「え…うわっ!?あれ…?」
彩の魔法で水梨のもとへと瞬間移動した蒼は、戸惑っていた。
「凪野、くん…?」
「水梨…」
魅麗に片手をぐっと掴まれていた水梨。
「…あら、そっちから来てくれるなんて…好都合ね。二人まとめて殺してあげるわよ」
「あ、えっと…俺たちの任務は、イポクリジーアを殺すことではないし…あと、その…」
「何よ。つまらないわね。あんたもこの子と同じことを言うわけ?」
そう、今蒼が言ったことは、数分前に水梨が言ったこととほぼ同じだった。
「でもね、私たちの任務はあんたたちを全滅させることなの。だから…」
そのとき。死角から…
バンッ
「!!」
死角から、殺し屋達が魅麗に向けて銃を撃った。弾丸は魅麗の左腕に当たった。
「ぐっ…殺し屋…?」
死角から、こちらに歩いてきた殺し屋。銃を下げ、口を開いた。
「悪いな静野魅麗。俺たち殺し屋は、お前らイポクリジーアを殺す任務中なんだ。まぁもちろん、マジカルシークレットもだが」
「…最悪、乗らなきゃよかった…ふんっ!覚えてなさいよっ!!」
魅麗は消えた。
「…」
蒼と水梨は助かった…というような顔をしていた。けれど、敵もいる。
二人はすぐに敵に目を向け、敵も再び銃を構える。
「うわわわ、助かったと思ったのに〜っ!!」
二人は走り出す。
「で、でも凪野くん、ほら、殺さないと!!私誘惑科だからそういうの専門外だし、あと、その…」
「いや俺も殺傷は嫌だよっ!!」
そんなことを言いながら、走る、走る。
バン バン バン
「発砲しないでー!!」
弾丸を避けながら蒼と水梨は船内を走り回る。
「あ、あそこの客室に入ろう!きっと誰かいるはず…」
「うん!!」
二人は、客室に入り込む。
さっとドアをしめ、二人息を潜める…
「あら、2人共…何をしているんですの?」
「わーっ!!」
「まぁ、そんなに驚かなくてもいいのに…私、殺人科教官、有栖院リリー。あなたたちの味方ですわよ?」
「あ…」
やっと知っている人に会えて、2人はほっとする。
「あの、殺し屋の人が発砲してきて…それで…」
「取り逃したって言いたいんですの?」
「あ…えっと…は、はい…」
リリーがものすごく怖い顔で2人をせめる。
「ここは先輩として、上司として…部下を育てないといけないわねぇ…さっ!いってらっしゃーい!!」
「嘘でしょぉぉー!!」
バン、と2人はリリーに押され、外に出される。
「あ、こんにちは…」
バン バン
「ひーっー!!」
「み、水梨!!仕方ない、ここは年上の俺がどうにかする!」
「でも一歳しか違わないよ?」
「ま、まぁそうだけど…とりあえず!!」
「お願いします!!」
「殺人魔法〈モルト〉」
「ゔーーっ!!」
「た、助かったぁ…」
「お見事。…けれど、彩の策略は成功しなかったようね。ま、どうでもいいけれど」
「え…?」
ぽかんとする2人を背に、リリーは連絡をする。
「こちら殺人科。新人2人が殺し屋を1人討伐。そうね…もう2時だし…あとは2人、自室で休んでいていいわよ」
「ありがとうございます…」
2人は自分の部屋に帰った。
だが、誘惑科の部屋は敵に扉をぶっ壊されてしまったため、予備の部屋を使うのだった。
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