


本当にその感情は向けられていたの?


何が本当?


俺は君を信じてしまってた。


なんで傍に居てくれたの?


なんで優しくしてくれたの?


なんで春千夜を殺したの?



訳が分からない。分かんないよ。



なんでなの?



「酷いよ」



なんで春千夜を殺す必要があったの?



「…酷いよ」






「兄ちゃん」






おかえりなさい!


胸糞悪ぃ終わり方ですね


お疲れ様でした!

この作品はいかがでしたか?

660

コメント

9

ユーザー

神だああああああああぁぁぁ😇((うるさ ♡500にしといた後は任せた…

ユーザー

見直したら5000文字あって死んだ

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