この作品はいかがでしたか?
10,067
この作品はいかがでしたか?
10,067
目が覚めたら、知らない場所にいた。
暗くはないけど、人が抜けられるとは思えないくらい小さな窓と、目の前にある大きなドア。それと……知らない人が3人。
?? 「どこどこっ、ここどこーっ!!?」
???「うるさい。静かにしろ。」
???「あはは、ごめんね。いつもこんな感じなんだ。
騒がしくて、いつもと違う。なんか変な感じ。なんて思ってたら、 なにかしらないか って聞いてきた。知ってるわけないじゃん。そう思いながら私は声を発さずただ首を横に振った。呆れられたかな。どーでもいいけど。
?? 「ねね、きみって呼ぶのいやだから名前教えてくれないかなっ?」
『……へっ、あ、わたし?』
変な声出ちゃった。
『……える。えるだよ。』
?? 「へぇっ、なんか珍しーね?ハーフ?」
『純日本人です。』
そんな変か?個人的に、気に入ってるんだけどなぁ……
お兄さんたちの名前、聞いてないけど教えてくれた。
「元気すぎてちょっとうざったい人は ソラ 」
「言い方がキツくてちょっと怖そうな人は マヒト 」
「この中では一番優しそうだけど裏がありそうな人は ユウマ 」
マヒト「とりあえず……あのドアは開かなかった。あの窓は出るにしても 小さす ぎるし、なにか隠し扉とかないか探してくれ。」
壁も、床も、その部屋にある小物も、探したけどやっぱり何もない。じっくり探したほうが良いのかも。私は床をじっとみつめてみた。あれ?ここもしかして……
『あの、ここ、なんか色が違う……』
ユウマ「え?一緒に見えるけど……えるちゃんはわかるの?」
『うん、こっちのほうが濃くて、こっちのほうが薄い。』
どれだけ言っても伝わらなかった。ちょっと目を凝らせば分かると思うんだけどなぁ。
他より色の薄いこの床を押してみたりたたいたり、叫んだりしてみたけど、なんにもならなかった。だけど、叫んだときにすこしだけ声が響いているような気がしたから、下に通路があるのは確実だ。
『……あっ、あの、誰か粘着力のあるものってありますか?』
マヒト 「ガムテープならあるが、何に使うんだ?」
なんで持ってんねん。って思ったけどとりあえずほっておいて、私は手を床において、手と床をガムテープで繋げて、思いっきり上に引っ張った。
ソラ 「わぁっ、すごぉいっ!床抜けちゃった!!」
他より色の薄いこの床は抜け、中には階段のようなものがあった。けっこう急だったから、気を付けて全員で降りた。
ユウマ 「ここは………。」
なんだか、ほこりっぽくて、古っぽくて、誰かの部屋みたいだった。
なんでかしらないけど、懐かしい気持ちになった。……気がする。
そんな不思議な部屋にはピンク色のくまのぬいぐるみがベッドの近くにおいてあった。首につけてある小さなプレートには、「PinkyBear」と書いてあった。きっと、この部屋に住んでいる人の物だろう。
ソラ 「ねえねえ、みてみて!!本みたいなのあった!!」
ソラさんが、何かみつけたみたい。本と思われるその分厚いなにかは、誰かの日記だった。あまりにもほこりが多くて、咳き込んでしまった。でも、なぜか私にその日記を渡されたから、仕方なく読んでみることにした。
『びよういんににゆういんしました……美容院?』
マヒト 「いや、きっと《病院に入院しました。》だろう。」
「字をまともに書けないほど幼いのか、重い病気なんだろう。」
なるほど…頭良いな。日記は続いているし、この子は病院で書いているのだろう。
『病院食より、ままのご飯がいい。ってことは、幼い子なんだ。多分。』
可哀想に、美味しいご飯食べたいよね。私も、今すぐ帰ってお母さんのご飯が食べたいな。日記はまだ続く。
《ぴんくいろのくま》ってことは、この部屋にあるあそこのくまは、この子のものなんだ。っていうことは、ここはこの子が入院する前の…部屋?いや、まだわかんない。次のページを………
『ぁれ?』
ユウマ 「日記がない……どうしたんだろう。」
次のページも、次の次のページも、なにもかいていない。なにかあったのだろうか。
『あ、あるっ。また日記あるっ』
別に急がなくても良いのに急ぎめで読んでしまう。
字が綺麗になっている。漢字も使えている。そして、前は鉛筆だったが、今はボールペンで書いているのだろう。読みやすい字だ。だけど、……
ソラ 「一回退院したんだ、だから日記はなかった……けどまた…」
ソラさんはそれ以上言わなかった。
【白血病】白血病というのは、白血球と言われる血液の細胞で異常が生じて、そこから異常なほどに体内で増えていくという病気。がんの一種でもある。
現在での生存率は80〜90%であるが、これは治療した方限定であり、治療をせず経過をみると、2〜3ヶ月で亡くなられます。
このお話の子は……どちらでしょうね。
私は不安や恐怖を抱えたまま、次のページへ進む。
『ひッ…!!?』
ッッ……あぁ、、この子はきっと、
鉛のように重い身体で、腕で、それでも最後の『ありがと』を書く ために机に手を伸ばしたんだ。最期の時まで。
これで日記は終わっていた。空気は重く、誰も喋らなかった。
しばらく しん としていると、マヒトさんが声を出した。
マヒト 「あ、その……日記の裏表紙に何が書いてあるんだが……」
たしかに、何か書いてある。私は閉じて持っていた日記を裏向けて声に出して読んでみた。これは、日記の持ち主の名前?その名前は__
『………私?』
その名前を口にしたとたん辺りが光で包まれた。目をずっと開けていられないほどの光量で。
その光で苦しんでいると、次はその部屋全体の床が底抜けて、よくわからない異空間で私たちは浮いていた。
ソラ 「わはーっ!!浮いてる浮いてるぅーっ!!」
ユウマ 「ちょっ…今は楽しんでいる場合じゃなくてっ」
マヒト 「えるッ……えるーーーーッッ!!」
『マヒトさッッ』
目が覚めたら、“俺たち3人は”知らない病室にいた。
ソラ 「ここ、病室かな、?」
ユウマ 「うん。もしかしたら日記の子の……って、ベッドに誰か寝てる…?」
真っ白な肌に、髪の毛はなかった。でも、その寝ている顔は美しく、思わず見惚れてしまう。…なんとなく、この人を知っているような気がする。
3人でじっとみていると、ドアがあいて誰かが入ってきた。
える の 母 「あら……こんにちは。あなたたちは………」
誰か知らない、わからない。それに、名前を名乗っても誰かわからないだろうし、俺たちはそこで立ちすくんでいた。そしたら、
える の 母 「もしかして……えるのお友達?私、えるの母です。」
えるのお母様だったのか。じゃあそこで寝てるのは………
ソラ 「あっ、えるちゃんのお母さん…!こんにちは!」
ユウマ 「では一旦失礼しますね。またえるちゃんが起きたら………」
える の 母 「起きたら………。」
えるのお母様は、少し雰囲気が暗くなった。
える の 母 「えるはねぇ……死んじゃったのよ、白血病って言ってねぇ…
手術はもう二度としたくないって聞かなきくねぇ……」
空気が変わった。
マヒト 「そ、うですか……すみません、辛いことを話させてしまって、」
える の 母 「いいえ、いいのよ。ね、せっかくだから一緒にいてあげて。」
そういってえるのお母様は病室から出た。
あのピンクのクマも、日記も、部屋も、全部えるのものだったんだな。
なんで、俺たちとあったんだ。家族とか、会ってきたらよかったじゃないか。なんで俺たちなんだ…。
ソラ 「あ、あっ、ここ、ここっ!!」
ソラが泣きそうな声で日記のページを指さした。そこには、さっきみたときにはなかったページがあった。
えるにとっては、これは、大事な思い出だったんだな。
みんなしてみっともない声出して情けないぞ。ばか。
ありがと
コメント
19件
感動の嵐…雰囲気大好きすぎる… ちょっと関係ない話だけど、おとちのおめめを「お手紙部屋」という連載に投稿しました✨️👀 がっちゃんこさせてください😊