💚「わあぁ!」
カラフルローズバスを見た阿部は期待通り、いやそれ以上のリアクションで喜んだ。
❤️「どうぞ」
💚「やったぁ、めっちゃ綺麗」
湯船に浸かると、花弁をすくって笑顔で眺める。酔いはすっかりピークを過ぎたようだ。
俺も半分脱いでいたけど、この分なら1人で問題なさそうだ。
❤️「もし大丈夫なら俺は外すけど」
💚「ううん、せっかくだから一緒に入ろ」
❤️「そう?」
花弁を纏う阿部は、美しい。
肌なら俺の方が白いしこういう場には映えるはず。でも、全く照れ隠しをせず全身から喜びが溢れているその姿は、俺には到底ない美しさがあった。
少し前に恋人にも薔薇風呂をサービスした。その時も目を輝かせて喜んでくれてとても嬉しかった。あまりに嬉しくて、思わず風呂上がりにとっておきのワインを開けてしまった事を思い出す。
あの気持ちに限りなく似ていると気づいて、何かとても悪いことが暴かれた時のような、身体の芯から寒さが沸き上がる感覚がした。
どくんと大きく1つ波打ったそれは心臓の鼓動を速くし、一体今自分が何を考えているのかもわからなくしていく。
💚「舘さん?」
阿部に呼ばれ、我に返る。
💚「大丈夫?ぼーっとしてた」
❤️「うん、ごめん。考え事」
💚「ねぇ見て見て、花弁一周するか挑戦してる」
言いながら自分の頭頂部近くに花弁を何枚か摘んで乗せていく阿部。
見事に一周したそれはさながら花冠で、阿部の内面から輝く美しさを助長していた。
💚「できた!」
❤️「綺麗だね」
💚「ほんと?嬉しい」
明るい声。
だが次の瞬間、花弁を乗せたままの阿部の笑顔がまるで波が引くようにすっと消え、バスルームの空気が変わる瞬間を俺は間違いなく感じた。
💚「…ねぇ舘さん」
❤️「なに?」
💚「俺、照に嫌われちゃった」
気持ちが解れたのだろうか、阿部は急にその話を持ち出した。
💚「照に1回だけ抱いてって頼んだの。でも無理って、そんな事言われたらもう今までと同じようにいる事もできないって」
❤️「うん」
💚「どうしても自分の気持ちに落とし前をつけたかったんだけど…当たり前の結末だった。佐久間を、他の人を傷つけてまで自分の発散を優先するなんて俺がおかしかったんだ」
❤️「うん…」
失恋してもなお佐久間には笑っていて欲しい、せめて照の事で泣くのだけはあって欲しくないと願う俺にとって、阿部の言い分はもっともなものだった。
なのに何でだろう?
髪から花弁が1つ、また1つ落ちる様子と、阿部がこうして自分を嘲る姿はなんだかとても哀しく重なって見える。
コメント
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読み返したけど、阿部ちゃん可愛過ぎて悶絶したし💚 なんだろう、めめあべ、あべなべの時の阿部ちゃん完璧なのに、他と組ませると人間らしくて結構そういう意味の可愛さ詰まってて好きかも。
あべちゃんとひーくんも仲直りというか元に戻ればいいなぁ
うーん 起きるぅ💙 阿部ちゃん、かなぴよ