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kr視点
ある日のことだった。休日ということもあり、ベッドの上でネットサーフィンをしているとある1つの商品が目に入った。
「超強力惚れ薬?」
なんだこの小学生が考えたような商品名は。
怪訝に思いながらも、好奇心には勝てず、サイトをクリックする。
すると、画面いっぱいに商品説明が広がる。
長ったらしい説明を読む気にはなれなくて、サイトから抜けようとしたタイミングである一つの文字が目に入った。
『どんなパートナーもメロメロ!100%効く媚薬!!』
「…へぇ」
これほどまでに信用できない100%があるのだろうか。
興味本位でレビューの覗く。
…レビューは案外いいらしい。
嘘くさいと思いながらも、やはり好奇心には勝てず、俺はその媚薬をカートにいれた。
数週間後
「…お」
買い物帰り。
ポストの中を覗くと、先日注文した媚薬が入っていた。
部屋に戻って封をあけると、確かにあの商品が入っていた。
見た目は完全に栄養ドリンク。
こりゃ詐欺られたか?
「どんなパートナーもメロメロね~…」
別にパートナーがいるわけでもない。
ほんとに、ただの好奇心。
買っただけで満足しちゃったし。
まぁ機会があったら自分で飲んでみよっかな~って感じ。
まぁでも特に考えるわけでもなく、それを冷蔵庫に入れた。
中にはジュースやらサイダーやら色んな飲み物が入ってる。親戚や親に押し付けられたもの達だ。
うわ、この缶とか賞味期限来週じゃん。
早く消費しなきゃなぁ…
「あ、これ説明書か」
部屋に戻ると、先程開封した袋の中に説明書が入っていた。
商品ページと同じような長ったらしい文章。
せっかくだし読んでみようと手に取った時。
ビューっと強い風が部屋に流れ込んできた。
「あっ!?」
開けっ放しの窓から流れ込んでいる風に紙を巻き上げられてしまった。
紙はそのまま窓の外へ逃げていく。
「うそでしょっ…」
慌てて窓の外を見るが、紙はもう何処にもいなかった。
「うわぁ…」
やらかした。
「…まぁいっか」
あんな長い文章。どうせ読み切れないだろうし。
そのときはあまり気にせずに、部屋を後にした。
ピンポーン
「!」
ちょうどそのタイミング。
家のインターホンがなった。
「はいはーい」
ガチャ
「やっほ」
ドアを開けると、立っていたのは友人のきんとき。
先週くらいから、きんときと家でゲームする約束をしていた。
もう約束の時間になったらしい。
「寒かったでしょ、中入って~」
「遠慮なく」
そう言ってきんときをリビングに案内する。
「ゲーム機出しとくからその辺座ってて」
「りょーかい」
きんときにそれだけ声をかけて、ゲーム機が入っているケースを漁る。
えっとコントローラーどこしまったっけ。
「あ、ねぇきりやん。お茶貰っていい?」
「いいよ、冷蔵庫開けちゃって~」
「あんがと…ってめっちゃ飲み物入ってんじゃん」
「あーそうなんだよね。消費しきれないくて。きんとき好きなの飲んじゃって」
「マジ?じゃ、遠慮なく」
カシュ、と空ける音が聞こえる。
「…っ!!?」
それを準備しながら、俺は重大なことを思い出した。
「き、きんとき!!」
あの冷蔵庫には媚薬がっ…!!
躓きそうになりながらキッチンへ向かう。
「え、なに…」
驚きながら俺を見るきんときの手に握られているのは…先程冷蔵庫にいれたはずの瓶。
ヒュ、と喉がなった。
「え、え!!の、飲んだのっ…!?」
「え、あ、うん…」
慌てて瓶をとる。
中身は既に7分ほどなくなってしまっていた。
「あ、ごめん…飲んじゃダメだった…?」
申し訳なさそうに俺を見上げるきんとき。
どうやら、まだ反応は出ていないようだ。
「いや、全然、いいよ…」
「ほんとごめん。高いやつだった?」
「あ、いや…その、不味いって話題のやつだったから…」
とっさに嘘をついてしまった。
「あー…たしかに変な味かも…」
「はは…」
流石に「今、貴方が飲んだのは媚薬です」とは言えず、愛想笑いで流す。
「ま、まぁそんなことよりさ、ゲームしよ!ゲーム!」
ほとんど中の液体がなくなっている瓶を見ながら、引き攣った笑みを浮かべるのだった。
いや、落ち着け。冷静になれ。
所詮ネット通販の媚薬だし、あんな嘘くさい広告の商品だ。どうせ詐欺商品に決まってる。
だから、きんときにも症状はでない…きっと。
そう信じていた。
数分前までは。
きっと、あの商品の効果は偽物。
……その『きっと』は現実にはならなかった。
「んね…きりやん」
「んー?」
ゲームをやり始めて1時間ほど。
横に座っていたきんときが急にコントローラーを置いた。
「なんか…からだ、あつい…」
「えっ」
きんときの言葉に、慌ててコントローラーを机に置く。
紅潮した頬に、荒くなった息。
きんときの様子が正常じゃないのはすぐに分かった。
「ど、どうしたの?熱?」
「分かんねっ…なんか、きゅうに…」
「あ…」
1時間前のことを思い出す。
そうだ、きんときは媚薬を飲んでしまっていたのだ。
背中に嫌な汗が流れる。
(あの媚薬…本物だったのか…)
「きりや…、」
きんときが俺に体を預ける。
体は信じられないくらい熱かった。
苦しそうに肩で息をするきんときに、頭を悩ませる。
まずい、本物だった時の想定をしてなかった。
「こ、氷持ってくるね、!」
とりあえずこの熱い体をどうにかしようと、冷蔵庫に足を向けた時。
グイッ
シャツの裾を引っ張られた。
振り返ると、きんときが悩ましそうな顔で俺を見上げていた。
「からだ、あついの…」
きんときが着ているTシャツの襟元をパタパタと仰ぐ。
ゴクッと喉がなる音が部屋に響いた。
「どうにかして…?」
きんときの手が俺の顔にのびる。
媚薬を買った俺の責任だから、とか。
辛そうなきんときが見てられなかったから、とか。
そんなのはただの言い訳でしかない。
きんときを止めない俺の手には、
明らかに、きんときに対する欲があった。
「あっ♡あぁっ♡♡」
「んひっ♡あっ♡ああっ♡」
最低だ。
俺は最低な男だ。
「きんとき…、」
「んあっ♡ふ、♡♡あっ♡♡」
親友の体を勝手に暴くなんて、あってはいけないのに。
なのに…
「んふっ♡あっ♡♡き、きぃ、やんっ♡♡」
「っ…」
ソファの上で顔を真っ赤に染めるきんとき。
きんときの後孔は媚薬のせいか、びっくりするぐらい柔らかった。
…昔、好奇心で調べた男同士のセックスのやり方がここにきて生かされることになるとは思わなかった。
指を何本か挿れると、案外すんなり柔らかくなっていくナカ。
「んあっ♡ああっん♡♡やぁ♡♡」
時折漏れるきんときの甘い声が、俺の理性を削っていく。
前々から良い声してるとは思ってたけど…こんな声も出せるのか。
親友としての理性と、男としての本能が、頭の中でぶつかり合う。
「んね♡♡きぃやんっ♡♡」
「…なに?」
「しゅきっ♡♡らいしゅき♡♡♡」
「っ…」
おそらく、媚薬の効果だ。
きんときの恋愛対象に俺が入ってしまっている。
その事実は、カニ味噌ほどしか残ってない俺の理性を削ぎ落とすには十分すぎるぐらいだった。
「きんとき、」
「んぇ?♡♡」
「ごめん、」
「えッ…ッお゛ッ♡♡♡♡!?」
勃ちきった俺のモノをきんときのナカにぶち込む。
「あ゛ひっ♡♡ま、まっへ゛ぇ♡♡♡どま゛っへっ♡♡♡♡」
「ごめん、ごめんっ…!」
「あ♡ぁ゛あ゛♡♡♡お゛ッ♡♡お゛♡♡ほッ゛ォ♡♡♡♡」
腰を掴んで思いっきり引き寄せれば、きんときのモノから精液が勢いよく出てくる。
きんときが感じてくれるのが嬉しくて、きんときの方に体重をかけながら腰をガツガツと動かした。
「あ゛がっ♡♡♡む゛りッ♡♡しんじゃっ♡♡♡」
パンパンと否が応でもセックスだと認識してしまうような音が部屋に響く。
つい1時間前までは親友だったのに。
「お゛ッ♡♡お゛ぐっ♡♡♡はいっへ゛っ♡♡♡♡」
俺の下で淫らに喘ぐきんとき。
開いた口からは、小さな舌がだらしなく出ている。
目はトロトロに蕩けていて、焦点はあっておらず、上を向いていた。
「おッ♡♡お゛ぉ♡♡♡あっ♡♡へぇ♡♡♡」
親友とこの行為をしているという事実を軽蔑すると同時に、この事実に果てしなく興奮してしまっている自分がいた。
「ひっ♡♡!?もうむり゛♡♡♡きもち゛いのッ♡♡♡いらなっ♡♡♡♡お゛っ♡♡あっ♡♡♡♡」
「…ごめん」
謝っても意味はない。
きんときには聞こえない。
…なら、何をしてもいいのではないか。
「あ゛っ♡♡♡い、イグッ♡♡イっちゃっ♡♡♡♡んお゛ぉ♡♡♡♡」
そう思うと、ずっと抑えていた欲が箱から飛び出していくような感覚がした。
「あ、♡♡あぇ…♡♡♡」
「まだ終わりじゃないよ?きんとき」
「へぁ…?♡」
口角が上がっていく感覚がする。
きんときとこの行為ができるのなら。
俺は、最低でもよかった。
「…きんとき、大丈夫?」
「ん、へーき…」
2時間にも及ぶ行為のあと。
流石に体力がなくなったため、ふたりでソファに寝転がる。
いくら大きめのソファとはいえ、成人男性が2人も寝転ぶと流石に狭かった。
体が密着してお互いの体温が伝わる。
きんときの体は先程よりかは熱くなかった。
「きりやん」
「…なに」
きんときがグルっと寝返りをうち、俺の方に体を向ける。
「気持ちよかった、ありがと」
そう言って、はにかむきんとき。
どうやら、体の熱は治まっても媚薬の効果は続いているらしい。
今更だが、きんときが俺を好きになるなんて、そんなご都合展開があっていいのだろうか。
「…ん」
正解の返し方が分からず、視線を逸らす。
すると、きんときが俺の頬に手を伸ばしてきた。
きんときの細い指が俺の頬に触れた。
「かっこいい」
「っ…」
「ふふ。きりやん、好きだよ」
ダメだ、心臓に悪すぎる。
慌ててソファから起き上がる。
「どうしたの?」
「いやっ…」
きんときって、こんなあざとかったか?
これも、媚薬の影響だろうか。
普段と違う様子のきんときに、心臓がバクバクと反応してしまう。
「き、きんとき。お風呂行こ?」
「え?」
「ほら、体洗いたいでしょ?」
これ以上一緒にいては確実に好きになってしまう。
そう思って、きんときを風呂へ向かわせようとする。
「…たしかに」
きんときも納得してくれたみたいで、ホッと胸をなでおろした時。
「じゃあ、きりやんが運んで?」
きんときはそう言うと、俺に向かって両腕を広げた。
「っ!」
思わず体が固まる。
固まる俺に、きんときは意地悪な笑みを浮かべた。
「俺腰痛くて動けないからさ~」
「う…」
「運んでよ、きりやん♡」
上目遣いで言われると、何も反論できなかった。
抱き抱えると当たり前だが、体が密着する。
欲が暴走しないように頭の中で素数を数えていると、耳元でクスクスと、きんときが笑う声が聞こえた。
なんとか欲に耐えながら、風呂場へ向かう。
汗やら精液やらでベトベトになったきんときの体。
その体をなかったことにするかのように、シャワーをかける。
「んん…」
体を流していると、きんときが身を捩った。
「つめたい?」
「んーん、」
きんときの反応を確認しながら、体を綺麗にしていく。
健康的な肌の色に、引き締まった体。
改めて見ると、綺麗な体つきをしているきんとき。
腹から腰にかけてのラインが曲線的で色気があった。
「なにみてんの。えっち」
「っ!」
見蕩れていると、きんときがそう言って俺の顔を覗き込む。そして、俺の顔を見てプッと吹き出した。
「あははっ!顔赤すぎ!」
「いやしょうがないじゃん!」
「なんで?」
「だって!きんときが、えっちだ、から…」
…あ。
「えーやば。童貞かよ」
俺の言葉にクスクスと笑うきんとき。
悔しさと恥ずかしさが混ざって、情けなくなる。
「しょうがないじゃん!」
そういいながら反論しても、威厳はない。
しょぼくれていると、きんときが俺の顔を覗き込んできた。
「…なんかさ。きりやん遠慮してない?」
「えっ…?」
「さっきえっちしてる時も思ったけど、なんか我慢してるでしょ」
心の内を言い当てられ、ギクッと体が反応する。
「分かりやすすぎ」
「う…」
「……したいことあるなら言えばいいのに」
「え?」
きんときの言葉に顔を上げる。
すると、挑発的な笑みを浮かべるきんときが目に入った。
「やりたいことあるなら言いなよ。なんでもしてあげるよ?」
煽るように、きんときは俺の体にベタベタする。
「…ほんとに?」
きんときの言葉に、さっき押さえ込んだはずの欲が再び暴れ出すような感覚がした。
そんな煽りをされると分からせたくなる。
「うん」
「…」
「どんな童貞チックなお願いもやってあげる」
きんときがトリガーになって、口から言葉が出ていく。
「じゃあさ、」
「脇、使わせて」
時間が止まったような感覚がした。
「…え?」
俺の言葉に固まるきんとき。
「え、脇…?」
混乱しているのか頭にハテナマークを浮かべている。
「うん」
頷いて、きんときに近づく。
「ダメなの?」
「いや、ダメっていうか…」
予想外のことを言われて驚いているのか、きんときは視線を逸らした。
「…さっきなんでもしてくれるって言ったよね」
「っ…」
「あれ、嘘だったんだ?」
ニヤリと口角を上げると、きんときの動きが固まる。
数十秒ほど沈黙が続いた。
押し黙ったかと思えば、やがて意を決したように声を出す。
「…嘘じゃないし」
きんときはそういうと、さきほどよりは余裕がないものの、挑発的な笑みを再度浮かべた。
「いいよ、使わせてあげる」
きんときはそういうと、腕を頭の後ろで組んだ。
リビングとは違い、風呂場の明るい照明によってきんときの綺麗な脇が丸見えになる。
「…じゃあ、遠慮なく」
ボディソープをきんときの脇と俺のモノに纏わせる。
そんな俺をきんときは不思議そうな目で見ていた。
俺が何をしようとしているか分からないのだろう。その事実に喜んでいる自分がいた。
「きんとき、ちゃんと腕上げて」
「…ん」
俺の言う通りに腕を上げるきんとき。
脇が丸見えになって恥ずかしいのか、きんときは顔を赤く染めたままそっぽを向いた。
「じゃ、いくよ」
自分のモノをきんときの脇に擦り付ける。
「んんっ…」
くすぐったのか、きんときは顔は赤くしたまま、悩ましげな声を出していた。
「…感じる?」
「わかんないっ…くすぐったい…」
さらに顔を赤くするきんときをみて、俺も腰を動かす。
へこへこを腰を動かしていると、きんときの声色が変わってきた。
「ん、♡んぁ…?♡」
「は、はっ…」
「あっ…♡んん♡♡んひっ…♡♡」
甘さを帯びてきたきんときの声に、口角が上がるのを感じる。
「あっ♡あっ♡あぁ♡♡」
「ふふっ…」
「ひっ♡♡んんっ…♡♡」
「きんとき、脇でも感じるの?」
「っ!?はぁ!?ちがっ…!♡」
「声響いてるよ」
耳元で囁くときんときの動きが止まる。
音が反響するこの風呂場の中。
聞くのが恥ずかしいのか、きんときは自身の耳を両手で塞いだ。
「きんとき、腕おろして」
「えっ…?こ、こう…?」
ぎこちなく下げられた腕と、脇の間に自身のモノを挟む。
再び腰を動かすと、きんときの声が大きくなった。
「あっ!?♡♡な、なにしてッ…!♡♡♡」
「んあっ♡♡だめッ♡♡これやらっ♡♡♡」
「ちくびッ♡♡きもちっ♡♡♡らめっ♡♡」
乳首と擦れて気持ちいのか、きんときの体が小刻みに跳ねる。
「あっ♡♡やらッ♡♡♡んあぁ♡♡♡」
「は、っ」
「んあっ♡♡んんッ♡♡んひぃ♡♡♡」
「ごめ、いくっ…」
「まっへ♡♡うごくなぁっ♡♡♡」
「でるっ…♡」
「おれ、も♡♡イクっ♡♡♡」
耳元でそんな声が聞こえたかと思えば、きんときの体が大きく跳ねる。
「あぁっ♡♡んっ♡♡ッあッ―♡♡♡♡♡」
今日イチ大きく跳ねたあと、力が抜けたのか、体を俺に預けてきた。
虚ろな目が、だんだんと閉じられていく。
出した精液のせいで、再びベトベトになった体。絶頂の余韻のせいか、俺の腕の中でビクビクと震えていた。
そんなきんときを見て、自身の欲が満たされると同時に、底知れない罪悪感が俺を包んでいく感覚がした。
「…あれ」
「あ、起きた?」
しばらくすると、ソファで寝ていたきんときが目を開けた。
「ごめん。俺、寝てた?」
「うん、ちょっとだけね」
起き上がってきたきんときに、先ほどまでの妖艶な雰囲気は見られない。
おそらく、媚薬の効果が切れたのだろう。
その事実にホッと安心する。
「あ、もうこんな時間?」
時計を見ると、針は22時を指していた。
「俺もう帰んないと…」
「そっか」
自分の持ち物をまとめるきんときに頷いて立ち上がる。
…どうやら、先ほどまでの出来事は、記憶は残っていないらしい。
安心するような…残念なような…
そんな自分の気持ちを見ないふりして、きんときを玄関まで送る。
「じゃあね、きりやん」
「うん、またね」
きんときが靴紐を結んで、立ち上がる。
「…あのさ、」
きんときがドアに手をかけたタイミングで声を出す。
「なに?」
「……なんでもない」
「ふふ、なにそれ」
「…またね、きんとき」
「うん、バイバイ」
ドアがゆっくり閉まっていくのをボーッと眺める。
…ねぇ、きんとき。
俺がきんときを好きだって言えば、
今日の過ちも、なかったことにできるかな。
kn視点
きりやんの家を出ると、そこはもう真っ暗だった。
太陽はもういないけど、風はないから寒くはない。
後ろを振り返ると、ドアの隙間から玄関の光が漏れているのが見えた。
おそらく、きりやんはまだあそこに突っ立ったままなのだろう。
ため息をついて、家の前にあるポストへ向かう。
「ねぇ、きりやん」
人通りも少ない夜の住宅街。
小さく呟いた声が、辺りに響く。
ガサゴソと、ショルダーバッグに手を入れる。
「落し物はしない方がいいよ?」
中から取り出した1枚の紙。
つい数時間前、ここで拾ったものだ。
きりやんの落し物かと思って後で渡そうと、バッグの中に入れていた。
長ったらしい文章。
紙に書かれている文に目を通す。
『本商品の説明』
『本商品の封を開けたあと、中に入っている瓶をお取り出しください』
『服用から1時間を目安に効果が見え始めます。開封後は放置せず、早めにお飲みください』
『個人差はありますが、本商品には多少の発熱効果がありますため、真夏でのご使用はお控えください』
『注意:この媚薬の効果は30分程を目安にしております』
…きりやんはきっと、俺が拒否しなかったのを媚薬のせいだとか思ってるんだろうな。
長ったらしい文章で書かれたそれをポストにぶち込む。
「いい加減気づけよバーカ」
そんなひとりごとは、誰にも拾われず、夜の中へ消えていった。
コメント
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ほんと土筆さんがかくkrknだいすきです!!応援してますᴗ ̫ ᴗ✊🏻💕