テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
これが、彼女がわたしに対して発した、最後の言葉だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの戦いから目覚めた時、わたしは病院にいた。ほんの少し香る消毒液のような匂いと、真っ白な天井。自分に巻かれた、大量の包帯。最初は驚いた。なぜ、病院にいるんだろう?
包帯を外し、傷跡や、血を見ると、全てが蘇った。
ヒミコちゃんがわたしに血を分けてくれたこと。ヒミコちゃんが辛い思いをしていたこと。ヒミコちゃんの悲しみに、触れたこと。ヒミコちゃんは、自分の「個性」で辛い思いをしてきた。他人の当たり前を、自分に押し付けられて。自分にとっての好きや、自由は奪われて。わたしが刺されていなければ、あなたは生きていたかもしれない。余計なことをしなければ、今は違ったかもしれない。気づけば、わたしの目から、大粒の涙が溢れていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今でもたまに、あなたの夢を見る。幸せそうに笑う、個性で人を助けているあなた。
今日は、あなたが死んでしまってから1年が経った日。ヒーロー達や梅雨ちゃん、みんながお墓の前で手を合わせている。そして、ヒミコちゃんに話しかけるように呟いた。
「ヒミコちゃん、わたしは今、個性カウンセリングをしているよ。あなたみたいな子を救うために。」
ーーーーーーーそう呟くと、ふわっと風が吹いた。まるで、頑張ってねと言っているように。自分の中で巡っていたあなたの血が、暖かくなるのを感じた。お茶子の目から涙が溢れた。そして笑顔になり、お茶子は返事をした。
「ありがとう….!!あなたを思い出すよ。これからもーーーーーーーずっと!!」
そういうと、もう一度ふわっと風が吹き、お茶子の髪をくすぐった。