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自分以外誰もいない部屋の隅、今日もまた、薄暗い部屋の隅、壁沿いに設置された長椅子でうつむいて声を押し殺して涙が止まるのを待つ
どれだけ拭っても溢れ、こぼれ落ちる涙をどうしたら止められるだろうか
大丈夫、大丈夫だ
と自分に言い聞かせて心を落ち着かせてもすぐにまた涙が溢れてくる
「なんで···止まってよ···誰か···助けてよ」
情けなく震える声で誰もいない空間に助けを求める
その声は誰にも届かないはずだった
しかし自分以外いないと思っていた部屋で暖かい手が頭に乗せられた
「フ···リン···」
はっとして顔を上げるといつの間にかフリンが背後に立っていた
「っごめ···まって···」
俺は必死に頬をこすって涙を拭おうとする
しかしこんなときでも涙は一度溢れ出したら止まってくれない
俺なんかが泣いてちゃいけないのに
なんとか涙を止めようと頬をこすっているとその手をフリンに掴まれた
「別に止めなくてもいい。止まるまで待っていれば良いだろう」
フリンはそう言って俺の手を離し、俺の隣に腰を下ろす
フリンの暖かい手は俺の頭を優しく撫でてくれていてそれがどうしようもなく嬉しくて愛おしくて、俺はほぼ衝動的にフリンの胸板にすがりついた
そんな俺をフリンは戸惑いながらも受け入れてくれて、俺の背中にフリンの手が置かれる
「大丈夫だ。お前は大丈夫だ。」
遠慮がちに背中を撫でられながら言われた言葉は俺が一番誰かに言って欲しかった言葉で、
何の根拠もないはずのその言葉に、俺は救われた気がした