お題短編集

『手紙』

---

登場人物

・清水　いちか　(ｼﾐｽﾞ　ｲﾁｶ)　♀

高校一年生の15歳

華織と親友

・柴崎　華織　(ｼﾊﾞｻｷ　ｶｵﾙ)　♀

高校一年生の15歳

いちかと親友

---

本文

「海…きれいだなぁ…。」

ある日の放課後。

わたしは一人で海に来ていた。

片手には先程買ったコーヒーを持っている。

茜色の広がる空に対抗するように輝く蒼色の海はまるで、わたしを吸い込んでしまいそうだ。

「もう一層のこと、吸い込んでよ…。」

わたしはさみしげにつぶやく。

しばらく考え込んでいると頬がかすかに濡れる。

あれ…わたしなんで…。

「裏切られただけなのに…なんで…なんで泣いてるの？…」

そう、わたしは裏切られた。

高校に入学してから数ヶ月。

わたしはなかなか人間関係がうまく行かず、いじめられていた。

でもそれを助けれくれた親友がいた。

それが華織だった。

何度も感謝して、中学と同じようにまた仲良くできるって思ったのに…。

いじめの主犯は華織だった。

全部…全部。彼女が仕組んだことだった。

彼女が中学卒業のときにくれた手紙を開く。

そこには“ずっと一緒だよ。大好き。”

これも…なにもかも…全部、ウソだったんだ…

「どうして…どうして！？」

わたしはローファーのまま海に足を踏み入れる。

もはや今の私には濡れていることなんて関係ない。

手紙を思いっきり破って、海に放り投げた。

ひらひらと紙切れが舞う中でわたしはこう叫ぶ。

「お前なんて！ダイっきらいだ！…」

心が何故か清々しいわたしは砂浜に座りながら沈む夕日を見つめていた。

冷めたコーヒーをすすりながら___。

---

お題(お題スロットメーカー様より)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。