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今日はキスの日らしいからキスの話書こうとしたけど絶対これキスの話じゃないです。
ちゅうい
・中原中也がクズ原中也です
・太宰がメンヘラです
・浮気します。クズ原が。
いつもと変わらない、どこにでもある退屈で薄暗い夜だった。
横浜の喧騒から少し離れた高級マンションの一室。そこは中也と、生まれながらに女である太宰が二人で暮らす部屋だった。焦茶髪のゆるふわなロングヘアを乱し、太宰はリビングのソファで膝を抱えていた。壁の時計が深夜の針を刻むたび、胸の奥がじりじりと焼けるように痛む。最近の中也の態度は、あからさまに冷たかった。視線すらまともに合わず、言葉を交わしてもどこか突き放すような響きが含まれている。
もともと精神的に脆く、不安定な気質を持つ太宰にとって、その変化は致命的だった。中也が自分を置いてどこかへ行ってしまうのではないか。そんな底なしの恐怖が、毎日彼女の心を蝕んでいた。
がちゃ、と静まり返った玄関の鍵が開く音が響いた。
太宰は弾かれたように立ち上がり、玄関へと駆け出す。しかし、そこに立っていた中也から漂ってきたのは、いつもの煙草や高級なワインの香りだけではなかった。あからさまに違う、安っぽい、けれど主張の激しい女の香水の匂い。そして、彼の白いシャツの襟元には、鮮やかな赤い口紅の跡がくっきりと残されていた。
「中也……それ、なに……?」
太宰の声音が震える。中也はそんな太宰の動揺をあらかじめ楽しんでいたかのように、薄く、意地の悪い笑みを唇の端に浮かべた。悪びれる様子もなく、ただ面倒そうにネクタイを緩める。
「あぁ? 見りゃ分かんだろ。他の女を抱いてきたんだよ」
心臓がどくりと大きく跳ね上がった。頭の芯が急激に冷たくなっていく。中也が、自分以外の、見知らぬ誰かを腕の中に抱いた。その事実が、太宰の頭の中で凄まじい勢いで膨れ上がっていく。わざとやっている。中也が自分を試すために、あるいは傷つけるために、故意に他の女の影をチラつかせているのだと分かっていても、脆いガラスのような太宰の心は耐えきれなかった。
視界が急激に歪み、熱いものが溢れ出す。
「なんで……っ、付き合ってるのになんで浮気するの……っ!?」
叫び声は涙に濡れて掠れていた。大粒の涙が、太宰の白い頬を伝ってぽろぽろと床へ落ちていく。胸をかきむしりながら、どうして、と問い詰める太宰を、中也は冷徹な、けれどどこか愉しげな瞳で見下ろした。そして、ふっと鼻で笑う。
「付き合ってる? 笑わせんじゃねぇよ」
その一言は、太宰の細い身体を容赦なく射抜いた。あまりの衝撃に、太宰の思考は白く染まる。付き合っていない? そんなはずはない。今まで重ねてきた時間のすべてを否定されたような絶望感が押し寄せる。太宰はせきを切ったように、必死で言葉を紡ぎ出そうとした。関係を繋ぎ止めるための、あまりにも稚拙で、必死な証明を。
「だって、えっちなこと、したし……。きす、とか、たくさん……」
しゃくり上げながら、太宰は縋るように中也の胸元に手を伸ばした。けれど、その手は中也の冷たい視線に遮られて行き場をなくす。
「それに中也、私のこと好きで……私もそうだって、言って……」
子供のようにぽろぽろと涙を流し、息を詰まらせながら訴える。焦茶髪のゆるふわロングの髪が、涙と汗で頬に張り付いていた。みじめだった。自分が世界で一番哀れな存在に思えた。中也の言葉ひとつで、自分が今まで信じていた幸福のすべてが砂の城のように崩れていく。
泣きじゃくる太宰の顎を、中也は強い力でぐいと掴み上げた。無理やり視線を合わせられる。中也の青い瞳には、ひどく歪んだ、けれどどこか狂おしいほどの独占欲がぎらぎらと渦巻いていた。中也は、太宰の涙で濡れた顔を至近距離で見つめながら、意地の悪い声で囁く。
「そんなに俺のこと好きかよ」
その声は冷酷でありながら、太宰を完全に自分の支配下に置いたことを確信する悦びに満ちていた。中也はわざと太宰を突き落とし、自分なしでは生きていけない状態を作り出したのだ。太宰の不安定な心をなぞり、限界まで揺さぶるための、残酷な仕掛けだった。
「涙でぐちゃぐちゃじゃねぇか、みっともねぇ」
そう言いながらも、中也の親指は太宰の頬を伝う涙を乱暴に、けれどどこか愛おしげに拭った。中也の手のひらの熱を感じた瞬間、太宰はたまらず中也の身体にしがみついた。どんなに意地悪をされても、突き放されても、この男の体温を手放すことなど、太宰には到底できなかった。
「ちゅ、や……ちゅうや、おねがい、捨てないで……っ」
「誰が捨てるって言ったよ、莫迦。……おい、こっち見ろ」
中也の声から、先ほどまでの冷徹な響きが消え、低く、甘い熱が混じり始める。十分に絶望させ、自分に縋らせた。ここからは、傷つけた分のすべてを埋めるための時間だった。
中也は太宰の華奢な身体を横抱きにすると、そのまま寝室のベッドへと運んだ。柔らかいマットレスに太宰の身体が沈み込む。ふわり、と焦茶色の髪がシーツの上に広がった。
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「ん……っ」
すぐに深いキスが降ってきた。唇が合わさる。さっきまでの拒絶が嘘のように、中也の舌が太宰の口内を蹂躙した。何度も、何度も、角度を変えて、太宰の呼吸を奪うように深く貪る。ちゅう、と濡れた音が静かな寝室に小さく響いた。
太宰は中也の首に細い腕を絡め、必死に応じた。他の女の匂いを上書きするように、中也の強烈な存在感が口いっぱいに広がる。キスが離れるたび、ぷは、と互いの唇の間に細い銀の糸が引いた。
「んぅ、ちゅや、もっと……」
「あぁ、いくらでもしてやるよ」
中也は優しく微笑み、太宰の目元や、涙で濡れた頬、そして赤くなった鼻の頭に、ぽつぽつと何度も優しいキスを落としていく。それは先ほどの意地悪な態度からは想像もつかないほど、甘やかで、過保護な慰めだった。
「ひどい、ひと……」
「ひどくて悪かったな。お前が可愛すぎるのがいけねぇんだよ」
中也は太宰の衣服をゆっくりと、けれど確実に剥ぎ取っていく。露わになった太宰の白い肌は、恐怖と興奮でわずかに震えていた。中也の指先がその肌をなぞるたび、太宰の身体が小さく跳ねる。
「全部俺のもんだろ。他の男にも、誰にも見せねぇ」
中也の言葉は、太宰の心の隙間を完全に埋めていく。付き合っているという形式的な言葉よりも、この圧倒的なまでの執着こそが、太宰の不安定な心を何よりも安定させる特効薬だった。
「ちゅや、の……わたし、ちゅやの、おにんぎょう、でもいいから……」
「人形で満足するわけねぇだろ。お前の全部を寄越せ」
二人の身体が密着する。互いの体温が混ざり合い、部屋の空気が急激に熱を帯びていく。中也は太宰の脚を割り、その間に自身の身体を滑り込ませた。
じわ、と互いの肌が擦れ合う音がする。
中也は太宰の手をとり、指を強く絡ませた。恋人繋ぎのまま、ベッドに組み伏せる。見上げる太宰の瞳は、潤んで、熱い期待に満ちていた。
「いくぞ、太宰」
「ん、ぁ……っ!」
ゆっくりと、けれど深く、二人の身体が一つに繋がった。
きし、とベッドの軋む音が静かに響く。
太宰の口から、甘い悲鳴が漏れた。きつい刺激に、ゆるふわの焦茶髪が激しく揺れる。中也は太宰の腰をしっかりと掴み、容赦なく、けれど壊れ物を扱うような絶妙な加減で自身を突き動かした。
あん、あ、んっ、と太宰の声が部屋に木霊する。
「ちゅや、すき、だいすき……っ」
「あぁ、知ってるよ」
中也は再び太宰の唇を塞いだ。深く、互いの唾液を交換し合うような、濃厚なキス。ちゅ、ぷは、と音が鳴るたびに、太宰の脳内は快楽と安心感で満たされていく。浮気をされた怒りも、悲しみも、すべてが中也の与える圧倒的な快感の渦にかき消されていく。
中也の動きが激しくなるにつれ、太宰は快楽の波に溺れ、ただ中也の名前を呼び続けた。
はぁ、はぁ、と荒い息遣いが重なり合う。
「中也、中也……ぁっ、そこ、いい、の……っ!」
「ここか? お前の弱いとこ、全部覚えてるっつーの」
ぐ、と深く突かれるたび、太宰は背中を反らせて中也にしがみついた。中也はそんな太宰の背中を大きな手で愛おしげに撫で、何度も背中や肩口に、痕を残すように強くキスをした。
ねっとりと絡み合う体温。衣服の擦れる音や、肌と肌が激しくぶつかり合う、ぱちん、ぱちん、という特有の音が、二人の世界を支配していた。
やがて、最大の熱量が二人を襲う。
「ちゅや……っ、い、く……あ、ぁっ!」
「太宰……!」
強く抱き締め合い、二人は同時に頂点へと達した。
部屋の中に、二人の激しい呼吸の音だけが残される。
しばらくの間、二人は繋がったまま、互いの鼓動を感じ合っていた。太宰の焦茶髪は汗でしっとりと濡れ、シーツの上に美しく広がっている。中也は太宰の額に優しくキスをし、そのまま彼女を包み込むように抱きしめた。
「もう、どこにも行かない……?」
太宰が弱々しく、けれどどこか安心した声で尋ねる。中也はふっと優しく笑い、太宰の髪を愛おしげに撫でた。
「行くわけねぇだろ。俺の居場所は、ここしかねぇよ」
その言葉に、太宰は今度こそ満足して、中也の胸に深く顔を埋めた。意地悪で、残酷で、けれど誰よりも自分を愛してくれる男の腕の中で、不安定だった太宰の心は、ようやく深い平穏に満たされていくのだった。
コメント
6件
チュヤハダザムニスガッテホシカッタンダキット……歪歪歪……にょただざ可愛いぃ
双黒はこれぐらい歪んでる方が美しい!
ありがとうございます!! 太宰さん可哀想だと思うけど、そういう人ほど可愛いと思ってしまう!! 中也の歪な愛情表現が大好き!