テラーノベル
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「ごめんね。」
雨の音で周りの音が聞こえない中、
彼女の言葉だけが、何故か鮮明に聞こえた。
「好きだったんだよ。」
あゝ、僕だって愛していたさ。
忙しくても、君を大事にしたつもりだし、
何より心から愛していた。
愛していた。
…何故、何も感じないのか。
ずっと付き合っていたんだ。
少しは「なんで」とか「悲しい」とか、
あるかと思っていた。
「でもね、もう、好きじゃなくなっちゃった。」
雨が傘に重くのしかかる。
強く、傘に打ち付けられる雨粒は、
きらきらとしていて、美しかった。
それでいて、暗かった。
「…だから、ごめんね。」
終わりだ。
もう、彼女と肩を寄せ合いながら映画を見たり、二人で同じジュースを分け合いしたりもないのだ。
ここでやっと少し悲しみを感じた。
「またね、今度会えたら、その時はまた楽しく過ごそうね。」
きっとそんな事、永遠に来ない。
あったとしても、楽しくは過ごせないだろう。
「ばいばい。」
酷く強い雨の中、告げられた別れは、
何故か現実味がなくて、少したったらやっと、
本当なのだと理解出来た。