テラーノベル
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地域のしょぼい遊園地ではなく、都会にでたある程度大きさのあるところだから子供だましのつまらないお化け屋敷では無いはずだ。呉宮先生の表情を伺ってみると、如何にも行きたくないという顔をしていた。怖い先生の意外な表情に少しときめいてしまった。実はSだったのか?俺。
「病院がテーマっぽいですね」
「…そうだな」
「そんな怖がらなくても。」
「あ、じゃあお化け屋敷の調査来てくれたらそこのソフトクリームでも奢りますよ」
「!」
「ソフトクリームなんかで釣られると思っているのか?」
え、今一瞬喜んでたよね?切り替えの速さが恐ろしすぎる。
「甘いもの苦手なんですか?」
「苦手とかそういう問題じゃなくてだな…」
「でも入ってみないと生徒達に合ってるかどうか分からないじゃないですか」
「…」
実際の殺人鬼が出てくる訳でもあるまいし、いざとなったら俺に掴まっていればいいと説得して呉宮先生を無理やりお化け屋敷に連れて行った。
内装は思ったよりもクオリティが高くて没入感がある。ホラーゲームの世界観が好きな人にはおすすめできるかもしれない。俺が雰囲気を楽しんで歩いている間に、後ろから呉宮先生はずっと物音に怯えながら覚束無い足取りで着いてきている。
呉宮先生に大丈夫か尋ねようとしたその時だった。
「!?!!!?」
呉宮先生が声にならない叫びを発したその方向を見ると、女性の霊(スタッフさん)に腕を掴まれている呉宮先生がいた。
「早く逃げましょう!」
「!!!」
このまま真っ直ぐ進めば出口に着きそうなのだが、呉宮先生はどうやら立ち上がれなくなってしまったらしい。
「…デジャブかな」
幽霊の手を払って呉宮先生を持ち上げる。立ち上がれない影響で背負うことは出来なかったのでお姫様抱っこという形になってしまった。前も思ったけどこの人身長の割に軽すぎる気がする。
「はぁっ、はぁ、お化け屋敷でこんなに息切れするのおかしいですって」
「最初からお前一人で言ってくればよかったんだ」
「ふぅ、でも刺激があって良かったじゃないですか」
「どこまでポジティブなんだ…もう20歳超えてるんだから大人しく観覧車とかの方がいいと思うんだが」
「とりあえずソフトクリームタイムですね?」
「は?」
「ソフトクリームの話し出した時、今まで見た中で1番目が輝いてましたけど」
「気のせいだ」
「嘘ー?じゃあ俺買ってきて食べていいですか」
「好きにしろ」
折角一緒にソフトクリームを食べて話題を広げようとしたのに。甘いものが好きなら今度買ってきてあげようかな。いやいや、なんで俺があの呉宮先生にお菓子を買わなきゃ行けないんだ。
ソフトクリームの味の種類には、抹茶やチョコレートなど色々あったがシンプルが一番いいと思ってミルクを購入した。
「はい。」
「?」
「もうちょっと素直になったらどうですか」
「…」
「あ、すいません本当に要りませんでした?」
「いや、食べたい…」
「ですよね。素直に、買って欲しいっていえばいいのに」
「普通年上が奢る流れだし、甘いもの好きなのが恥ずかしいから」
「じゃあいつか呉宮先生に奢ってもらいますね。」
人に見られながら食べるのは嫌だと言われながらもソフトクリームを美味しそうに食べる呉宮先生をじっと見ている。唇薄くて綺麗…
「自分の分は買わなかったのか」
「あ、確かに。1口貰えます?」
「なんだと。」
「元々俺が払ったんだし、」
「待っ、普通人が食べていなかった側を食べるんじゃないのか 」
「ん〜?」
呉宮先生の可愛い唇で食べた跡が着いた部分を舌ですくうと、みるみるうちに呉宮先生の顔が赤くなっていく。
「流石に初心すぎません?」
「ウブもなにも、お前とやることじゃないだろ」
「へぇ、他の人とは関節キスしたいって?」
「それも言ってない」
さっきまで休みなくソフトクリームを頬張っていたのに、俺が少し齧ってから口が止まってしまっている。あ、俺がかじったところ避けてる。酷い。
「観覧車乗ってお土産買ったら帰りましょうか」
「土産?プライベートできた訳じゃないんだぞ」
「ああ、そうでしたね。でもせっかく2人だけできたんだしお揃いの何か買いましょうよ」
「はぁ…」
コメント
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間接キスてぇてぇ