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わ、わぁ!まじもんのプリ◯ュアだぁー! ツンデレknさんめちゃかわ、
魔法少年knと悪の組織の構成員br
キャラ崩壊注意
br視点
都心から少し離れた郊外の小さな町。少しくたびれた商店街を抜けた先にあるのは、閑静な住宅街。
電柱の裏に隠れて、お目当ての子が来るのを待つ。
「!」
来たっ!
外壁から現れたお目当ての子は、どうやらお友達と下校中らしい。
体操着が入った袋を蹴りながら、おしゃべりに夢中になっている。
「じゃあね~!」
「!」
友達に別れを告げた、今がチャンス!
「やっほ~!きんさ~ん!」
「…げ」
近くの小学校に通う、小学生5年生のきんとき。
サラサラの黒い髪を靡かせ、健康的な肌の色をした手足が、僕の心を掴む。
意気揚々と話しかければ、きんときはあからさまに嫌そうな顔をした。
「『げ』って酷くない!?」
大きな声を上げながら近づくと、きんときが怪訝そうな顔をしながら僕を見上げる。
あ、近くで見るともっとカワイイ♡
「…なに」
「お話したいなーって!」
「今日は宿題あるからむり」
「えー!じゃあ手伝ってあげるから~!」
「ぶるーく、勉強できないじゃん」
きんときは僕に対して冷たい。まるで冷蔵庫。
でも冷たいこの態度も実際は単なる照れ隠し。
たぶんおそらくきっとそう!
「ねぇーおねがい!ちょっとでいいから喋ろ?」
「……じゅっぷんだけな」
僕が強請ると、あんなに嫌がってたのに話してくれる。
ほら、やっぱり僕のこと好きなんだ♡
ツンデレなやつめ!このこの~!!
「やった〜!じゃあ、いっしょにベンチ行こっ?」
shk視点
「んー…」
長方形の大きなテーブルが部屋の真ん中に鎮座する広い食堂。
昼過ぎの絶妙な時間帯なせいか、食堂には誰もいない。
目の前に置かれた料理を見ながら、意味もなく唸り声を出す。
カチカチと規則的な古時計の音が食堂に響いた。
世界の秩序と平和を保つ魔法少年。
そんな魔法少女と対立する組織。
俺たち一族は言わば悪役だ。
そんな悪の組織に属しているのだが、最近はあまり面白い事が起こらない。
魔法少年側も、こちら側も、相手の様子を伺うばかりの冷戦状態。
さっさと人間界に乗り込んで征服すればいいのに、俺たちの上役はそれが嫌らしい。
だからこうして、食べては寝て、食べては寝てを繰り返している。
単調な日々。
何も変わらない毎日だ。
食べ切れず残した野菜にフォークを突き刺して遊んでいると、食堂の音から足音がした。
誰かが、帰ってきた。
「…おかえり」
「ただいま~!」
上機嫌な様子で食堂にやってきたのは、同じ組織の構成員のBroooock。
どうやら、最近は人間界にいる魔法少年と仲良くなったらしく、毎日のように人間界に出向いている。
Broooockは今にもスキップしだしそうなくらいご機嫌な様子で、俺の向かいの椅子に座った。
「…なに。今日も会ってきたの?」
「そうそう!きんときってば、最初は嫌そうな顔してた癖に1時間も喋ってくれたんだ~」
嬉しそうに頬を緩ませるBroooockを横目に見ながら、グラスに注がれた水を喉に流し込む。
「そのきんときって奴は魔法少年なんでしょ?
そんな仲良くしてたら情が湧くぞ」
「情ならとっくに湧き出てる~」
全く改める気がないBroooockにため息をはく。
「シャークんは真面目すぎるんだよ」
「相手は敵だろ」
「敵でも。好きな子には好きって言いたいじゃん!」
「…よく分かんね」
納得できずにフォークをテーブルの上に置く。
Broooockは、運ばれてきた料理に目を輝かせていた。
…どうやら、Broooockは本気らしい。
「……本気、ね」
ぽつりと呟くと、向かいでスープを飲んでいたBroooockがきょとんとした顔を向けてきた。
「なにが〜?」
「別に」
こいつは本気だ。
人間界の、しかも“敵側”の魔法少年に恋をするなんて。
俺たち悪の一族にとって、魔法少年は排除対象だ。
世界の秩序だの平和だの、そんな綺麗事を掲げる連中。
その中の一人が――きんとき。
「そのきんときって、強いの?」
「んー?強いよ。めちゃくちゃ強い」
戦闘能力の話じゃないのに、即答だった。
「僕がからかっても全然ブレないし。ちゃんと自分の正義持っててさ」
「……へぇ」
楽しそうに語るBroooockの顔を、じっと観察する。
頬は緩みっぱなし。目もキラキラしてる。
完全に恋してるやつの顔だ。
めんどくさい。
心の中でため息を吐く。
「でもさ〜、今日はちょっと様子変だったかも」
「様子?」
フォークで料理の残りを弄びながら問い返す。
「なんか、周りキョロキョロしてたんだよね。『最近、変なのいる気がする』って」
俺の手が止まる。
……上が、動いたか?
「Broooock」
少し低い声で名前を呼ぶ。
「なに〜?」
相変わらず呑気な声。
「もし上が魔法少年の排除に本腰入れたら、そのきんときも対象になる」
「……」
Broooockの笑顔が、ほんの少しだけ揺れた。
「分かってるよ」
静かに、でもはっきりと言う。
真っ直ぐな目。
…面倒くさい。
「裏切る気か?」
「裏切らないよ」
即答だった。
「でも、奪わせない」
その言葉に、食堂の空気が一瞬で変わった。
カチ、カチ、と古時計の音だけが響く。
「……バカだな」
「ふふん」
褒めてない。
「シャークんはさ」
Broooockがスプーンを置いて、俺を見つめる。
「もし僕が消されそうになったら、助けてくれる?」
なんでそんなことを聞く。
俺は悪だ。
仲間が任務違反すれば、処分対象だ。
それがルールであり規則。
「……任務次第」
そう答えると、Broooockは口を尖らせた。
「冷た〜い」
「現実的なだけだわ」
でも。
もし本当にその時が来たら。
俺は――。
その瞬間、食堂の扉が勢いよく開いた。
「Broooock、シャークん。上から召集だ」
幹部の低い声。
嫌な予感が、背中を這う。
「……内容は?」
「魔法少年の動向確認。対象コード“K”」
Broooockの肩が、わずかに強張る。
“K”。
…きんときだ。
「……行くぞ」
立ち上がると、Broooockもゆっくり席を立った。
さっきまでの無邪気な笑顔は消えている。
「シャークん」
「なに」
「もし戦うことになってもさ」
ほんの少しだけ、声が震える。
「僕、逃げないから」
――ああ、やっぱり。
面倒くさい恋だ。
「勝手にしろ」
そう言って、先に歩き出す。
後ろから小さく、
「ありがと」
と聞こえた気がした。
……俺は、何も言ってない。
「対象コード“K”ってさぁ……」
廊下を歩きながら、僕は隣のシャークんをちらっと見る。
「きんときのイニシャルそのままだよね?隠す気ある?」
「黙れ」
即答。冷たい。この冷蔵庫はもはや業務用。
でもさぁ!
好きな子が“対象コード”って呼ばれるの、ちょっと嫌なんだけど!
「シャークん、もし会議で『Kは排除』とか言われたらどうする?」
「聞こえないフリ」
「それ絶対怒られるやつ!」
くすくす笑いながらも、心臓はちょっと速い。
上が本気で動くなら、きんときも危ない。
でも――
(でも、僕がいるし)
会議室の扉の前に着く。
シャークんがノックして、重たい扉が開いた。
長テーブルの奥には幹部たち。
空気、重っっっ。
「最近、魔法少年“K”の行動が活発化している」
活発化って言い方やめてほしい。
あの子、体操着袋蹴ってただけだよ??
「接触者がいる可能性もある」
思わずピシッと背筋伸ばす。
やば。僕のことじゃん。
「シャークん。Broooock。お前たちが監視任務に当たれ」
……え?
「え、排除じゃないんですか?」
「状況次第だ」
状況次第!?
怖すぎるんだけど!!?
会議が終わり、部屋を出ると大きく息を吐いた。
「はぁ〜〜〜……寿命3年縮んだ」
「うるさい」
「監視なら、まだセーフだよね?」
「お前が余計なことしなければな」
じっと鋭い目で睨まれる。
「僕、そんな信用ない?」
「ゼロに近い」
「ひどくない!?」
でもまぁ、否定できないけど。
だって今日もさ、
『じゅっぷんだけな』って言われたのに、気づいたら一時間半喋ってたし。
最後なんて、
『……お前、明日も来るの?』
って。
あれ絶対!
絶対ちょっと寂しかったやつだよね!?
も~!それならそうと言ってよ~!!
四六時中傍にいるのに~!!
「……ニヤけるな」
「ニヤけてないもん」
頬押さえる。熱いのは多分気のせい。
「シャークん」
「なに」
「僕さ、もし本当に戦うことになったら」
ちょっとだけ真面目な声になる。
「きんときにも、シャークんにも怪我してほしくない」
僕の言葉に、シャークんが足を止めた。
「無理だろ」
「だよね〜!」
即答されちゃったけど!
「でもさ、無理でもやるのが僕じゃん?」
「……バカ」
シャークんは小さく呟く。
でも、ほんのちょっとだけ口元が緩んでた。
「とりあえずさ、明日人間界行くけど、監視ってことは、合法的にきんときに会えるってことだよね?」
「任務だ」
「デートじゃない?」
「任務だ」
「半分デート」
「任務」
シャークんは食い下がる。
「よーし!じゃあまずは尾行の練習だね!」
「今ここでやるな」
「尾行はきんときで慣れてるから!お手本見せるね!」
僕がコソコソ歩き出すと、
「不審者だろそれ」
って即ツッコミ。
あれ?
いつもきんときにやってるはずなんだけど…
……あ。
「ってことはさ」
僕はぴたっと止まって、シャークんを見る。
「僕、きんときに会いに行くとき毎回不審者ってこと?」
数秒ほどの沈黙。
シャークんが、ゆっくり目を逸らした。
「……自覚なかったのか」
え。
え???
ショック!!!
「違うもん!爽やかお兄さんだもん!!」
「小五に絡む悪の組織構成員が爽やか?」
論破やめて!!!
シャークんがため息を吐いた。
…でも。
明日も、きっと会いに行く。
監視任務?
うん、ちゃんとやるよ。
……たぶん。
でもきんときの笑顔見たら、きっとまた全部どうでもよくなる。
僕は悪役だけど。
好きな子の前では、ただの“僕”でいたい。
「シャークん」
「なんだ」
「明日さ、もしきんときに会ったら」
「…」
「僕、かっこよく決めるから見ててね」
「期待してない」
「えー!」
廊下に、僕の声が響く。
明日。監視任務が開始される。
――絶対、うまくやる。
「よし」
人間界。例の商店街の電柱の裏。
僕はサングラスをかけ、腕を組み、低い声を出す。
「……対象の動向を確認する」
「やめろ」
「え、雰囲気大事じゃない?」
「小五の下校を電柱裏から監視してる時点で雰囲気最悪だ」
うぐっ。
でも今日は“任務”だからね?
合法だからね???
「来た」
シャークんの声が低くなる。
角を曲がって現れたのは、帽子を被ったきんとき。
サラサラの黒髪を靡かせて、体操着袋を肩に引っかけて歩いてる。
(あぁぁぁ今日もかわいい……)
「ニヤけるな」
「ニヤけてないもん」
完全にニヤけてる自覚はごめんけどある。
きんときは友達と別れて、一人になった。
今だ。
僕は電柱からひょいっと飛び出す。
「やっほ〜きんさ〜ん!」
「……げ」
ひどい。
しかも今日はシャークんが少し離れた場所で見てる。
(かっこよく決めてるはずなんだけどなっ!?)
「げ、は傷つくなぁ〜」
「なんでいるの」
「たまたま通りかかっただけだよ?」
「電柱の裏から?」
「……風が気持ちよくて」
自分で言ってて苦しい。
きんときがじっと僕を見る。
「……最近、変なの増えてるから気をつけろよ」
変なのって僕???
いやでも違う。
たぶん組織の別部隊だ。
胸が少しだけざわつく感覚がした。
「きんときこそ、気をつけてね」
「は?」
真面目な声になっちゃった。
「なんかあったらすぐ逃げるんだよ?」
「なんでお前に言われなきゃなんねーの」
ぷいっとそっぽ向く。
でも耳がちょっと赤かった。
かわいい。
きんときがぼそっと言う。
「……監視とか、されてねぇよな」
心臓が止まるかと思った。
(バレてる!?)
遠くでシャークんが咳払いする。
いやいや待て待て。冷静になれ。
「大丈夫だよ〜。僕がいるし」
「それが一番不安なんだけど」
「ひどくない!?」
「宿題あるから帰る」
あ、待って。
でも今日は任務だから、ただ喋って終わりじゃダメなんだ。
「きんとき!」
思わず呼び止める。
夕方の光が、横顔を照らした。
「……なに」
「もしさ」
言葉が少しだけ詰まる。
悪の組織の構成員が、魔法少年に何言ってんだって感じだけど。
「もし、誰かに狙われたら」
僕の発言に、きんときが目を細める。
「……それ、どういう意味だよ」
やば。
シャークんの視線が痛い。
「意味はないよ」
笑ってそう返す。
「ただの心配」
きんときは少しだけ僕を見て、静かに言葉を放った。
「……お前、なんか隠してるだろ」
ド直球な返し。
しかも大正解。
「隠してないよ〜」
「嘘つけ」
うわ、鋭い。
「でもさ」
小5とは思えない眼光で僕を睨むきんときに1歩近づく。
「僕、きんときの敵にはならないから」
空気が、止まる。
きんときの目が揺れた。
「……は?」
「じゃ、また明日ね!」
これ以上言ったらバレる。
僕はくるっと背を向けて走り出す。
曲がり角を曲がった瞬間。
「お前」
シャークんが腕を掴んだ。
「何言ってるか分かってんのか」
「分かってるよ」
息が少し荒い。
「でも本音だもん」
シャークんは僕を睨む。
でもその目は怒りだけじゃない。
「……監視対象に情をかけるな」
「もう遅いって前言ったよね?」
「僕、本気だから」
シャークんは何も言わない。
遠くで子どもたちの笑い声。
どこからどう見ても平和な人間界。
「Broooock」
「なに」
「お前、ほんとにバカだな」
「うん」
「でもさ」
少しだけ、声を落とす。
「きんときが笑ってる世界の方が、征服するより面白くない?」
シャークんは何も答えない。
ただ、空を見上げてる。
夕焼けが、やけに赤い。
なんだか、戦いの前触れみたいで、
……ちょっとだけ、怖かった。
kn視点
ここ1週間ほどだろうか。
「…」
誰かに跡を付けられている気がする。
あの変態ストーカー(Broooock)とは別の誰か。
…俺が足を止めると後ろのやつも止まり、動き出すと動く。
気持ち悪い。
家までダッシュしてしまおう。
あそこなら住宅街だし、ここより人通りも多い。
そう決めて、重いランドセルを背負って走り出した。
後ろの足音もはやくなる。
(クソッ…)
追いつかれるっ…!
恐怖が体を支配して、思うように動かない。
マズイ、このままじゃ捕まるっ…
(そうだっ!ぶるーくッ…!)
もう少し先に行けば、Broooockがいるはず。
あとちょっと。
次の曲がり角を曲がればっ…!
「たすけっ、」
グイッ
「あっ!?」
後ろから腕を引っ張られた。
勢いに負けて、そのまま地面に尻もちをつく。
「いったッ…」
「対象コードK、捕獲しました」
「!」
俺の周りを囲むのは、Broooockと同じ服を着た男たち。
敵の構成員だ。
しまった、捕まった。
「離せよっ!」
変わらず腕を掴んだままの構成員に悪態をつく。
「悪く思うな。俺らも仕事なんだ」
男の言葉に背中に冷や汗が伝う。
俺ら魔法少年が長年敵対してきた組織。
捕まったら何されるか分からない。
本格的にまずくなってきた。
頭に浮かぶのは、何故かBroooockの顔。
いや、でも無理だ。
Broooockだって、本来は敵なわけだし、俺を助けられるわけが…
「きんときっ!!」
「!」
遠くから声がする。
この声っ…!!
「ちょっと貰いまーす!」
「!」
声の主は構成員を踏み退け、俺の体をひょいっと持ち上げた。
「ぶるーく…?」
「助けに来たよ、きんとき」
俺を見て、Broooockは優しく笑う。
「なんだアイツ!?」
「裏切り者だ!!!」
「排除しろ!!」
後ろからそんな怒号が聞こえる。
Broooockはそれを無視して、俺を姫抱きしたまま走り出した。
「あっはは!やばーい!ぼく反逆者だ~!」
一切やばそうじゃない笑顔のまま走るBroooock。
般若のような顔をした構成員たちがそのすぐ傍まで迫っていた。
「ぶるっく!追いつかれるっ…!」
「だいじょーぶ!」
「なに言って…」
「シャークん!あとお願い!」
シャークん…?
「あークソッ」
「!」
そう言って、現れたのは黒髪の男。
シャークんと呼ばれた男が、俺らと構成員の間に立つ。
「はぁぁぁなんで俺まで…」
「頼んだよ!シャークん!」
「あーもう、こうなったらやってやる」
シャークんはため息を吐くと、構成員たちの方に向き直った。
「ここは俺が足止めしてやる。そのガキ連れてさっさと逃げろ!」
「きゃー!シャークんカッコイイー!!」
「黙って走れ!」
すぐ後ろで聞こえる爆発音。
「ぶるっく…!」
「だいじょーぶだよきんさん。こう見えて僕、ワープ使えるから!」
「ワープ…?」
「そう、ちょっと掴まっててね」
Broooockに言われるがまま、シャツを握る。
ギュッと目を瞑ると、耳元でBroooockが優しく笑う声が聞こえた。
br視点
「もう大丈夫だよ」
「んっ…」
声をかけると、小さな瞼がだんだんと開いていく。
「どこ、ここ…」
「田舎の廃校の裏山。昔シャークんとよく来てたんだ~」
あそこからは数百kmくらいは離れているし、なにより人が少ない。逃げるには絶好の場所だった。
きんときを下ろすと、前からぶわぁっと大きなモヤがかかる。
「Broooock」
「シャークん!無事だったんだ!」
「当たり前だろ、あんなのに負けねぇわ」
モヤから出てきたのは、やはりシャークん。
シャークんもワープを使ってこっちへ来たらしい。
傷1つついてない様子を見ると、やっぱり戦闘に特化した魔人は怖いなぁって思う。
「…助かった」
シャークんを見て、きんときは少し気まずそうに声を出す。
「べつに。コイツの指示だから」
シャークんはそういうと僕を指差す。
そんな言い方して、ノリノリだったくせに。
「…俺、麓の様子見てくる」
シャークんはそう言うと山を下って行った。
残るのは、僕ときんときの2人だけ…
「…きんさん、怪我とかしてない?」
「……」
「え、きんさん…!?」
慌てて顔を覗く。
見れば、きんときの頬には大粒の涙が流れていた。
「え、え、!?」
ポロポロと涙を流すきんときに、どうしたらいいか分からず、とりあえず背中を撫でる。
「どうしたの!?どっか痛い…?」
僕の言葉に、きんときはポツポツと言葉を出した。
「だって、だって…!こわかった…!!」
泣き声を上げながら僕に抱きついてきたきんときに思考が停止する。
「敵かこまれて…もうだめかもって…!」
しゃくりを上げながら泣きわめくきんときに、可愛さを感じながら、背中をポンポンとたたく。
…そっか。
魔法が使えるといえど、まだ11歳なんだ…この子。
そのくらいの年齢の子が、敵に囲まれてしまうなんて。想像を絶する恐怖を感じたのだろう。
もっと早く助けにいけばよかった。
そんな後悔を感じながら、ふたまわりくらい小さいきんときの体を抱きしめた。
落ち着くまでこの子の隣にいてあげることが、僕の使命だと感じた。
「ひぐっ、うぅ…」
「ごめんね、きんさん。落ち着いた?」
「…うん」
「お詫びにチューしてあげる。どこにしてほしい?」
「地面」
30分ほど経つと、きんときの様子も落ち着いてきた。
落ち着いたことに安心してホッと息を吐く。
「ねぇ、きんとき」
「…なに」
「僕じゃ頼りないかもしれないけど…」
「…」
「僕、きんときのこと守るよ」
「え…?」
僕の言葉に、きんときが目を見開く。
「何いってんの…俺は魔法少年だぞっ!」
「それでも守りたいよ」
「は、…」
「好きな子だもん」
「っ!」
きんときの体を引き寄せる。
ギュッと抱きしめると、暖かい体温が体に伝わった。
「…好きだよ、きんとき」
「っ…」
「今はワープ魔法しか使えないけど、これからは攻撃魔法とか色々勉強する!だから、」
「きんときのこと、守らせて?」
きんときは僕の言葉を聞いて少し俯く。
そして、ポスッと僕の肩に頭を乗せた。
「…ばか」
少しの笑いを含んだ優しい声。
耳元で聞こえてきた声に安心して、僕は再び小さな背中に腕を回した。
shk視点
「…馬鹿なやつ」
帰ってきたら抱きしめ合ってるもんだから、完全に戻るタイミングを逃した。
2人の会話を陰で聴きながら、ため息を吐く。
…幹部たちが言っていたように、魔法少年サイドの動きも活発になってきている。
今は、明らかに俺らの組織が劣勢…。
まぁ、分かってたことだけど。
悪に勝つのは正義ってどんなマンガでも決まってるし。
反逆者である俺たちの写真は、今頃組織で磔にされているだろう。
みんなが血眼になって俺らのことを探している。
こんな最悪な状況になった今。
魔法少年サイドと手を組むことは俺たちにとっていい選択なのかもしれない。
…まったく。アイツの選択はいつでも良い方向に進む。有難いけど、同時に呆れる要素でもある。
「はぁぁぁ」
ため息は出る。物凄く。
でも、これは俺が選んだ道だ。
今さら後悔するつもりはない。
笑いあっているあの2人を見つめる。
不安の方が大きいけど。
…まぁ、たぶん。
あのふたりが協力すれば、こんな状況どうにでもなるんじゃないかと思う。
あとがき。
せっかく素敵な設定を貸して頂いたのに上手くいかせませんでした…悔しい…