テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
入学して3ヶ月フローラ様からお茶会のお誘いがあった。
私は寮生活をするアカデミー生とは新入生以外ともすぐに仲良くなれた。
同時におそらくフローラ様もイザベラのために動いてくれてたと予想している。
おそらくイザベラの変化にすぐに気がついてくれて、イザベラが過ごしやすいように環境を整えてくれたのだ。
イザベラの被害を受けただろう攻略の難しい貴族令嬢は気付けば好意的になっていた。
「フローラ様、本日はご招待頂きありがとうございます」
彼女が珠子をモデルにしているなら、私は安心して近づけた。
私は決して人を陥れたりせず女子みんなで仲良くするのが好きだったからだ。
嫉妬による虐め以外は解決できる自信があった。
「こちらレオハード帝国のお土産です。受け取って頂けるとありがたいです。今まで大変ご迷惑かけました」
私は、レナード様の店で購入したピンクサファイアのイヤリングを彼女にプレゼントした。
「ふふ、迷惑なんてかけられた覚えはないわ。今日は来てくれてありがとう、イザベラ様。あら、レナード・アーデン侯爵のお店のイヤリングよね。私いつもこちらのお店でジュエリーを購入するのよ。私もいつか現地に買い付けに行きたいわ」
フローラ様はすぐ様、私の自分のつけていたイヤリングを外して、私のプレゼントしたイヤリングをつけてくれた。
やはり、彼女のモデルは珠子だ。
珠子は気に入っていてもいなくても、プレゼントを貰って嬉しいことを最大限アピールする女だった。
空港の私の郵便受けに「コフレのお礼です」とメモのついた賞味期限切れの大福が入っていた時でさえ、すごく美味しい大福だったと笑顔でお礼を言った。
「貴族令嬢達との仲を取り持って頂きありがとうございました」
積み上げた人望のあるフローラ様が動いたからこそ、あっさりとイザベラの環境が整ったのだ。
「私は何もしてないわ。みんなイザベラ様と本当は仲良くしたかったんじゃないかしら。私に気を遣って、ルイ王子と会わないようにしているでしょ。私は2人が仲良くしているのを見ると幸せな気分になるわ。私には気を遣わないで欲しいわ」
もはや、完全なる珠子の応対をするフローラ様を前に信者の影を感じる。
しかし信者は珠子の内なる感情までトレースしているのだろうか。
外面は完璧に優しい先輩でも、実は嫉妬していたりするのが珠子だ。
「フローラ様、実はご相談があるのです。私はルイ王子が好きなのですが、彼は私に気遣って好きを返してくれる気がするのです。彼の本当の気持ちがわかりません」
私は珠子時代相談されると信用されているようで嬉しかった。
本来であればルイス王太子に距離を置かれている陰口を言われているフローラ様に相談するのは惚気とも取られかねない相談だ。
でも、私はそんな女子に嫌がられそうな相談をされると、本当に悩んでいるとみなしていた。
「人の気持ちなんて一生分かるものではないわ。でも、自分の気持ちは分かるでしょう。2人は一生一緒にいるのだから、毎日大好きって伝えれば良いんじゃないかしら」
フローラ様の珠子的回答に私は彼女には幸せになって欲しいと思った。
それでも、私は愛するルイ王子を彼女には渡せない。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!