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テラーノベル(Teller Novel)
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今日も任務を難なく終えた。

任務の帰りはいつも補助監督の送迎、だが今日は電車で帰る。補助監督が忙しいらしく送迎が出来ないとのこと。別に傑と一緒なんだ、そんなに気にすることでは無い。

電車が駅のホームに止まり、乗車する。帰宅する人が多い時間帯に当たってしまい、ぎゅうぎゅうに人が車内に詰められている。なんとか乗り込め、とりあえず一安心した。

電車が動き出し、走り出しの揺れで体が揺れる。ガタンッと大きな揺れが来て、倒れそうになる。すると横にいた傑が俺の体を支えてくれた。この優しい気遣いにキュンとしそうだ。

流石は人誑し、やるな。そう思いながら、右から左へと流れ動く景色を見ていた。



■□■



高専の寮部屋につき、一気に疲れが押し寄せる。傑も少し疲れているようだ。俺は傑に手を振り、自分の部屋へ入る。

制服から着替えるのも面倒。いつもなら服を着替えてからするのだが今日はこのままでいいだろう。制服を左腕が見えるように捲る。俺の左腕は真っ白な右腕と違い、切り傷、いやリスカ跡が残っている。

昔からリストカットをしていて、最近はほぼ毎日切っている。ストレス発散でしている為、死にたいとかそのような希死念慮はない。ただただストレスの解消。家の人間も止めることは無かったし、いつも荒れてる俺が静かになるんだ、それはそれでいい事だと思ったんだろう。

リスカする道具を入れているポーチを開け、カッターを取り出す。剃刀もいいが俺はカッター派だ。簡単に切れて楽だし、切る時の痛みも少ない。

カッターの刃を出し、刃先を強く腕に当てる。思いっきり素早く刃を引く。切った箇所から血がプツプツと出てきて赤くなる。少し浅かったようであんまり血が出ない。もう少し深く、そう思いながらさっきよりも強く当て、刃を引く。隣の傷よりかは深そうに見える。腕の皮膚を軽く伸ばすと傷が開き、血が溢れてくる。

今日はこれくらいにして手当をしよう。机の所に置いてある小さな引き出しをあけ、ガーゼと包帯を取る。ティッシュで軽く血を拭い、ガーゼを当てて包帯を巻いていく。初めは包帯を巻くのに苦戦したがもう慣れて、綺麗に巻けるようになった。

あらかた手当をし終え、ポーチにカッターを戻す。

いつもの長袖と短パンに着替える為に、服を脱いでいく。

学ランとシャツを脱いで、長袖を手に取った時、ガチャりとドアが開いた。


「ねぇ悟、この後桃て、つ……」


「なに、傑。」


「君、なんだいその腕。傷だらけじゃないか。」


「あ、」と思い素早く後ろに腕を隠す。

自傷は良くない行為って知ってる。傑は特にそういう行為を良いと思っていないだろう。


「へぇ、悟ってそういう事してるんだ。」


この声が冷たく感じた。傑が遠回しに自分や自傷の事を否定された気がする。ふと、目の奥が熱くなってきた。心臓の辺りが痛い。傑がここ居る限りこれが続きそうだ。

俺は腕を隠すことをやめて傑を部屋から出すために傑の体を押す。


「傑、出てって、」


「なんで何も話してくれないんだい?」


「いいから、出てってよ」


グイグイと押し続け、あと少しで傑を部屋から出せそう。あと一息、強く力を掛ければ__

ぐっと力を加えていた腕を振り払われ、腕を痛いほど強く傑に握られた。


「ねぇ、説明してよ。なんでこんな事してるの?」


「傑には関係ない、もう早く出てって…」


「説明するまでずっとこのままにするけど?」


掴まれた腕がぐいっと高く引っ張られる。部屋のドアが開けっ放しなせいで人が部屋の前を通ろうとすると俺の腕が丸見えになる。

けれど俺はいくら傑でも耐えきれなくなって無限を使い、部屋の外へ傑を飛ばした。部屋の外からは「硝子を呼んだから傷治してもらいな」と声を掛けられた。足がふらつきながらもベッドまで行き、横になる。

数分すると硝子が部屋の前に来てノックをしてきた。ノックを無視し続けると「おーい五条、夏油に言われてきたぞ、怪我してるなら治すぞ」など声が掛けられる。でも俺は無視し続けた。無視を続けたら硝子は部屋の前から立ち去った。

俺はベッドの上で丸まり、手を耳に当てる。こうすると嫌なものを聞かなくて済むから。

とうとう堪えた涙も堪えきれなくなり溢れ出した。そこからは俺が眠るまで涙が止まることは無かった。



■□■


目が覚めたら朝だった。カーテンから指す陽の光が眩しい。ふと、昨日のことを思い出す。

昨日、傑にバレたんだっけ。

今日は学校のある日。任務もあるが午前中は座学。必ず傑と顔を合わせることになる。あの出来事が起きて、その翌日話をするとなると息が詰まりそうだ。


To Be Continued…

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