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次〜〜〜
中太♀だぜぇ
最近更新が安定しないぜぇ
さげぽよ(古い)
昼間の探偵社やポートマフィアの境界線、あるいはヨコハマの喧騒の中では、いつだって太宰治の口が勝っていた。
「やあ中也、今日も相変わらずちっちゃくて可愛いね。その帽子、小人の国で誂えたのかい?」
「あ゛ぁ!? てめぇ今なんつった太宰! そのふざけた口二度と利けねぇように叩き割ってやろうか!」
「おやおや怖い。怒ると余計にちっちゃく見えるよ。まるで怒った子猫のようだ」
けらけらと、鈴を転がすような軽い声で太宰は笑う。
ポートマフィアの幹部である中原中也と、武装探偵社の社員である太宰治。かつて「双黒」と恐れられた二人の逢瀬は、大抵がそんな他愛のない、けれど周囲が冷や汗を流すような口喧嘩から始まるのが常だった。
太宰は生まれながらにして女だったが、その事実が二人の関係に奇妙な遠慮を生むことは一度もなかった。少年の頃から共に戦場を駆け抜け、互いの命を預け合い、そして今では誰も知らない秘密の部屋で一緒に暮らしている。
同棲を始めてからそれなりの月日が流れていた。互いに譲れない仕事があり、時には敵対する立場に身を置きながらも、帰る場所だけは同じ。相思相愛、という言葉すら生ぬるいほどに、二人の魂は深く結びついていた。
昼間の太宰は、自分の体躯の細さや女性としての脆さを、煙に巻くような言動と圧倒的な頭脳で完全に隠蔽している。中也より少しだけ背が高いことを盾にしては、執拗に「ちっちゃくて可愛い」とからかい、中也が顔を真っ赤にして怒るのを心底楽しそうに眺めていた。
中也もまた、そんな太宰の態度にいちいち苛立ちつつも、彼女を無理に組み伏せるような真似はしない。昼間の光の下では、それが二人の完璧なバランスだったからだ。
――だが、夜の寝台の上だけは、そのパワーバランスが完全に逆転する。
遮光カーテンが完全に下ろされ、街灯の薄明かりすら遮断された寝室。
静寂が支配する部屋に、衣服が擦れる音と、重い皮膚の爆ぜるような音が不規則に響く。
昼間の余裕に満ちた表情は、そこにはひとかけらも残っていなかった。
「……あ、……ぁ、ちゅ、や……」
太宰の口から漏れるのは、もはや言葉の体をなしていない、意味のない音の羅列だった。
熱を孕んだ吐息が、シーツに押し付けられた唇から零れ落ちる。
太宰の細い手首は、中也の片手によって頭の上で完全に固定されていた。いくら太宰が頭脳明晰で、異能を無効化する力を持っていようとも、純粋な肉体の質量差と、積み重ねてきた暴力の質が違う。重力使いとしての異能を一切使わずとも、男としての中也の腕力は、女である太宰を容易く組み伏せ、蹂躙するに十分すぎた。
「おい、どうした太宰。昼間の威勢はどこへ行った」
低く、地を這うような中也の声が、太宰の耳元で鼓膜を震わせる。
その声には、昼間の怒りを含んだ調子とは全く異なる、酷く獰猛で、狂おしいほどの独占欲が混じっていた。
「う、ぅあ、……ん……っ!」
中也が容赦なくその身体を割り込み、肉の質量を叩きつけるたび、太宰は背中を大きく反らせた。
普段は包帯の下に隠されている、滑らかで白い肌。それが今は、中也の指の形に赤黒く変色し、無数のはびこる熱い痕に覆われている。
太宰は必死に中也の肩に爪を立てようとするが、その指先にはもう力が入らない。ただ中也の背中の筋肉を虚しく撫でるだけで、それすらも中也の激しい動きによって容易く振り払われてしまう。
「あー……、っ、や、ちゅ、……待っ……」
「待たねぇよ。てめぇが煽ったんだろ」
中也の瞳は、暗がりの中でも獣のように昏く光っていた。
容赦のない愛撫と、躊躇のない強引な結合。太宰の身体の奥深く、最も敏感な場所を正確に穿ち、抉るようにして、彼女の自我を一枚ずつ剥ぎ取っていく。
太宰は首を左右に振り、溢れる涙で視界を滲ませながら、ただ中也から与えられる過剰な快楽の波に溺れるしかなかった。
「……ぁ、あ、……っ、ん、うぅ!」
激しい衝撃が太宰の脳髄を白く染め上げる。
快楽が限界を超え、太宰の喉から言葉にならない悲鳴が上がった。身体が歓喜の拒絶反応を起こすように小刻みに震え、中也の身体を強く締め付ける。
それに応じるように、中也もまた一段と深く、太宰の奥底へと自身を突き立てた。
「っ、太宰……!」
短い呼気と共に、中也の熱が太宰の最奥へと注ぎ込まれる。
その瞬間、太宰の視界は完全に弾け、意識の糸がぷつりと音を立てて切れた。
それから、どれほどの時間が経っただろうか。
激しい嵐が去った後の寝室には、ただ二人の荒い呼吸の音だけが残されていた。
中也はゆっくりと身を起こし、ベッドの脇に落ちていたシーツを引き寄せると、太宰の身体に大雑把に掛けた。そして、自身の汗を拭いながら、隣に横たわる恋人の姿をじっと見下ろす。
事後の太宰は、文字通り「めちゃくちゃにされて意識がトんでいる」状態だった。
いつもなら、どんな状況でも張り巡らせている警戒心や、他人を煙に巻くための冷徹な思考回路が、完全に停止している。
寝台の上に投げ出されたその身体は、ただ呼吸のためだけに浅く上下していた。
中也は手を伸ばし、太宰の顔にかかる髪をそっと払う。
汗で額や頬にぴったりと張り付いた、癖のある茶髪。それを指先で弄りながら、その顔を覗き込んだ。
太宰の目は開いていた。しかし、その瞳には何の焦点も結ばれていない。
いつもなら、世界の全てを見透かしているかのような、深淵を思わせる冷たい双眸。それが今は、虚空を虚ろに見つめたまま、ただ微かに潤んでいるだけだった。
中也がその目の前で手を振っても、瞳孔は僅かに揺れるだけで、中也の姿を捉えることはできない。完全に意識がどこか遠くへトんでしまっている証拠だった。
「……本当、ひでぇ顔」
中也は呆れたような、しかしどこか満足げな声を漏らした。
昼間の、あの憎たらしいほどに澄ました顔はどこにもない。
少し開いた唇からは、まだ自覚のない、かすかな吐息が「は、……ふ、……」と漏れ出ている。
首筋から鎖骨、そしてシーツの隙間から覗く胸元にかけて、中也が刻み付けた赤紫色の痕が、白い肌の上で嫌に鮮やかに浮き上がっていた。
手首には、中也が強く掴んでいたためにできた、赤い手跡がくっきりと残っている。
普段、誰も触れることのできない、ヨコハマで最も危険で不可解な女。
それが今、中也の腕の中で、ただの無防備な、力を持たない一人の女として転がっている。
その事実が、中也の胸の奥にある歪んだ支配欲と、それ以上に深い愛おしさをこれでもかと刺激した。
中也は身を乗り出し、焦点の合わない太宰の額に、そっと唇を落とした。
それから、汗ばんだ頬、涙の痕が残る目尻、そして、まだ微かに震えている形の良い唇へと、優しく、けれど執拗に、昼間の荒々しさとは対照的な口づけを落としていく。
太宰は、唇に触れる温かさに、本能的なものか「う……、ん……」と小さく鼻を鳴らした。
そのかすかな反応すらも、中也にとってはたまらなく愛おしいものだった。
昼間、太宰はよく言っていた。
中也はちっちゃくて可愛い、と。
マフィアの幹部として、一人の男として、そんな言葉を吐かれて愉快なはずがない。だからいつも本気で怒鳴り散らし、拳を振り上げていた。
けれど、こうして夜になり、すべての肩書きも、言葉の武装も剥ぎ取られた太宰を前にすると、昼間の彼女の言葉が、いかに虚勢に満ちた、可愛らしい強がりであったかがよく分かる。
中也は、意識を失ったまま虚空を見つめる太宰の耳元に、そっと顔を近づけた。
そして、昼間の彼女のセリフをなぞるように、しかし、確かな勝利の確信と、底なしの情愛を込めて、低く、優しく囁いた。
「可愛いのはどっちだよ」
コメント
7件
今回も、ほんと素敵な作品でした なんか、もう尊すぎて語彙力皆無です。 ほんと、めちゃカァイイくて素敵でした!!
てぇてぇ..... はじめの言い合いが双黒っぽくてもういい........... だざさん......破壊力エグい。
うわっ…読んじゃった/// これは熱すぎる…!🔥 昼間の憎たらしい余裕の太宰と、夜の寝台で完全に中也に堕とされる太宰のギャップがやばすぎる!!「可愛いのはどっちだよ」って最後に中也が囁くの、完全に勝利の宣言じゃん…!😭💕 意識飛んで無防備な太宰を優しく愛撫する中也の、歪んだ独占欲と深い愛情が混ざり合っててエモすぎる…。二人の関係性が昼と夜で真逆になる構成、マジで天才的です!!次話も楽しみすぎる⋆♡