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手を引かれ、連れ込まれたのは、パークの奥まった場所にある静かなレストルームだった。
喧騒から離れたそのエリアは、人通りが少なく、ひんやりとした空気が漂っている。
カチリと鍵が閉まる音が、やけに大きく響いた。
「二宮さ――」
「黙って」
背中が壁に押し付けられる。
次の瞬間、強引なキス。
熱い。
息もできないほど深く、喉の奥まで絡む舌。
まるで、我慢してきた感情をすべてぶつけるような、飢えたキスだった。
二宮の手が、シャツの裾から中へ潜り込む。
指先が、火照った肌をなぞっていく。
「……今日さ、余裕ぶってんの、ムカついてたんだよ」
低く、噛みつくような声が耳元で響く。
「俺のこと、落とそうと思ってた?」
「……落とすつもりなんて、なかったですよ」
「嘘つけ。あの目は、狙ってた目だった」
「……俺が誘ってたとしても、二宮さんはいつも逃げるじゃないですか」
「だから今日は、逃げねぇよ」
もう、完全にスイッチが入っている。
目の奥が赤く染まっているようにさえ見える。
媚薬がどうとか、そんな次元じゃない。
理性が――限界を超えた。
「お前さ……ほんと、ヤバいよ」
「どっちが、ですか?」
「俺をこんなとこで、こんな気持ちにさせて……どう責任取るの?」
「……取る、って?」
「口だけじゃ、済ませねぇからな」
首筋に舌が這い、息を吹きかけられる。
そのたびに、元貴の身体が小さく跳ねた。
視線が合う。
挑発も、余裕も、全部取り払って――残ったのは、むき出しの感情だけ。
二宮の手が、ゆっくりと元貴のベルトにかかる。
指が震えていた。
でも、それを悟らせないように、二宮はぐっと顔を近づけて囁いた。
「俺のこと、欲しかったんだろ?」
「……二宮さんこそ、我慢してたくせに」
「じゃあ、おあいこだな。」
小さな個室に響く、息と汗の音。
壁越しに誰かが通り過ぎる気配もあったが、もう止められない。
「お前のそういう顔、今すぐ、壊したい」
唇がぶつかるように重なり、
舌と舌が荒々しく絡み合う。
濡れた音が響くたび、軋みが大きくなる。
「く、ぅ……にのみ…や……さ…っ」
元貴の声が喉の奥で震える。
もはや、“勝負”なんて言葉は意味を失っていた。
二宮の手が、ゆっくりと元貴の太ももをなぞる。
「お前が仕掛けたゲームだよな。……なら、最後まで責任取れよ」
「っ……ほんとに……ずるい……」
「言ったろ、俺が一枚上手だって」
そう言いながら、二宮は元貴を真っ直ぐ向かい合わせにする。
「こっち、見ろよ」
「……っ」
無防備な姿勢。
見上げるように、二宮の目と重なる。
閉ざされた密室の中で、ふたりの呼吸が混じる。
「……もう、我慢なんて、できるかよ」
二宮の低い囁きと、わずかな“軋む音”。
「二宮さ――ぁっ!!」
言いかけた元貴の言葉を遮るように、
二宮の手が腰を引き寄せ、強引に入ってくる。
身体が重なり、壁に押し付けられる。
ギシ――ッ、と個室の仕切りが揺れ、
奥を突く激しい音が鳴った。
狭い空間が震えるたび、天井からホコリが舞い落ちる。
それでもふたりは止まらない。
「……っ、そこ……っ、もっと、っ…」
「声、出てるぞ…お前も我慢できてねぇじゃん」
「……もう……それでいい。……二宮さんに、壊されたい…」
その一言で、二宮の瞳が熱を帯びた。
「……あーあ、言っちゃったな」
一気に、腰が強く押し込まれる。
ガタン、ガタン、と個室の壁が揺れる。
あちこちから悲鳴のような音が響くたび、
元貴は肩を震わせながら、指をギュッと握りしめた。
背徳感と快楽が交差する場所で、息を殺しながら、ただ互いを求めた。
指先が、背中を引っかく。
唇が、声を塞ぐ。
触れ合うだけじゃ足りなくて、
もっと深く――もっと、強く。
「……っ、二宮さん、もう……だめ……っ」
「我慢しなくていい。出して。……俺の下の名前、呼んで」
「……っ、かず、や……ぁぁあっ!!」
その声と同時に、全身がビクンと跳ねた。