「夕コのこと好きだから付き合ってほしいなぁ…?」
「無理。」
「全然好きって気持ちが伝わらん」
「えぇ……」
あれから2週間がたった
レダーさんに告白されては振るという一連の流れを作ってからは、それが毎日続いた。
正直めちゃくちゃ楽しい。
好きな人に何回も告白されて、振ってもまた懲りずに告白してくるんなんてニヤけが止まらない
だけど、一つ悩みがある
ぜんっっっっっっぜん心がこもってない
まじで恩返しのためだけに告白してきてるんだなって丸わかりすぎる。
俺の事好きじゃないんか??
この美少女な成瀬夕コ様を好きじゃないマ??????
「俺今からハウジングしてくるから、じゃ」
そういい、レダーさんに背を向けようとしたとき声が聞こえた。
「夕コ待って!」
「あのさ…なんて言うか…」
「ハウジング今すぐやらないといけないって感じじゃなかったらさ」
「一緒にご飯でも食べに行かない…?」
きたーーーー!!!!
ずっと待ってたそういうの!!
いやまて、冷静を保て。
ここで「行く」って返事をしたらダメな気がする。
あえて「それ私じゃなくてもよくない?」とか言ってレダーさんの事試すほうがいいかもしれない…
それか「ハウジングの方が大事だけど、どうしても?」とかのほうがいいか…??
レダーさんのほうを見ると、きょとんとした顔を見せていた
「夕コ?どうする?」
「…行く」
「じゃぁ俺車出してくるからそこ居てて」
…
まぁ人は欲望の塊とかっていうしさ?
というかあんな顔初めて見たんだけど、可愛すぎんか…
「…ふふっ」
まさかレダーさんからこんなこと言われるなんて思っていもいなかった
本当に俺の事落そうとして来てるの伝わってきてマジで嬉しすぎる。
…落とすって言っても別の意味だけど
「どうせレダーさんの事だから、どこで食べるとか決めてないんだろうなぁ…」
「探しとくか…」
車で行きたかったのか知らないけど、ヘリで飛んで行っちゃったから結構時間かかるだろうなぁ
スマホを開くと、海上レストランのメニューが目に映った。
「パンケーキかわえぇ…」
そういえば警察時代の頃は忙しすぎてこういったカフェとかに足を運ぶことなんてなかったなぁ
行ったこととかないのに、レダーさんとカフェデートなんて何度想像したことか。
隙あらばずーっと考えてたもん。それでモチベ上げてたし
付き合ったら何回でもできるんだろうなぁ…デート…
だけど今付き合うのはなんか違うんだよ。
俺は好きだけどレダーさんは全然そんなこと一ミリも思ってないみたいな感じ
だけど恩返しとして告白してくる。
もう意味わかんねえわ
スマホから目を離すと、目の前に二人の男がいた。
自分でもびっくりするほど気づかなかった…
「お姉さーん?」
「よかったら俺達と遊ばない?」
「…ぁ?」
ナンパかよ
あーぁ。こういうときとかにレダーさんたらなぁ
「待ってる人がいるんで」
「別の人あたってもらえます?」
「いーじゃんドタキャンしたら」
「お姉さん可愛いし、俺たち全然おごるけど?」
うぜぇぇぇ…
レダーさんのお誘いにドタキャンのドの字もないっての
「本当に無理なんで」
「はぁ?いいから一緒に遊ぼうぜ」
そう言われながら腕をつかまれた
振りほどこうとしても力の差がありすぎてほどけない
「離せっ…!」
腹をめがけて思いっきり蹴った。
だけど力が弱まるどころか怒りを買ってしまい、そのまま後ろへ投げ飛ばされてしまった。
石壁に体を打ち付けられ、その衝撃でかけていたメガネが落ちていった
落ちていく一瞬を目で追っていると、そのまま地面で粉々になっていった
レダーさんの真似して買ったんだっけ
高かったのに…
「このクソアマが」
「借りは返さねえとなぁ??」
そう言われ、今度は自分の腹を蹴られた。
メキっと骨の音が聞こえたと思えば、ゴキッと鈍い音を立てた。
ふらつく体を支えようとしたとき、もう一度蹴られてしまいそのまま地面に倒れた。
立とうとしても体が言うことを聞かない
やっぱり野郎の一発って重いんだな。警察時代の時はこんなの慣れっこだったんだけど…
こっちに来て感覚が鈍ったのかな
「れぁ…さ…」
うわぉ。助け呼ぼうとしたけど驚くほど声が出ねぇわ。
というかマジでレダーさん来ねえな?漫画の展開ではナンパの時点で来てるもんだと思うけどなぁ
もしかして迷ってたりする??
だとしたらやべえぞ、いろんな意味で。
「こいつ連れ去らっちゃう?」
「顔はいいし、どっか売り飛ばそうぜ。腹の治療代としてw」
いやまてまてまて本当にまずい
普通そこまでするか?
今無線持ってないし、メガネ壊されたか吹っ飛ばされたか知らんけど
やたらと視界ぼやけて見えるし、マジでヤバイ?!
そんなことを考えているうちに、手錠を持った男が俺のほうによってきた。
元から体は言うこと聞かなくなってるけど、手錠かけられたらもう終わりだろこれ。
「やぇ…ろ……」
「ははっwこいつ腹蹴っただけでまともにしゃべれなくなってるぜw」
「マジで笑えんだけどw」
「どうせ動けないんだし喋るのやめといたらぁ??w」
「ほら手錠かけるよー」
嘘だろ、一回もレダーさんとデートに行けずに俺どっかに売り飛ばされんの?
そんなの嫌だ
誰でもいいから助けてくれ
はやく、はやくきて
「れだ…さ…」
「たす…けて…」
相変わらず声でねえな
意識朦朧としてきたし、もうこれだめだな
あぁ無理だ
もう目が開けれん…
「ん…」
あれ。俺確か意識失って…
誰かに包み込まれている感じがする。
それにやけに体が浮いている感じも少しする
誰かに運ばれてるみたいな
まさか連れ去らわれてる?
嫌だ
助けて
助けてレダーさん
少ししか動かすことのできない手足を必死に動かした。
俺を運んでいる奴は驚いたかわからないが、さっきよりも強く包み込まれた。
もう逃げられない
恐怖が一気に押し寄せてきた
本当に連れ去られてしまう。
868はどうなるんだ
もうレダーさんとは会えないのか?
俺がいないところでレダーさんは死んでしまうのか?
「やだ…」
「れだーさ…たすけて…」
届くはずのない願いで笑えてくる
だってここにいるはずなんかないから
「夕コ、大丈夫。俺はここにいるよ」
聞きなれた優しい声が聞こえた
その声をずっと待ってた。
ナンパされた時からずっと聞きたかった。
多分幻聴なんだろうけど、最後に聞けて良かった
助けてくれなかったけど、絶対お前の事嫌いになんかならないから
売り飛ばされた後も絶対レダーさんの事だけ見とくから。
ずっと好き
今の状況の打開を諦め、もう一度眠りについた。
コメント
2件
ほあああああああい!!!!!!! ぎゃぁ!!!!!!!! すき♥️